【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒

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1章

第11話

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私達は王城で盛大に開かれる建国祝賀パーティーに向けての支度を行っていた。
ライラにとっては社交会デビューの大事な日でもある。なので使用人達は張り切ってライラを着飾っていたわ。ライラの為と言うよりは、セルティラス伯爵家の威信に関わるからという理由のようね。
簡素な装いではなくかつ派手すぎない衣装で、ライラの髪色に近い黄色と白を基調としたドレス。お母様が直々に選んだと聞いているけれど、流石としか言いようがないわね…。

私は自身で選んだドレスにした。青を基調とした身体のラインが分かるドレスで、少し大人の雰囲気がある。白が入っているとはいえ、主の色が明るいライラのドレスと比べれば、正反対の色合いに見えるでしょう。
好んでこのドレスにしたのだけれど、彼女は勘違いした様子。


「まぁお義姉様!とても綺麗ですっ!」
「ありがとう。ライラもよく似合っているわよ。」
「ありがとうございますっ。お義姉様のその色合いだと、私が引き立てられますね!」

(素晴らしい嫌味ね…。)


分かっていて言っているから、余計にたちが悪いわね。
とはいえ勘違いするように仕向けたのは私。確かにこの色合いのドレスは好きだけれど、今回はよりライラが映えるようにした。


「……そうね。今回のパーティーの主役は、きっとライラよ。」
「そ、そうですか…?!」


軽く否定するのが貴族令嬢として正しい返答になる。一体どれほど自分に自信があるのでしょうね…。
初めて貴族のパーティーに出席するというのに、ライラに緊張した様子は感じられない。緊張しない性格なのかもしれないけれど。
彼女の後ろで会話を聞いていたお母様は、貼り付けた完璧な笑顔で近付いてきた。私からすれば不気味であり恐怖でしかないわ…。


「へレアの言う通りね。ライラはかなりの注目を集めるはずよ。上流貴族の方々には、失礼の無いようにね。」
「お義母様……勿論ですっ!」


とても嬉しそうにしているライラ。しかしお母様のこの言葉には、違う意味があるように感じた。


「お義母様、お義姉様。私、セルティラス伯爵家に迎え入れてもらえて、本当に良かったです!」


そう言うと、ライラは礼儀作法の勉強を少しでも復習したいからと、部屋に戻って行った。本当にしているのかは分からないけれど…。
私はお母様の方に向き直った。お母様に先程までの笑顔など無く、無表情で去り行くライラを睨んでいた。怒った時でさえ見た事がないようなその表情に、思わず固まってしまった。


「……。」
「そんなに人の顔を見つめて、何か面白いことでもあるのかしら。それとも私の顔が変だとでも?」
「い、いえ…私は何も言っていませんが…。しかしお母様、先程の『注目を集める』とは、良い意味ですか?それとも……」
「ご想像にお任せするわ。」


笑顔で即答したお母様。やはり良くない方ね…。
今回のパーティーにおいて、ライラは必ず注目される。平民から貴族の養子、それも社交界で名高きセルティラス伯爵夫人が認めた子ともなれば尚更ね。だからこそ第一印象が最も重要になってくる。
貴族は誰しも本音を隠す。本音はその人を表す本性も同然。故に貴族は偽りの中の本当の姿を見極める。ドーフェンほどの洞察眼ではないけれど、ほんの少しの隙も見せてはいけないわね。

そして貴族達の印象次第で、2つの注目のされ方に分かれるでしょう。
1つは『可愛い、美しい、天使のよう』といった好印象での注目。これはメリーア様が仰っていたような展開になっていくわね。しかしもう1つはお母様の考えている悪印象で、ドーフェンが感じ取ったような『不気味、可愛子ぶっている』や『自分の容姿に自信があり過ぎる』といった、ライラを異質な者として見る注目。
私としては後者の方になる確率が高いと思うけれど、『ヒロイン』の力というものがどこまで働くのか分からない。殆どの人が前者のような考えになる可能性もある。


「へレア。気を抜いては駄目よ…。」


やはりお母様は鋭い。味方で良かったと本気で思うわね。


「無論です。」


建国祝賀パーティーはもうすぐ始まる。
どのような結果になるのか、少し楽しみね──
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