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第8話
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その後も順調に……とても順調に証拠収集は進んでいきました。
ザーディヌ殿下は私が婚約破棄を諦めたと思っているようです。
そんなはずはないのですが。
「シュレア様。本日もいつもと同じようにしてまいりました。」
「ありがとう、ヴィレル。今日も顔を出されなかったわね。」
「そうですね……。これで4日目ですか。」
【王子が職務放棄とは、呆れますね。】
「でも今日で終わりよ。全てをお父様に話す日なのだから。」
「【ですね!】」
仕事も終わり、私は公爵家へと戻りました。
前日に話があるとお父様に言っていたので、時間になると同時に書斎を訪ねました。
大量の証拠書類を持って……。
「お父様、シュレアです。」
「入れ。」
「失礼致します。」
「--今日は何用だ?」
婚約破棄の話はするなとでも言うかのように、少し重い声音で私に問うてきました。
しかしこんなところで引くわけにはいきません。
私はなにがなんでも婚約を破棄すると決めたのです。
そのために仕事を代わりに行い、我慢してきたのですから。
「…こちらを見ていただきたいのです。」
「これは?」
「ザーディヌ殿下の現在です。」
「……現在?」
「はい。この1週間の殿下のご様子です。仕事のほとんどを私に任せて自室に戻られており、何をなさっているのかをお父様にも知って頂きたいと思いまして。」
「……。」
「私はもう……何故あの方のために尽くしているのか分からなくなりました…。己が行うべき職務を放棄し、楽しむことしかしていない………。私はずっと……っ…!?……申し訳…っ……ありません…。」
何故か涙が溢れてきました。
……私はただ、誰かに知って欲しかったのです。
相手が王子という立場上、3年前から続いているこの状況を友人はおろか、家族にすら言っていません。
ずっと1人で抱え込んでいたのが、本当は良くなかったのでしょうね……。
涙が溢れて止まらず、少なくとも1分以上は泣いていました。
するとお父様が私の側まで来ました。
「シアの気持ちは分かった。国王陛下とも話をしよう。その上で最終決定をする、で良いか?」
「…っ……ありがとう…ございます……。」
「こんなものを用意されては、見て見ぬ振りはできないしな。しかし、どうやってこれを?撮影魔道具で撮ったものだろう?」
「それはその……魔法で部屋に行ってですね………。」
「はぁ……分かった。明日、国王陛下に謁見出来るようにしておこう。陛下に魔法が使えることがばれてしまうと思っておけよ。まぁ知っていたかもしれんが……。」
「はい…。」
お父様は納得してくださり、国王陛下とお話の場を設けるとのこと。
その後、退室した私は夕食やその他やることを済ませ、寝台に横になりました。
「明日で全てが変わるか、変わらないか…ですね……。殿下が行動を改めてくださる可能性は皆無ですし…。」
貴族は大変です。
自分の意思よりも、上の立場の方の意思が優先されます。
婚約や婚約破棄は特に、親の決定が絶対となるのです。
しかし王子という立場の方が、国王陛下に願い出るのならば例外となります。
王家の者の評判は国家維持に関わりますから、進言するなどの場合は重要視されるのです。
つまり、ザーディヌ殿下が国王陛下に言ってくだされば良いのです…。
殿下……私はもう貴方に尽くしたくなどありません。
婚約者に全てを任せ、自分は楽をする王子など、一体どこにいると言うのですか?
………ここに居ましたね…。
そうです、私はそんな方と婚約をしているのです……。
初めから厳しくしておけば良かったのでしょうか。
たとえ婚約者であろうと、仕事を誰かに任せてはいけないと言い、甘やかさなければ……。
今さら『ああすればま良かった』、『こうしておけば…』ということを言っても無駄ですね。
婚約破棄が出来そうなところまできたのです。
この機会を逃せば、次はないでしょう。
そうなれば、婚約破棄など夢となります。
国王陛下への謁見時に、上手く話さなければなりません。
「はぁ……さっさと婚約破棄してくださいませんか?ザーディヌ殿下…。」
独り言を呟き、私は眠りに落ちました。
ザーディヌ殿下は私が婚約破棄を諦めたと思っているようです。
そんなはずはないのですが。
「シュレア様。本日もいつもと同じようにしてまいりました。」
「ありがとう、ヴィレル。今日も顔を出されなかったわね。」
「そうですね……。これで4日目ですか。」
【王子が職務放棄とは、呆れますね。】
「でも今日で終わりよ。全てをお父様に話す日なのだから。」
「【ですね!】」
仕事も終わり、私は公爵家へと戻りました。
前日に話があるとお父様に言っていたので、時間になると同時に書斎を訪ねました。
大量の証拠書類を持って……。
「お父様、シュレアです。」
「入れ。」
「失礼致します。」
「--今日は何用だ?」
婚約破棄の話はするなとでも言うかのように、少し重い声音で私に問うてきました。
しかしこんなところで引くわけにはいきません。
私はなにがなんでも婚約を破棄すると決めたのです。
そのために仕事を代わりに行い、我慢してきたのですから。
「…こちらを見ていただきたいのです。」
「これは?」
「ザーディヌ殿下の現在です。」
「……現在?」
「はい。この1週間の殿下のご様子です。仕事のほとんどを私に任せて自室に戻られており、何をなさっているのかをお父様にも知って頂きたいと思いまして。」
「……。」
「私はもう……何故あの方のために尽くしているのか分からなくなりました…。己が行うべき職務を放棄し、楽しむことしかしていない………。私はずっと……っ…!?……申し訳…っ……ありません…。」
何故か涙が溢れてきました。
……私はただ、誰かに知って欲しかったのです。
相手が王子という立場上、3年前から続いているこの状況を友人はおろか、家族にすら言っていません。
ずっと1人で抱え込んでいたのが、本当は良くなかったのでしょうね……。
涙が溢れて止まらず、少なくとも1分以上は泣いていました。
するとお父様が私の側まで来ました。
「シアの気持ちは分かった。国王陛下とも話をしよう。その上で最終決定をする、で良いか?」
「…っ……ありがとう…ございます……。」
「こんなものを用意されては、見て見ぬ振りはできないしな。しかし、どうやってこれを?撮影魔道具で撮ったものだろう?」
「それはその……魔法で部屋に行ってですね………。」
「はぁ……分かった。明日、国王陛下に謁見出来るようにしておこう。陛下に魔法が使えることがばれてしまうと思っておけよ。まぁ知っていたかもしれんが……。」
「はい…。」
お父様は納得してくださり、国王陛下とお話の場を設けるとのこと。
その後、退室した私は夕食やその他やることを済ませ、寝台に横になりました。
「明日で全てが変わるか、変わらないか…ですね……。殿下が行動を改めてくださる可能性は皆無ですし…。」
貴族は大変です。
自分の意思よりも、上の立場の方の意思が優先されます。
婚約や婚約破棄は特に、親の決定が絶対となるのです。
しかし王子という立場の方が、国王陛下に願い出るのならば例外となります。
王家の者の評判は国家維持に関わりますから、進言するなどの場合は重要視されるのです。
つまり、ザーディヌ殿下が国王陛下に言ってくだされば良いのです…。
殿下……私はもう貴方に尽くしたくなどありません。
婚約者に全てを任せ、自分は楽をする王子など、一体どこにいると言うのですか?
………ここに居ましたね…。
そうです、私はそんな方と婚約をしているのです……。
初めから厳しくしておけば良かったのでしょうか。
たとえ婚約者であろうと、仕事を誰かに任せてはいけないと言い、甘やかさなければ……。
今さら『ああすればま良かった』、『こうしておけば…』ということを言っても無駄ですね。
婚約破棄が出来そうなところまできたのです。
この機会を逃せば、次はないでしょう。
そうなれば、婚約破棄など夢となります。
国王陛下への謁見時に、上手く話さなければなりません。
「はぁ……さっさと婚約破棄してくださいませんか?ザーディヌ殿下…。」
独り言を呟き、私は眠りに落ちました。
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