【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒

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本編

プロローグ

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 国王は悩んでいた。第一王子であり王太子たるヴィアルス・ディア・セイランの婚約者を誰にするのかを……。

 第二王子のエイルスは既に婚約者がいた。だが王太子の婚約者、つまりは次期王妃となる者を決めるのだ。第二王子も王位継承権があるとは言え、王太子の方が慎重になるのは当然だった。20歳になろうとしている王太子の婚約者がいないなど、王国の歴史上有り得ないことだろう。ちなみにだが、エイルスは8歳の頃に公爵家の令嬢と婚約したいと言い出し、18歳となった今でも婚約は続いている。

 頭を抱える国王。そんな時、『今年度王立学園卒業者・成績』と書かれた報告書を見る。
 そこに書かれていたのは、王立学園に通っていた貴族の生徒、その3年間の成績をまとめたものだった。この時期になると、優秀な人材を確保する為に国王にこのような報告書が上がってくる。
 例年と代わり映えしないだろうと思いつつ手に取った国王だったが、ある生徒の成績に違和感を覚えた。よく見ると、意図的に成績が平均より少し上になる程度にされていたのだ。不正などではなく、あえてテストの点数などを自分で調整し、この成績になるようにしたのだと分かる人には分かった。
 国王はこの報告書を見て、彼女はとてつもなく賢いと気付いた……否、気付いてしまったのだ。それが罠だとも知らずに……。

 身辺調査も問題なしと判断した国王は、4歳差ならば許容範囲内と考え、婚約者にすることに決めた。名はレイシア・ユシェナート。ユシェナート侯爵の長女だった。
 彼女の父たる現当主は「妹を!」と面倒だったが、レイシアとの婚約は叶ったと国王は安堵していた。

 この時、全てはたった1人の手のひらの上だということを、誰も知る由もなかった──
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