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2度目の新歓パーティー準備 side A
しおりを挟む新歓パーティーの後、この忙しさがずっと続くのではと内心恐々としていたけど、あんがい穏やかなものとなった。生徒会が関わるイベントがないときは、週に1、2回お茶会感覚で集まり、その他は適当な時間に雑務をこなせば良かった。
お陰で友人達と変わらず一緒に過ごせた。
そしてあっという間に、あの卒業パーティー準備の時期になった。
次の生徒会役員は第三王子と、宰相を務める侯爵家嫡男、騎士団長の次男の方々が予定している。まだ入学していないので、卒業する先輩方もパーティー準備に携わってくれた。
問題は新歓パーティーだ。どうするのよ……と思ってたら、春休み前に、第三王子殿下御一行様が生徒会室にやって来た。
慌てて立ち上がりカーテシーをする。まだ入学前なので。
第三王子は、癖のあるクルンとした銀髪に紫の瞳のまだあどけなさの残る美少年だ。婚約者である公爵令嬢に優雅に挨拶したあと、私たちに向き直る。
「入学前だが生徒会の皆に挨拶に来た。王族ゆえ会長となるが、経験不足ため皆の手助けが必要になるだろう。私もその役に相応しくなるよう励むため、よろしく頼む」
美少年のキリリとした顔。眼福。公爵令嬢はお隣で満足そうに微笑んでいる。
「それから私達のために、生徒会主催の新歓パーティーの手が足りていないと聞いた。今日は補佐となる者を王宮から連れてきた」
補佐!私は歓喜しそうになるのを堪えて、第三王子の後に立つ方に目を向ける。癖のある金髪の二十代の男性。
「今は王宮事務官をしてますが、学園に通う頃は生徒会にいたので、力になれると思います。よろしく」
にっこりと微笑んだ。天の助けとはこの人のことだ!と心の中で叫んだ。
天の助け様、改めセス様のお陰で、新歓パーティーの準備はさくさくっと進んだ。一年前あんなに大変だったのは、自分たちの能力不足であったことを思い知った。けど右往左往しながらも努力したのは無駄ではないはずだ…………たぶん。
お陰で私にとって初めての春休みを迎えることができた。
今日は彼とお出掛けだ。2年生になってから気軽に誘ってくれるようになったと思う。嬉しい。
迎えに来てくれた彼と並んで歩いていると、突然愁い顔になった。
「何かあったの?」
「……1年生の子爵令嬢に新歓パーティーのエスコートを頼まれたんだ」
胸がチクリと痛む。けど私が何かを言える立場ではないのよね……。
「勿論断ったんだけど、泣かれてしまって申し訳ない気分になったよ」
彼が悲しげに微笑む。そんな顔でもキラキラしている。
「勇気を出したのに断られるのは、悲しいですね……。けど、断る方もツライですよね」
想いを拒絶されることを想像すると怖くなって、鳩尾の辺りで両手をギュッと握る。
「そうだね……。だけど、気持ちに応えるつもりが無いのに申し出を受けるわけにはいかないよ。……僕にはずっとエスコートしたい女性がいるんだし」
さらりと放たれた言葉に思わず表情が抜け落ちた。エスコートしたい女性……。急に胸が苦しくなる。一瞬で頭の中が不安と期待が交じってごちゃごちゃになった。
それでも気持ちを覆い隠すように笑顔を作る。
彼の綺麗な青い瞳がこちらを見ている。
「ずっと、君をエスコートをしたいと思ってたんだ。けど君には生徒会の役目があるよね。……だからせめて、君にドレスを贈らせて」
頭の中で鐘が鳴った。咄嗟に声が出ない。
「……受け取ってくれる?」
彼が小首を傾げて言う。その瞳は不安そうに揺れている。私は何とか声を振り絞った。
「喜んで」
私の言葉に、彼は今までで一番の笑顔を見せてくれた。
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