燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

文字の大きさ
136 / 360

十一

しおりを挟む
「綺麗な色だ。早咲きの薔薇の花びらの色だ」
 呟くような声が聞こえたかと思うと、右胸の先端をふたたび、やんわりと指で摘まれて、リィウスは叫んでしまう。
「ううっ!」
「実に旨そうだよ。食べてしまいたね。くっ、くっ、くっ」
「あっ! よ、よせっ!」
 男の舌で舐めあげられ、リィウスはおぞましさまに身震いせずにいられない。
「ふふふふふ」
 男は面白がって、舌で舐めあげ、唇で吸いあげ、音をたてて幾度となく接吻する。羞恥もなく平然とそういうことをやってのけるところからして、彼の神経の太さがうかがいしれる。
「も、もう、よせ! やめろ!」
 悲鳴じみた懇願を完全に無視して、相手は、今度は左胸におなじ愛撫をほどこし、リィウスをいたたまれなくさせる。
 男でありながら男によって胸を嬲られるのは、下半身を嬲られるより強烈な屈辱感をリィウスにもたらした。
「ああっ! ああっ! も、もぉ、もぉ、よせ……」
 相手を突き飛ばしてやりたくとも、腕は宦官たちによって抑えこまれており、リィウスはなす術なく、散々、ねちねちとウリュクセスの異常なまでに執拗な愛撫に耐えるしかなった。
「うう! ううう! ああっ!」

 どれぐらい時間がたったか……。それは実際にはわずかの時だったのだが、リィウスには果てしなく長い時間に感じられた。
 やがて、最後にきつく胸をつかまれた刹那、リィウスの身体は馬上でひきつった。
「あっ、ああっ、ああっ、あああああ!」
 きわめた瞬間にあっても、羞恥を忘れることはできない。むしろ羞恥の情感が、最高の媚薬となってリィウスを煽り、はじけさせた。
 獣の目をした男と女と宦官たちの環視のなかで、リィウスは絶望的な快楽をあじわっていた。 
 一瞬、ほんの一瞬だが、リィウスの魂はエリュシオンへと飛翔した。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

少年達は吊るされた姿で甘く残酷に躾けられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...