燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 それは幼子が、蝶をつかまえて羽をもぎたがったり、美しい純白の花を、あえてめちゃくちゃにちぎり、泥土の上に落としたがったりする気持ちに似ているのかもしれない。そしてこの時代、彼らにかぎらず人々は残酷な見世物が大好きだった。
 今のリィウスはそんな獰猛な人種にとって、最高の見世物とされているのだ。
「私はいつまでも君の恥じらう姿を見たいが……。だが、悦ぶ顔も見たいな。怯えることはないよ。思う存分感じるがいい」
「ああ……! そんな……」
 ひっく、と子どものようにリィウスは泣きじゃくった。
 最後の理性の壁にひびが入っていく。
「も、もう……ああ!」
「よしよし、いい子だ」
 ウリュクセスが、かわいた右手でリィウスの胸をなぶる。
「うう……!」
 あわい紅色の先端を軽くつままれ、リィウスは悔しげに首を振る。
「ふむ」
 蕾が開く瞬間を観察しようとする無邪気な少年のようにウリュクセスが目を凝らす。
「ウリュクセス様、片方だけでは可哀想。両方いつくしんであげたらいかが?」
 タルペイアの提案にウリュクセスは頷いてみせる。
「こうかい?」
 楽しげに両手の指でそれぞれ、両方の先端をつまみあげる。そんな動作はまるで少年のようだ。ある意味、快楽追及に一途で肉欲を解放することを純粋に喜んでいるのだ。
「ああ!」
 しばしの静止のあと、今度は両の掌で、それぞれのあるかなしかのかすかなふくらみを包み込むようにした。男の身体には無いはずの乳房を、まるであるかのように、女相手にそうするかのように揉む。
 実際、リィウスの胸は、タルペイアによって幾度となく調教されて感度を高められていたのだ。
「ああ……!」
 リィウスは顔を熱く燃やしてのけぞった。だが、次の瞬間、女のように胸を揉まれて反応している我が身がたまらなく呪わしく、惨めさに啜り泣いた。
(ああ、どうしよう……!)
 ウリュクセスの悪戯によって、今まで以上に火をつけられた身体は、もはやどうにもおさまらないところにまで来ていた。
「くくくくく」
 ウリュクセスの笑声が、リィウスの官能を微妙に刺激する。
 燃えたぎる肉体は、理性ではどうにもならないのだ。
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