326 / 360
四
しおりを挟む
「奴らは下級兵士のあつまりでね、いくらもがいたところで出世もできず、生活も楽ではない。それはすべて政府や政治に問題があると思いこんで、今の腐敗した門閥政治や元老院たちの権力争いをすべて放逐したいとのぞみ、そのためには最高権力者で、しかも悪い噂にことかかない皇帝を抹殺することを決心したんですよ」
愚かなことですね……。カニディアは首を横にふった。
「なんの意味もないというのに」
「おまえはいったい、何者なんだ?」
ディオメデスは、あらためてカニディアを見て、どこかしら不気味な気持ちになって訊いていた。
見た目は、とくにこれといって変わっているところはないが、この男は一緒にいる人間に奇妙な警戒心を抱かせる。そんな気持ちを読みとったかのように、相手は黒い目によこしまな光を弾けさせた。
「何者といわれましてもね。ただの商人ですよ。……ただね、私は薬草に詳しく、いろいろ効能のある、めったに手に入らない薬草を用意できるんですよ」
「なんなんだ、それは?」
扉の外では激しい物音が響いている。それも気になるが、今は、カニディアという男から感じる謎が気になる。
ディオメデスを焦らすように、カニディアはゆっくりとしゃべった。
「不老不死……とまではいかずとも、老化を遅くし、病にかかりづらくする薬です。あらゆる人が求めるものですね」
それは、たしかに誰しもが欲する薬だろう。
「その薬を欲しがる人たちが私たちに群がってくるのですよ」
「たち? おまえの他にもいるのか?」
「いますよ。姉です。双子の姉でね。私たちは薬草づくりを生業にしておりましてね。その縁で、いろいろな方たちとも親しくさせていただいているのですよ。ウリュクセスには長年、この仕事稼がせてもらいました。あなたの義母上や、柘榴荘の女将は私にとって上客です。ああいう女たちは不老を人一倍ねがっているのですよ」
「まぁ、そうだな」
女なら誰しもそうだろう。まして女であることを武器にして生きている女ならなおさらだ。男でも不老は夢だ。権力者や金持ちなら、手に入るならいくらでも金を出して、若さを買おうとするだろう。だが、そんな都合のいい薬が本当にあるのだろうか。
「絶対とはいえませんが、元気の出る薬や滋養にいい薬はありますよ。もともと栄養のある食事をして、そういった薬を服用していると、老化を止めることは……できずとも、遅くできますね」
愚かなことですね……。カニディアは首を横にふった。
「なんの意味もないというのに」
「おまえはいったい、何者なんだ?」
ディオメデスは、あらためてカニディアを見て、どこかしら不気味な気持ちになって訊いていた。
見た目は、とくにこれといって変わっているところはないが、この男は一緒にいる人間に奇妙な警戒心を抱かせる。そんな気持ちを読みとったかのように、相手は黒い目によこしまな光を弾けさせた。
「何者といわれましてもね。ただの商人ですよ。……ただね、私は薬草に詳しく、いろいろ効能のある、めったに手に入らない薬草を用意できるんですよ」
「なんなんだ、それは?」
扉の外では激しい物音が響いている。それも気になるが、今は、カニディアという男から感じる謎が気になる。
ディオメデスを焦らすように、カニディアはゆっくりとしゃべった。
「不老不死……とまではいかずとも、老化を遅くし、病にかかりづらくする薬です。あらゆる人が求めるものですね」
それは、たしかに誰しもが欲する薬だろう。
「その薬を欲しがる人たちが私たちに群がってくるのですよ」
「たち? おまえの他にもいるのか?」
「いますよ。姉です。双子の姉でね。私たちは薬草づくりを生業にしておりましてね。その縁で、いろいろな方たちとも親しくさせていただいているのですよ。ウリュクセスには長年、この仕事稼がせてもらいました。あなたの義母上や、柘榴荘の女将は私にとって上客です。ああいう女たちは不老を人一倍ねがっているのですよ」
「まぁ、そうだな」
女なら誰しもそうだろう。まして女であることを武器にして生きている女ならなおさらだ。男でも不老は夢だ。権力者や金持ちなら、手に入るならいくらでも金を出して、若さを買おうとするだろう。だが、そんな都合のいい薬が本当にあるのだろうか。
「絶対とはいえませんが、元気の出る薬や滋養にいい薬はありますよ。もともと栄養のある食事をして、そういった薬を服用していると、老化を止めることは……できずとも、遅くできますね」
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる