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第2章 ルイーズの気持ち
4 ルイーズの決心
しおりを挟む屋敷に戻ったルイーズは、リアムとミシェルがいるであろう図書室に向かった。
「リアム、ミシェル」
二人は姉の声に気付くと、読んでいた絵本から顔を上げて返事をした。
「姉上、お帰りなさい」「ねえたま、おかえり」
「ただいま。二人とも絵本を読んでいたの?」
「はい」「にいたまにね、よんでもらったの」
「そう、ミシェル良かったわね。リアムありがとう」
頷くリアムと笑顔のミシェル。
「そうだわ。今日は二人に嬉しいお知らせがあります」
「なんですか?」「なぁーに?」
「今度のお休みに、エリーが我が家に遊びに来ます。二人とも何か予定はありますか?」
「エリーさんが……。予定はありません!」「ありましぇん!」
「そう、それなら良かったわ。当日は、エリーのために美味しいお菓子を三人で作って、お出迎えしましょうね」
「はい、楽しみです」「うん!」
ルイーズは、エリーから屋敷へ訪ねていいかと聞かれ、嬉しさからすぐに了承の返事をした。今にして思えば、自分を心配してくれたエリーの気遣いだったのだと気がついた。目の前で喜ぶ二人を見つめながら、エリーの思いに感謝した。
♢
ルイーズは、二人の喜ぶ姿を微笑ましく思いながら図書室を後にした。
先ほどトーマスに、父の所在を確認すると、侍女のローラと一緒に理解しているという顔つきで頷かれた。二人は自分の顔を見るだけで、いつも察してくれる。そんな二人に感謝しながら父親の執務室へ向かった。
執務室では、父親のルーベルトと母親のエイミーが二人並んでソファーへ腰掛けていた。さすがトーマス。ルイーズの様子を見て、エイミーにも声を掛けたようだ。
「ただいま戻りました、ルイーズです」
部屋の中からルーベルトの「入っていいよ」という返事が聞こえてきた。ルイーズは
唇を引き結ぶと
「ああ、今日はどうしたんだ?」
何故かルーベルトは緊張した面持ちだ。微妙に声が上擦っている。その声に釣られてか、ルイーズも少しばかり緊張したが意を決して話し始めた。
「先日、考える時間をくださいと、お願いしたことを覚えていますか?」
「ああ……もちろんだよ」
何故か不安そうな顔で頷くルーベルトを見やると、ルイーズは口を開いた。
「お父様、時間をくださってありがとうございました。今の私には何ができるのか、次の婚約どうするのか。考えても、その答えは出ませんでした。でも、やってみたいと思えることが見つかったのです。私、侍女科で色々な経験をしたり、新しいことに挑戦してみたいです。どうか、侍女科で学ぶことを認めてはいただけませんか」
「…………」
「気持ちは決まっているのね」
「はい」
固まったままのルーベルトとは違い、エイミーはルイーズの表情を見て安心したようだ。トーマスやローラから、考え込むルイーズの話を聞いていたのだろう。まさかこんなにも早く、思いの丈を聞かせてもらえるとは思っていなかったような表情だが。
我に返ったルーベルトは、ルイーズに尋ねた。
「淑女科がいやなのか? そうではないのなら、今のままで良いじゃないか。新しい婚約者を探すから、もう少し待っていなさい」
「あなた!」
「坊ちゃま!」
「っ! 坊ちゃまじゃない!」
エイミーが呆然とするルイーズに声を掛けた。
「ルイーズ、お父様とお話をするから、お部屋に戻って宿題でもしていらっしゃい」
ルイーズは笑顔のエイミーに頷き返すと、三人の様子を気にしながらもその場を後にした。
その後の執務室では、エイミーとトーマスから、お説教をされるルーベルトの姿があったとか、なかったとか。
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