【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

青依香伽

文字の大きさ
23 / 84
第3章 侍女科

2 クラスメイト

しおりを挟む


 淑女科から侍女科に移って二週間が過ぎた。

 初日の授業は座学のみで、二日目からは実技の授業が始まったようだ。
 ルイーズとエリーは、クラスメイト達の動きを真剣な眼差しで見つめている。

 先に学んでいたクラスメイトたちは、優雅さには欠けるが丁寧な動きで無駄がない。
 そんな中、二人は思うように動けず焦りを感じているようだ。

 しかし、そんな二人も日が経つにつれて、動きが周囲に馴染んできた。最初の三日間は、皆の姿を見て愕然とした表情をしていたが、二人の表情にも少し余裕が感じられるようになった。

 だがそんな二人を心配してか、声を掛けてきたクラスメイトがいた。

「一緒にお昼ご飯でもどうですか?」

 端正な顔立ちをした背の高い少女が、二人をお昼に誘ってきた。実技の時に際立っていたため、二人とも記憶に残っていたようだ。二人は顔を見合わせ頷きながら彼女に返事をした。

「クレアさん、ありがとうございます。是非ご一緒させてください」

 ルイーズが答えると、クレアも微笑みながら頷いた。その時少女が一人、三人に向かって足早に近づいてきた。

「クレア、待っててって、言ったのに。私も誘ってよ」

「ミアは作業中だったから、先にお誘いしていたのよ」

「そっか、ごめん。私も一緒に良いですか?」

 ミアはクレアに謝ると、ルイーズとエリーに尋ねた。

「「もちろん」」

 ルイーズとエリーが返事をすると、四人は足並みを揃えて歩き出した。


 
 お弁当を持って目的の裏庭に出たが、ベンチは人で埋まっていたため、大木の木陰になっている場所へ移動した。

 クレアが持参した大判のブランケットを芝の上に敷くと、四人はそこでお弁当を食べ始めた。

 落ち着いてきた頃、クレアは二人に問いかけた。

「侍女科に来てから二週間が経ったけど、授業やクラスには慣れたかしら?」

「今は、皆についていくだけで必死ね」

「そうね。私もそれだけで精一杯だわ」

 エリーとルイーズが答えると、クレアが心配そうに二人に告げた。

「そろそろ疲れも出てくるころだから、お休みの日はゆっくり休んでね。それに、侍女科は体力勝負だから、これからは体力をつけることも考えた方が良いわ」

 ルイーズとエリーはクレアの言葉に頷いた。

「そう、それそれ! 私もいつもマノン先生に言われてたわ。やっぱり姉妹ね。言うこともそっくり」

 ミアに暴露され、苦笑いのクレア。

「何となく似ていると思ったら……。姉妹だったのね」とエリーが呟いた。

「そうなの。隠してるわけではないのだけど……。それから、姉も二人を心配していたわ。疲れが出るころだから、あまり無理はしてほしくないって。これから、家事以外の授業も増えるから、何かあったら相談してほしいと言っていたわ」

「そうなのね、ありがとう。何かあったらマノン先生に相談するわ」

 ルイーズは苦手な(御髪の整え方)について、早速マノン先生に相談しようと思うのだった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

銀鷲と銀の腕章

河原巽
恋愛
生まれ持った髪色のせいで両親に疎まれ屋敷を飛び出した元子爵令嬢カレンは王城の食堂職員に何故か採用されてしまい、修道院で出会ったソフィアと共に働くことに。 仕事を通じて知り合った第二騎士団長カッツェ、副団長レグデンバーとの交流を経るうち、彼らとソフィアの間に微妙な関係が生まれていることに気付いてしまう。カレンは第三者として静観しているつもりだったけれど……実は大きな企みの渦中にしっかりと巻き込まれていた。 意思を持って生きることに不慣れな中、母との確執や初めて抱く感情に揺り動かされながら自分の存在を確立しようとする元令嬢のお話。恋愛の進行はゆっくりめです。 全48話、約18万字。毎日18時に4話ずつ更新。別サイトにも掲載しております。

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。

【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!

風見ゆうみ
恋愛
「王族に嫁いだ者は、夫を二人もつ事を義務化とする」  第二王子の婚約者である私の親友に恋をした第三王子のワガママなお願いを無効にするまでのもう一人の夫候補として思い浮かんだのは、私に思いを寄せてくれていた次期公爵。  夫候補をお願いしたことにより第一王子だけでなく次期公爵からも溺愛される事に?!  彼らを好きな令嬢やお姫様達ともひと悶着ありですが、親友と一緒に頑張ります! /「小説家になろう」で完結済みです。本作からお読みいただいてもわかるようにしておりますが、拙作の「身を引いたつもりが逆効果でした」の続編になります。 基本はヒロインが王子と次期公爵から溺愛される三角関係メインの甘めな話です。揺れるヒロインが苦手な方は、ご遠慮下さい。

婚約破棄を希望しておりますが、なぜかうまく行きません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のオニキスは大好きな婚約者、ブラインから冷遇されている事を気にして、婚約破棄を決意する。 意気揚々と父親に婚約破棄をお願いするが、あっさり断られるオニキス。それなら本人に、そう思いブラインに婚約破棄の話をするが 「婚約破棄は絶対にしない!」 と怒られてしまった。自分とは目も合わせない、口もろくにきかない、触れもないのに、どうして婚約破棄を承諾してもらえないのか、オニキスは理解に苦しむ。 さらに父親からも叱責され、一度は婚約破棄を諦めたオニキスだったが、前世の記憶を持つと言う伯爵令嬢、クロエに 「あなたは悪役令嬢で、私とブライン様は愛し合っている。いずれ私たちは結婚するのよ」 と聞かされる。やはり自分は愛されていなかったと確信したオニキスは、クロエに頼んでブラインとの穏便な婚約破棄の協力を依頼した。 クロエも悪役令嬢らしくないオニキスにイライラしており、自分に協力するなら、婚約破棄出来る様に協力すると約束する。 強力?な助っ人、クロエの協力を得たオニキスは、クロエの指示のもと、悪役令嬢を目指しつつ婚約破棄を目論むのだった。 一方ブラインは、ある体質のせいで大好きなオニキスに触れる事も顔を見る事も出来ずに悩んでいた。そうとは知らず婚約破棄を目指すオニキスに、ブラインは… 婚約破棄をしたい悪役令嬢?オニキスと、美しい見た目とは裏腹にド変態な王太子ブラインとのラブコメディーです。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

処理中です...