【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

青依香伽

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第6章 問題解決に向けて

4 リアムの考え

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 黙り込むリオンを横目にキースが口を開いた。

「そうだ。リオンには、従妹にハニートラップを仕掛けるために、女性に慣れてもらおうと思ってな。聞くところによると、その従妹はリオンに惚れているらしい。でも気が強いらしくてな。今のリオンだと押され気味になるのが目に見えている」

「そういうことですか……それで、リオンさんもされるがままに、抵抗しなかったんですね」

 キースは口元を歪ませるとエマに鋭い視線を向けた。

「エマ…あまり、リオンを虐めないでくれるか?」

「虐めてなんていないわ。ただ……ちょっと残念に思っただけよ」

 吐き捨てるようなエマの言葉を聞いたリオンは何やら考え込んでいる。

「君も幼いが、後継者教育を受けてるだろうから分かるよな。色恋も大事だが、後継者になる者にとって大事な時機がある。今はクレメント家にとっても、国にとってもその時なんだ」

 キースは、ルイーズの身内であるリアムに話を振った。

「僕は、幼いという年齢ではありません。それに、教育は受けていますから、跡継ぎにとって大事なことはもちろん学んでいます。色恋には疎いかもしれませんが、それでも大事なものは分かります。姉を傷つける人は、絶対に許しません。父も同じ考えだと思います」

「リアムの言う通りだ………」

「お前、やらないつもりか? 相手が結婚を狙っているなら、お前が誘惑すれば簡単に口を割るかもしれないんだぞ」

 その発言を聞いたリアムはキースに鋭い視線を向けた。

「公爵令息様は、リオンさんが色仕掛けをできると思っているんですか? 僕は無理だと思います。それから、リオンさんもできないのなら違うやり方を考えてください」

 それまで黙って会話を聞いていたクロードがリアムに微笑んだ。

「リアム、その通りです。ちなみにリアムだったらどうしますか?」

 しばらく悩んだリアムは、エマの顔を覗き見た。それに気づいたエマは、リアムが遠慮してるとでも思ったのか、後押しするような言葉を吐いた。

「良いのよ、リアム君。遠慮せずに言ってやりなさい」

 リアムはそんなエマに頷き返した。

「その従妹さんが押しの強い人なら、エマさんに話してもらうのが得策かと思います。エマさんが話すことによって、何か情報を引き出せるのではないかと思います」

 黙って聞いていたキースがエマに顔を向けた。

「エマ、行けるか?」

「えっ? 行けるかって......ちなみに、リアム君。今の発言は、押しの強い私が従妹を相手して来いってことかしら?」

 リアムは視線を床に落とすと、「ごめんなさい」と呟いた。

「エマ嬢、すまないがよろしく頼む」

 申し訳なさげなリアムと、頭を下げるリオンを見たエマは、不満げな様子ながらも承諾した。

(ここにいる方たちは、ゆくゆくは当主になるのよね。他にやり方はなかったのかしら)

 ルイーズが隣に目を向けると、エリーが軽く頷いた。性格は違うが、考え方が似ている二人。ルイーズは、その様子にほっとした。

 それからは全員で、パーティー当日の計画を話し合い、ルイーズとエリーとリアムの三人は、この部屋で待機することになった。

「では、そういうことで。当日は何が起こるかわからない。三人は絶対に部屋からは出ないように」

 三人はリオンに念を押されて頷いた。

 話し合いも終わり、キースやクロードが部屋から退出しようとする中、リオンはその場を動けずにいるようだ。

「ルイーズ、少し良いだろうか?」
「はい、何でしょうか」

 ルイーズの淡々とした話し方に戸惑うリオン。

「すまなかった」
「何について…でしょうか……?」
「…………」

 ルイーズは黙り込むリオンに戸惑いながらも口を開いた。

「リオンさん、先日は看病をしていただいて、ありがとうございました」

「いや、良いんだ。自分がしたくてしたのだから。——回復して良かった」

「感謝しています。それと……私は、リオンさんから呼び捨てで呼ばれる関係ではないと思います。できれば、他の方たちと同じ呼び方にしていただきたいです」

「いや……だったのだろうか。すまない、気をつける」

「はい、お願いします」

 それからしばらくしても話し出さないリオンに、ルイーズはお辞儀をしてテーブルの上を片付け始めた。



 その一部始終を見ていたエマとキースは……。


「リオンさんって、あそこまで不器用だったかしら……」

「いや、女性に対して笑顔を向けることはないが、舞踏会やお茶会ではそれなりに接していると思う。言い寄られれば、上手く躱しているしな。まさか、本命を前にすると、あそこまで酷くなるなんて思わなかった。なあ、ルイーズ嬢は怒っているのか?」

「うーーーん。わからないわ。ねえ、エリー。ルーちゃんは怒ってるの?」

「怒ってないわ。でも、あんなルイーズは初めて見るかもしれない」


 リアムは皆の会話を聞きながらリオンを見ていた。すると、すっと立ち上がり、リオンの側に歩み寄った。

「——姉上は、料理も好きですが、花が好きです」

「......リアム、ありがとう」

 リアムは弱々しく笑うリオンの背中を軽くと叩いた。
 ルイーズのお世話係をした二人には、やはり絆が結ばれていたようだ。


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