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裏-3
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ただいま、我が家。
何だか大したことはしていないのに疲れた気がする。
今日は簡単なごはんで済ませてもいいかな。
手を洗い、居間に戻ってくると、ディオンが静かに泣いていました。
「ディオン?」
何故そんなにも静かに涙を零しているのだろう。今日はさすがに泣いていいのは私だと思うのに。
それでも、普段は強面、裏の顔は愛が駄々漏れの困ったこの夫がはらはらと涙を落とす姿は初めてで、どうにも放ってはおけず、つい、その涙に手を伸ばした。
「……俺をおいて行かないでくれ」
涙を拭おうとした手に縋る様にしながら言われた台詞に、頭の中で疑問符が飛び交ってしまう私はおかしくないと思う。
「なぜ私が貴方を置いていくの?」
「だって……赤子を産むのは命懸けだと言うじゃないか……俺は、お前を失いたくないのに……」
……まあ。いつの間にやら私の死が確定していたようです。
本当にもう、何と言ったらよいのか。
「それで怒っていたのね」
「……怖かったんだ」
「さすがに傷付いたわよ?」
「…悪かった」
「でも、私以上に私のことを大切に考えてくれてありがとう」
私はただ漠然と子供が欲しいとしか考えてなかった。
出産のリスクとか、知識はあったけど自分がそうなるかもとは思いもしなかったわ。
「そうよね、出産は命懸けって言うものね」
「……すまん、代わってやれなくて」
赤ちゃんもこんなゴツい強面さんがママでは可哀想かも。
「あら?でも、避妊してないわよ?」
「…………」
「ディオン?」
何故顔を背けるの。さては。
「悪い、今まで避妊薬を飲んでいた!」
やっぱりっ!!
「こら、それはルール違反でしょう?」
子供に関しては二人で考えるべきことなのに、勝手に避妊するのは駄目だと思う。
「だって!ラシェルに俺達の子供が欲しいって言われたら叶えてあげたくなるじゃないかっ!!君は子供が好きだし!俺だっていつかはって思ったりするけど、でもラシェルを失いたくない!まだそんな覚悟が出来てないんだっ!だから猶予が欲しくて…っ、……本当に悪かった」
まあ、まだ新婚だし子供がいなくても全然おかしくはない。ただ、一言相談して欲しかった。
でも、この人は私のお願いを無下に出来ないから。
うーん、これはお咎め無しかな。
「いつも私の気持ちを大切にしてくれて嬉しい。でも、だからってディオンが我慢するのは嫌よ。
意見が合わなくたっていいじゃない。そうしたら、どうやったら二人が納得出来るのかとことん話をしましょう?」
「……ラシェルはやっぱり女神……」
「あら、貴方の最愛の妻よ?ね、私の大切な旦那様」
「ラシェル、愛してるっ!!!」
がばっ!と抱きつかれ、暑苦しいことこの上ないけど仕方がない。仲直りは早い方がいいものね。
「ふふ、ディオン好きよ」
ビタッ!!!とディオンの動きが止まった。
「ディオン?」
え、何でそんな驚愕してるの。瞳孔開いてない?
と思ったらまた大粒の涙がこぼれ落ちた。
「……初めてラシェルが好きだと言ってくれた」
ん?そうだったかしら?
ああ、外ではそんな雰囲気にならないし、家ではいつもディオンが愛を垂れ流すから、私から言うことは無かった……かも?
「恋愛結婚じゃないし、俺はこんな顔で口も悪い。だから仕方がないと思って」
「ディオンはカッコイイと思うわ」
強面だけど。そして口が悪いというより、外での塩対応と家での溺愛の温度差で風邪を引きそうなくらいかな。
「え!?あ、いや、気を使ってくれなくても」
「使ってないわよ?ディオンのお顔は案外好きだもの」
一見硬派なのに私への愛が止まらない所も面白いし。
「でも、出来れば外でももう少し優しくしてくれるとうれしいのだけど?」
外での塩対応に慣れたとはいえ、それが心地よいわけではもちろん無い。誰だって優しくしてもらえる方が嬉しいものです。
「……俺がデレデレしていたら気持ちが悪いだろう」
まあっ!自覚があったとは驚きです。
「家ではいつも見てるわよ?」
「夫婦だからな。妻にはありのままの自分を見せてもいいだろう?」
「なるほど」
正しいような、……うん、正しいか。
「分かった。じゃあ、これからも私にだけは本当の気持ちを見せてね」
「心得た」
強面夫の溺愛顔を見ることは、妻だけの特権のようです。
何だか大したことはしていないのに疲れた気がする。
今日は簡単なごはんで済ませてもいいかな。
手を洗い、居間に戻ってくると、ディオンが静かに泣いていました。
「ディオン?」
何故そんなにも静かに涙を零しているのだろう。今日はさすがに泣いていいのは私だと思うのに。
それでも、普段は強面、裏の顔は愛が駄々漏れの困ったこの夫がはらはらと涙を落とす姿は初めてで、どうにも放ってはおけず、つい、その涙に手を伸ばした。
「……俺をおいて行かないでくれ」
涙を拭おうとした手に縋る様にしながら言われた台詞に、頭の中で疑問符が飛び交ってしまう私はおかしくないと思う。
「なぜ私が貴方を置いていくの?」
「だって……赤子を産むのは命懸けだと言うじゃないか……俺は、お前を失いたくないのに……」
……まあ。いつの間にやら私の死が確定していたようです。
本当にもう、何と言ったらよいのか。
「それで怒っていたのね」
「……怖かったんだ」
「さすがに傷付いたわよ?」
「…悪かった」
「でも、私以上に私のことを大切に考えてくれてありがとう」
私はただ漠然と子供が欲しいとしか考えてなかった。
出産のリスクとか、知識はあったけど自分がそうなるかもとは思いもしなかったわ。
「そうよね、出産は命懸けって言うものね」
「……すまん、代わってやれなくて」
赤ちゃんもこんなゴツい強面さんがママでは可哀想かも。
「あら?でも、避妊してないわよ?」
「…………」
「ディオン?」
何故顔を背けるの。さては。
「悪い、今まで避妊薬を飲んでいた!」
やっぱりっ!!
「こら、それはルール違反でしょう?」
子供に関しては二人で考えるべきことなのに、勝手に避妊するのは駄目だと思う。
「だって!ラシェルに俺達の子供が欲しいって言われたら叶えてあげたくなるじゃないかっ!!君は子供が好きだし!俺だっていつかはって思ったりするけど、でもラシェルを失いたくない!まだそんな覚悟が出来てないんだっ!だから猶予が欲しくて…っ、……本当に悪かった」
まあ、まだ新婚だし子供がいなくても全然おかしくはない。ただ、一言相談して欲しかった。
でも、この人は私のお願いを無下に出来ないから。
うーん、これはお咎め無しかな。
「いつも私の気持ちを大切にしてくれて嬉しい。でも、だからってディオンが我慢するのは嫌よ。
意見が合わなくたっていいじゃない。そうしたら、どうやったら二人が納得出来るのかとことん話をしましょう?」
「……ラシェルはやっぱり女神……」
「あら、貴方の最愛の妻よ?ね、私の大切な旦那様」
「ラシェル、愛してるっ!!!」
がばっ!と抱きつかれ、暑苦しいことこの上ないけど仕方がない。仲直りは早い方がいいものね。
「ふふ、ディオン好きよ」
ビタッ!!!とディオンの動きが止まった。
「ディオン?」
え、何でそんな驚愕してるの。瞳孔開いてない?
と思ったらまた大粒の涙がこぼれ落ちた。
「……初めてラシェルが好きだと言ってくれた」
ん?そうだったかしら?
ああ、外ではそんな雰囲気にならないし、家ではいつもディオンが愛を垂れ流すから、私から言うことは無かった……かも?
「恋愛結婚じゃないし、俺はこんな顔で口も悪い。だから仕方がないと思って」
「ディオンはカッコイイと思うわ」
強面だけど。そして口が悪いというより、外での塩対応と家での溺愛の温度差で風邪を引きそうなくらいかな。
「え!?あ、いや、気を使ってくれなくても」
「使ってないわよ?ディオンのお顔は案外好きだもの」
一見硬派なのに私への愛が止まらない所も面白いし。
「でも、出来れば外でももう少し優しくしてくれるとうれしいのだけど?」
外での塩対応に慣れたとはいえ、それが心地よいわけではもちろん無い。誰だって優しくしてもらえる方が嬉しいものです。
「……俺がデレデレしていたら気持ちが悪いだろう」
まあっ!自覚があったとは驚きです。
「家ではいつも見てるわよ?」
「夫婦だからな。妻にはありのままの自分を見せてもいいだろう?」
「なるほど」
正しいような、……うん、正しいか。
「分かった。じゃあ、これからも私にだけは本当の気持ちを見せてね」
「心得た」
強面夫の溺愛顔を見ることは、妻だけの特権のようです。
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