強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ

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「どうやらお前を甘やかし過ぎたようだ」

 まあ確かに。普段の貴方はドロドロの甘々ね。
 ただし、今のディオンの形相はどちらかと言うと殺人鬼。お巡りさん、こちらでーす!と言われてもおかしくない雰囲気です。

 でも、子供が欲しいって言っただけなのにな。

 もしや強面だから子供にすぐに嫌われるとか?まあ、確かにこのお顔を見たらチビっ子がギャン泣きする姿が目に浮かびます。
 ……うん、双方可哀想かも。

「そうね、ごめんなさい」

 意味も無く誰かに嫌われるのも、嫌いな相手と共に暮らさなくてはいけない苦痛も確かに考えていなかった。
 顔が怖いって大変ね?

「分かればいい」
「おい、ディオン!さすがに酷過ぎるぞ」
「そうよ。ラシェルさんはうちの天使ちゃんを見て、子供が欲しいなって言ってくれただけでしょう!
 そもそも結婚したら子供を欲しいと望むなんて当然のことじゃない」
「当然だと?そんな漠然とした浅い考えで軽々しく口にしていい言葉じゃない」
「アンタ何様!?」
「ラシェルの亭主だが?」

 ごめんなさい、出産祝いに来たのに喧嘩させて。

「あの、ありがとうございます。可愛い赤ちゃんに会えて嬉しかったです。何かお手伝い出来る事があったら遠慮なく言って下さいね!」

 これを機に騎士の奥様ネットワークに繋がっておかないと。奥様情報は侮れません。

「やだ、ラシェルちゃんたら何ていい子なの!?」
「おい。勝手な約束をするな」
「ちょっとディオン、いい加減にしなさいよ?ラシェルちゃんを雑に扱わないの!」

 ごめんなさい、雑に扱われたことは無いんです。

「ディオンはいつも優しいですよ」

 ちょっと暑苦しいとか重苦しいとは思うけど。

「どこが?こんな偉そうな男なんて燃えるゴミの日に出しちゃいなさい」

 ゴミは酷い。燃えるゴミということは燃やすのですよ?それはあまりにも極刑過ぎるわ。
 せめて『拾って下さい』と張り紙をして橋の下に放置では?

 こんな恐ろしい会話が繰り広げられているのに、赤ちゃんはスヤスヤと寝ているのですから凄い。

 ……赤ちゃん可愛いのになあ。

 普段はディオンの物言いなど欠片も気にならないのに、さすがに今日はショックだったみたい。

 それでも何とか明るい雰囲気を壊さない様に頑張りましたが、帰りの道中は互いに無言でした。




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