俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた

ましろ

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かつて、ここまでハッキリ・キッパリ殿下の短所を指摘した人物がいただろうか。いや、いない!

護衛たちの心の中は拍手喝采、スタンディングオベーション状態。
殿下が優秀なのは分かっているが、やはり時々ほんの少しだけ『偉そうに』と思ったりしちゃったりしちゃってたので、つい、頬が緩みそうになる。

「……そこを直したら結婚するのか」

───ん?

喜びを噛み締めていたら、不思議な台詞が聞こえたよ?

「は? 今、そんな話をしていましたか?」
「していただろう! じゃあ、お前は何でここに呼び出されたんだ!」

確かに。そう言われるとそうですが。
やはり王族とは天上人。思考回路の出来が違うのだなと理解した。天上人と壁様だとどちらがマシなのか。

「そうなのです。そこからおかしいと思うのですよ」

護衛たちはすでに殿下の会話についていけず諦めかけたが、人生が懸かっているナディージュ嬢はここで有耶無耶にはできなかったようだ。

「まず、私が王太子妃にふさわしいか。これは否定させていただきます」
「なぜだ」
「まず、爵位が低い。それに、後ろ盾になれるほどの権力も財力もなく、私自身三年もの間国外にいましたから社交界でも新参者です。ようするに、次代の国母にふさわしい肩書きがゼロ」

一応、王家に嫁げるのは伯爵家以上と決められていますが、これは公爵家ならびに侯爵家に年齢のつり合う令嬢がいない場合の救済措置のようなもの。
しっかり現実が見えている令嬢にちょっと悲しくなってしまう。

「ですから、殿として選ぶなら、カルノー公爵家かリサジュー侯爵家から選ぶべきですわ」
「……違う。俺は、王子としてではなくバスチアンとして……ひとりの男として君に妻になってほしいと願っているんだ」

えっ! ここでまさかのガチ告白‼ 誤解してました、殿下! 殿下はやればできる子、男を見せた!

「え、継承権を放棄なさるの?」
「違う! そうじゃなくて!」
「王子としての立場を捨ててひとりの男として求婚したわけでは?」
「それくらいの覚悟というだけで、そんなに簡単に捨てていいものではないだろう⁉」
「……そんなにも私をいびり倒したいと? 人生をかけてまで?」
「~~っ、だからっ!お前のことが好きだと言っているだろうっ‼」

言った! とうとう殿下が好きだと言ったぞ‼

「いえ、言ってませんよ。今、初めて聞きました」

あ、すごく冷静な返しだ。

「て、え? 好き? 私のことを?」

おお、伝わるのに時間がかかっただけ?
護衛たちの手はすでに汗でビッショリだ。暴走馬車に乗せられたかのように先がみえず、ずっとハラハラドキドキしっぱなし。寿命が短くなった気すらしてきた。

「……素直になれなくてすまなかった。
でも、本当にナディージュのことが好きなんだ」

……うわ、恥ず! なんか耳の中が痒くなってきましたぞ⁉
護衛たちはとうとう我慢できずにモゾモゾとし始めるが、それを咎める者はいない。そして、

「殿下、私───」




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