俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた

ましろ

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さあ、どうする。ここで殿下は告白するのか?! と、ナディージュ以外の期待が高まっていく。
いくら素直になれない男でも、20歳を越えたらさすがに───

「どうしてお前はそんなにも生意気なのだっ! だから婚約者の一人もいないのだろう!!」

あ?! まだこじらせているのか!!

「私一人くらい生意気でも世の中は変わらず回っていきますからお構いなく」
「今っ! この俺が困っているっ!」
「何故です?」
「なっ、な、何故って」
「ああ。いつもの難癖ですか」
「違うっ!!」
「では、何が困るのか。30文字以内で答えよ」
「おまっ、ワザとだろう?!」

そんな遣り取りを眺めながら、この二人は一生結ばれないかも。と、高まっていた会場の熱が霧散していった。

「私は普通に受け答えをしているだけです。ただ、殿下が勝手に苛ついているだけでしょう? 要するに私達の相性は最悪であり、結婚など以ての外だということですわ。一体殿下は何を思って私に求婚をしているのかしら」

普通に考えたら『好き』一択のはずなのに、殿下が素直になれず拗らせているせいで欠片も伝わっていない。
これは、第三者が間に入るべきなのでは?
護衛達の考えがまた一つになり、その視線は不敬だと言われようとも国王陛下に集中してしまう。

「んんっ、ナディージュ嬢よ。そなたはどのような相手との結婚を望んでいるのだ?」

これは聞いてはいけない質問なのでは? と護衛達が首をひねる。
だって今の流れでは、絶対に殿下とは真反対の人物像しか挙がらない思われるから。

「どのような……そうですねぇ、まずは信頼の置ける人でしょうか。私を蔑むことなく、決めつけることなく、正しく評価してくださると嬉しいですね」

ほら! やっぱりそうじゃないですか!!
ナディージュ以外の全員が国王陛下をめつけた。

「あとは多くは望みませんが、思ったことや感じたことを気軽に話し合える方が理想です」


そうですね、確かに多くは望んでませんね。カッコいい人とか、金持ちとか高身長とか王子様とかは全く狙っていないと。
え、いい子だ。すっごくいい子じゃないか!

「俺とだって気軽に話せばいいだろう」

え? 今、貴方がそれを言ってしまうのですか?

「私の言葉全てに嫌味で返してくる殿下に? それならば壁に向かって話していたほうが余程有意義と言うものでしょう」
「は?! 俺が壁に劣るというのか!」
「壁は黙って聞いてくれますし、そっと寄り添ってくださいます。どこかの殿下とは違ってとても大きくて頼もしい存在です」

だって、それは壁だから。
でも、コレはアレか。ただ話を聞いてほしいだけなのに、殿下は嫌味を混ぜつつ要らん解決策をゴリ押ししてきて鬱陶しいというアレか!
それは……えっと少年の心を忘れない殿下には難しい、高等テクニックというものかと。

「壁に何ができる? その問題の解決策をもたらすことができるというのか!」
「誰が解決してほしいと言いましたか。『聞いて』とお願いしているだけです。ただただ黙って大人しく最後まで聞くなら、壁様の圧勝でしょう!!」
「はあっ?!」

やっぱりな~、俺達ですら分かるのに。

「殿下の良くないところは、ご自分のことを優秀だと過信するあまり、相手の要求と反応を正しく理解できないことです。
業務ならば、殿下の指針のもとに動くことが最善かもしれませんが、人と人との関わりにおいてはその限りではないということにいい加減気付くべきだと思いますよ」

やだ、カッコイイ! ナディージュ嬢推せる!






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