王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ

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 「私は、この結婚は番契約婚だと理解しています。
私は番としてあなたに寄り添う、旦那様は男爵家の水害被害の支援をしてくださる。
私も貴族ですもの。家族や領民のために嫁ぐ覚悟はしておりました。
まさか私の身1つでこのように多額の支援していただけるなんて思っておりませんでした。感謝とともに申し訳なく思っております。
また、先程は暴言を吐き誠に申し訳ありませんでした」

「君が謝る必要はない。
すべて私が間違っていたんだ。でも……契約?」

「はい、これ以上の落とし所はないかと」

「……私は本当にあなたを愛しているんだ」

「たぶん……色々な形の愛があるのでしょう。
ひと目あった瞬間に落ちる愛や、少しずつ積み重ねていくように深まる愛。どれが正解というわけではありません。
旦那様の番を求める本能もひとつの愛だと理解しています。
それを否定するつもりはまったく無いのです。
ただ、愛があれば何をしてもいいのですか?

探し求めていたものがやっと見つかった。私などで申し訳ないけれど、20年もの思いなら本当に嬉しかったのでしょう。そこまでは分かります。
でもその思いは旦那様だけのものです。私の中にはありません。

あなたは初めて出会った高貴な方。
失礼ですが年齢も私よりずっと年上で、どうお話をしていいかも分からないくらい何もかもが違う方です。
あのように嵐のように攫うのではなく、はじめましてから始まって自己紹介をして…少しずつ歩み寄ってほしかった。そうしたら、私だって嬉しいと、気持ちに応えたいと思えたでしょう。
少しでいい、私の気持ちを考えて寄り添ってほしかった」

「だけど番なら……」

「申し訳ありません。私には本当にその感覚が分からないのです。
私にとってあなたは高貴な人攫いでしたわ。
でも、あなたを犯罪者にはできません。
ですからこれは契約結婚とするしかないのです」

「……これからもラウラを愛してもいい?」

「ありがとうございます。
結婚したんですもの。仲良くありたいと思います。
そうですね。いつか……
私もあなたを愛せればいいと思っております」

「……うん、ありがとう」











「アデルバート?今日はまだ休暇中じゃないのか?」

「……兄上」

「どうした。番殿を置いてくるなんてまさか何かやらかしたのか?」

「……」

「どうした、本当に何かあったのか?」

「……わたしは……誘拐犯で、さらに監禁、強姦未遂、脅迫……あとはなんでしょう……重犯罪者で……
とりあえずさっさと死ねばいいろくでなしです……」

「おい!?」

「なぜ視察から帰ってすぐの謁見の時言ってくれなかったんですか。
お前のやってることは犯罪だから止めるようにと!

っ、はぁ……
すみません、やつあたりだと分かってます。」

「誘拐監禁って何の話だ?!」

「私です。番が見つかったのが嬉しくて……
ラウラに言われました。
いきなり知らない男性が部屋に押し入り、抱きしめキスされて本当に怖かったと。更にそのまま王都に連れて行くと言われ、逆らったら家を取り潰されるかもしれないと思い何も言えなかったと。ほぼ寝室に閉じ込められ体を触られ、それは軟禁で陵辱だと。みなが番としか呼ばず悲しかったと。デビュタントや結婚式を夢見ていたのに何一つ意見を聞いてもらえなかったと。でもやはり自分より高位の人間に意見などできず黙るしかなかったと。
私は本当に最低だ……」

「お前そんな風に連れてきたのか!?
確かに怖いな。
しまったな。番だからと思っていたが、田舎から出たこともないデビュタントもまだの令嬢が我々に意見などできるわけもない。
可哀想なことを……

まさか離縁を突きつけられたのか?」

「いえ、番契約婚だと思うことにするといわれました。
とりあえずお仕置きとして、名前呼びを止め旦那様呼び。
好みのドレスを一緒に買いに行き、それを着て夜会に行くからダンスをしようと……誰にも見せたくないのに!
抱きかかえ移動の禁止も言われてしまいました。
破ったらひと月実家に帰るそうです……」

「……以外としっかりしているな?
ようするにここぞというところで攻めてきたか。
そしてお前は全面降伏。
うん、もう尻に敷かれてるわけだ。
よかったな、頑張れ」

「そんな!」

「なんだかんだいって受け入れてくれたんだろう?
満足しておけ」

「いつか私を好きになってくれるでしょうか……」

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