魔法のせいだから許して?

ましろ

文字の大きさ
11 / 50

11.

しおりを挟む
「放っておけばいいじゃないか」


翌日、図書室にて先輩に相談したところ、あっさりとした回答が返ってきた。


「え、でも許さないと自分を傷つけるって!」

「うん、殿下が自分でやるんだろ?自作自演だ。誰も文句なんて言わないさ。王妃様という証人もいる」

「でも私のせいになっちゃいますよ!」

「どうして?そうしろってお前が言ったのか?それとも武器でも渡した?殿下が勝手に考えて愚かな思い込みで行動するだけだ。やりたいようにさせておけばいい」


確かにそうだけど、本当にいいの?いきなり指が送られてきたらどうするの?!
想像して泣きそうになってると、


「ほら、そうやって相手をするから駄目なんだ。嫌ならキッパリとした態度をとれよ。
犬の躾と一緒だ。お前が焦ったり怒ったり反応を返すから、馬鹿犬は構ってもらえると思ってどんどん悪さをするんだろ。そういう時はしっかり無視しろ」


うわ、馬鹿犬って言った!そうね、ワンちゃんは躾をちゃんとしないと人に迷惑をかけちゃうものね。無駄吠えとかと一緒?


「……私は飼い主じゃないわ」

「じゃあ、元飼い主の義務かな。手放して新しい飼い主に渡したいんだろ?だったら未練なんて残らないくらい無視しとけ」


無視かぁ。されて辛いのを知ってるから、私へのダメージも大きいのよね。空気の様に扱われるのは本当に泣けるんだよ。先輩は知らないでしょ。
でも、確かに諦めてもらえないと困る。


「分かったわ。毅然とした態度を心がけます」

「おう、がんばれ」


その後はビアンカ様とフィデル様も合流して勉強会をした。いかにも仲良しグループって感じだ。
充実した時間を過ごし、そろそろ帰ろうと支度を始める。


「馬車が残ってるのに姿が見えないと思ったらこんな所にいたんだね」


うわ、まさか2日連続攻撃!
大丈夫、落ち着いて。毅然とした態度よ!


「殿下、ごきげんよう。私達はもう帰るところです。どうぞごゆっくり」


淑女の微笑みで優雅にでも素早く、


「せっかく会えたのに慌てて帰らなくてもいいだろう?君の馭者には私が送るから戻るように伝えたよ」


移動できなかった!先回りですか!


「……私の予定を勝手に決められては困ります」

「ごめんね、君とふたりでゆっくり話したかったんだ。婚約って簡単に決めていいことじゃないだろう?それとも私が決めてしまってもいいのかな」


なぜ笑顔なの。言葉は毒まみれなのに。


「……私はお断り致しました。これ以上お話しする事などありませんわ」

「どうして?」


どうしてってどうして?私が聞きたい!
我が家は断っているし、私自身も断ってる。それなのに、それ以上どんな返事が必要なの?


「あの!で、でで、殿下には大変申し訳ありませんが、リーゼさんは我が家にお泊りするんです!」


ビアンカが突然大きな声で宣言した。


「あ、あぁそうそう!初めてお友達になれたから招待したって話だったよな!リーゼロッテさん馭者の人に伝え忘れたのか?」

「え、あ、そうみたい!駄目ね。お友達の家に行けるなんて、嬉しくて浮かれてたら伝え忘れたみたい!」

「そうだな!そろそろ向かわないと食事の時間に遅れるんじゃないか?せっかく準備してくれてるのに悪いだろう。ということで、殿下には大変申し訳ありませんが、俺達はここで失礼します!!」


フィデル様が凄い勢いで捲し立て、私達を扉に押しやる。


「あ、では殿下ごきげんよう!」


言い終わると同時に小走りで逃げる。なるほど、集団行動とは!4人になっただけでこんなことができちゃうの?


「ははっ、お前達すごいな!俺が一言も口出せなかったよ!」


先輩が爆笑している。走ったせいで私は息切れが酷い。


「はっ、こんなに走ったのはいつぶりかしら!二人ともありがとうございます!助かったわ」

「ど、どうしよう!殿下に殺されないかな!」

「どんな理由でだよ。大丈夫、あいつはおかしいけど馬鹿ではない。そんなことしたら自分の株を下げる事くらいは分かってるさ」


そうであってほしい。助けてくれて嬉しいけど、そのせいで何かされたら友達ではいられない。


「とりあえず、俺がお前の家に知らせに行くよ。顔が分かった人間が行ったほうがいいだろ」

「え、私は本当に泊まりに行ってもいいの?」

「もちろんです!リーゼロッテ様が来てくれたら嬉しいわ!パジャマパーティーしましょうよ!」

「んじゃ俺も送ってくよ、二人だけだと心配だから、後ろからうちの馬車でついてく」


私のせいでこんなにも迷惑をかけて申し訳ないけど、殿下から守ってもらえて心から皆を信じることができる。
本当に嬉しいわ、ありがとう。





しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

無価値な私はいらないでしょう?

火野村志紀
恋愛
いっそのこと、手放してくださった方が楽でした。 だから、私から離れようと思うのです。

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした

凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】 いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。 婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。 貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。 例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。 私は貴方が生きてさえいれば それで良いと思っていたのです──。 【早速のホトラン入りありがとうございます!】 ※作者の脳内異世界のお話です。 ※小説家になろうにも同時掲載しています。 ※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。 今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。 私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。 これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。

処理中です...