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第二章 王都編
第三十三話 JJ説得される その2
しおりを挟む「やっぱり精霊魔法使えるんだね? 」
「精霊魔法は古くからある魔法よ、あなた一人しか使えないものではなくってよ」
言葉遣いが軽くなった。
「それは知ってるけど、精霊魔法の使い手は会った事なかったから」
「あれ~~、JJくんの親戚のジーンは、精霊魔法の使い手じゃなかったかしら」
しまった、ついジーンな気持ちで答えていた。
「あ、いやオジチャン以外は会った事がないって意味で、オジチャンもそんな精霊は教えてくれなかったよ」
「まあいいわ。さっきも言ったけど、JJくんの精霊魔法はまだまだね。エコーの精霊は使えるようだけど~、どうも進化していないようだし。ミラージュの精霊も契約していないようね」
ザマス、じゃなくってテティスの言う事は、何だか知らないことばかりだ。進化とかミラージュってなんだ。
「覚えておくと、色々便利よ。それに一人でダンジョン潜る貴方にとっても有効よ」
「確かに……あ、いや、でも、一人でダンジョンは潜らないよ、シェルパだから」
「あら、そう? 」
危ない、またジーンな気持ちで答えそうになっちゃった。
なんだかテティスは、ジーンに対して話しているような口ぶりだな。まさかこの女、気づいてる?
なんてことはないよな。初対面じゃないけど、まだ二度目ましてだし、マトモに話したのはほとんど初めてなんだから
「まあいいわ、JJくんだって将来のためにも覚えておいた方がいいと思うわよ」
う~ん。覚えると便利なのは間違いないけど……。
なんだか話が変な流れになったな。
この女は何が言いたいんだ。
「警戒させたみたいね。じゃあもう正直言うわ。私の名前はラ=テティス・シェラレオネ、精霊使い。そして王立魔法騎士学校の精霊魔法の教師よ」
ハミル家の人間だと思っていたが、魔法学校の教師だったのか。
「もう強制は出来ないけどJJくん、それにディアさん。二人は魔法騎士学校に入って精霊の魔法を学んだ方が良いと思ってるの。いえ、学ばなくっちゃいけないわ」
「学ばなくっちゃいけないって……」
ディアが不安そうに聞き返す。
「貴方たち二人には、精霊魔法の素質があるわ。精霊の声を聞くことが出来るでしょ、それ自体が精霊に愛されてる証拠で、その素質の証。でもそれだけではダメ。きちんと契約してその力をコントロール出来るようにならないといけないわ。そうじゃないといつか精霊に逆に心を飲み込まれちゃうの」
「うそっ」
ディアが驚いて声を上げた。普段から何気なく精霊と接していた彼女にとってはちょっと驚く話だったのだろう。もちろんオレも驚いている。
シャーロットにとっては他人事なので、不安そうな顔をしているがそれだけだ。
母親のクラリッサ・ハミル辺境伯夫人は知っていたのか、それとも本当に他人事なのか、顔色を変えていない。
だがリベルタは、声にこそ出していないが一番驚いた顔をしていた。なんだろ何か引っかかる。
「私だったら、そうならないように教えてあげる事も出来るわ。それには魔法学校に通ってもらわなくっちゃいけないのよね~」
「オレ達が学校で学ぶ必要があるのは分かったけど、なんでそこまでオレ達にこだわるの? シェラレオネさんから見れば――ッ!?」
「シェラレオネなんてなんだか他人行儀ね。そうね、巷の流行りだしテティスお姉ちゃんでいいわよ」
は? なんでこの人までそんな事言ってくるかな。
「「「ダメッ! 」」」
三人の女性から大きな声でダメ出しがされた。
ディアとシャーロットが怖い顔をしているが、一緒になってリベルタまで怖い顔をしている。おかしいなリベルタも似たような歳のはずなのにお姉ちゃん呼びを強要していたと思ったけど。
「うう、私だけ仲間はずれじゃないテティスお姉ちゃん悲しい……」
シェラレオネがうそ泣きしながらディア達をチラチラ見てくる。
大根役者だ。
結局女四人(なぜかオレは含まれていない)で話し合われ、お互いが妥協して、どこをどう捻くったらこうなるのかさっぱりだが、オレがシェラレオネを呼ぶときは“ティー姉”に落ち着いた。
おかしいな、オレの意思はどこに行った。
その間、クラリッサ辺境伯夫人はソファに座って、無表情でメイドの入れた紅茶を優雅に飲んでいた。まさに他人事のようだ。
「……それでティー姉はなんでオレ達にこだわるの? オレ達なんて赤の他人で放っといて、勝手に精霊に心を食われても関係ないんじゃないの」
「それは……」
ティー姉が言いづらそうにして腕を組んでいる。
なんだろう、何か秘密があるのかな。
「仕方ない、話してあげるわ。精霊使いの数が少ないという事は二人とも知ってる? 」
オレとディアは頷いた。
「それでね、今まで魔法騎士学校にも精霊使いの生徒はいたんだけど、3年生の一人だけで、ついこの間その子が卒業しちゃって~」
ん、なんか落ちが見えてきたような。
「来月、ディアさんが入学しないと私の教える子がいなくなっちゃうから、私クビになっちゃうの~~~。ねえ助けると思って入学して~~~~」
ガクッ。やっぱりそんな事か。
「あと、ハミル辺境伯としても強い男の子が護衛についてくれればシャーロットも安心だと思うし、私としてもメセタダンジョン郡のためにも将来有望な子達を援助するつもりで今回のテティスの話に乗ったのよ」
クラリッサ・ハミル辺境伯夫人が告白した。
つまりティー姉は自分のため、ハミル辺境伯は娘の護衛として、クラリッサ辺境伯夫人はメセタのダンジョンのため、オレとディアに魔法騎士学校で精霊魔法を学んで欲しいと思って、今回の計画になったようだ。
そしてそれは、オレとディアにもメリットがある事でもあるな、とオレは思った。
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