あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十五話 王都初日 ~ギルドに行って冒険者登録しよう編~ その1

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 引越しの後片付けはリベルタ母娘に任せて、オレは冒険者ギルドへと向かった。
 まあ後片付けなんてほとんど何もなく、調理器具や食器、野菜の類を所定の場所に仕舞って、カーテンつけて、後は家具の配置をあーでもない、こーでもないと考えて動かすくらいだ。
 なのでオレは金策に動く事に。
 メセタのダンジョンで手に入れたキングスパイダー、クイーンスパイダーの素材と、王都に来る途中で襲われた際のジャイアントグリズリー他、二百頭以上魔物を、冒険者ギルドで換金するのだ。
 ギルドとしては、素材が手に入れば何処で魔物を狩ったかなんて気にしないので、それは便利だった。
 
「JJく~ん」「おい、JJ」
 王都の中心街、ギルドに向かう途中、どっかでオレを呼ぶ声がした。
 この街でオレを狙う者がいるわけが無いと思って、精霊の声を聞こえないようにしていたが、慌てて精霊の声に耳を傾ける。
「キンニクキタ~」「ホソイヒトモイル~」「ウシロ~」
 筋肉と細い人? と聞いて振り返るとそこには、あの筋肉の塊、上半身は革ベストだけの腹筋むき出し男マッスルと、ボンテージのツヤピカエナメルの黒いツナギを着込んだ羊の角を生やした美貌の女性ジェシカが手を振っていた。
 ジェシカたちもギルドに行くところだったとかで、一緒に行くことに。そこで旧交を温めるべくお互いの近況報告。
「そっか、あっちのダンジョンで見かけなかったから、どうしたのかと思ってたら、また出禁になってたのね」
 ジェシカが横を歩くオレに話しかけてくる。
「うん。それで今は、なんだかよく分からない内に丸め込まれて、もう少ししたら王立魔法騎士学校に行くことになっちゃった」
「学校? JJくんが? 」
 ジェシカはあまりピンと来てないようだ。無理もない、オレもピンと来ていない。
「うん、学校行って精霊魔法をきちんと教わりなさいって言われて。ボクはジーンのオジチャンに精霊魔法を教わったけど、オジチャンも我流で覚えたみたいで、本当はもっと覚えなきゃいけないことがあるみたいなんだって」
「ふうん、今でもJJくんはすごいと思うんだけど、まだ覚える事があるのね」
 ジェシカは素直に驚いているようだ。
「ジェシカお姉ちゃんたちはなんで王都に来たの? メセタのダンジョンで現場復帰したんじゃないの」
「私達は次のステップへの準備かな」
 聞くと、ジェシカとマッスルは本格的に冒険者復帰するため、防具の新調と武器のメンテナンス、そして新しい仲間のスカウトに王都までやってきたのだそうだ。
 メセタダンジョン郡のギルドにいる冒険者は、若手が多くてベテランがいなく、下層に挑むには頼りない者ばかりなので、新しい仲間のスカウトには王都とか、別のギルドで探すしかないらしい。
 そうだな。オレもそれが理由で、ソロでやってたんだしな。
「でもジーンオジチャンが、あそこのダンジョンは儲けの割りに危険度が大きすぎるって言ってたけど」
「そうね。でもその強い魔物と戦うのがいいんじゃない」
 そう言って、ジェシカは隣を歩くマッスルを見上げる。マッスルは視線をそらしてポリポリと頬をかく。
 そっか、ジェシカはバトルジャンキーで強い人大好き女だった。下層に潜って自ら強い敵と戦い、あわせて強い敵と戦うマッスルを見ていたいということか。
 マッスルとしては、ジェシカに惚れてるのでジェシカの前でかっこいい所を見せたいのは山々だが、下層の魔物相手はちょっと嫌だな、と顔に書いてある。
「それに、あのダンジョンは魔物以外に特大のメリットがあるのよ」
 メリット? あったかそんなもの?
「アーティファクトよ」
 あ、そうか。
「JJくんが今持っている、元はジーンが持っていたマジックリングも、私が今使っているレインボウも、元々はあのダンジョンの奥で見つけた物よ。危険度は高いし、魔物素材で稼ぐのはイマイチだけど、アーティファクトを見つければ一角千金よ」
 そうだな、それは確かに魅力的だ。
「お金が必要になったら、王都のダンジョンとか、別のダンジョンで稼いでまた戻ればいいわ。私達としてはそんな感じで考えているの」
 そう言ってからジェシカは、思いついた、と言った顔でオレに振り向いた。
「ねえ、ジーンに連絡取れないかしら。今言ったとおり腕の立つ仲間探してるの。ジーンのダンジョン出禁は解除されてるから、いつでも戻ってこれるし。ジーンならあのダンジョンよく知ってるし、斥候の腕もいいし、多分戦う腕も昔より上がってるはずだしうってつけだと思うの。もう一度、パーティ組んでメセタのダンジョン潜りましょうって伝えてくれない? JJくんでもいいけ……あ、JJくんは出禁だったっけ」
 ああ、ジーンとしてもJJとしても腕を認めてくれるのは嬉しい。ただ、今はタイミングが悪すぎる。
「ジーンオジチャンは難しいと思う。今の仕事かなり遠い所でやってるし、今は動けないみたい」
「そっか」
 ジェシカは明らかに落ち込んだ顔で小さく呟いた。
 うぅ、嘘付いた感じで心が痛む。美人を悲しませるのはとても辛いが、こればかりは力になってやれない。
「まあ、仕方ないわ。でもジーンには言っておいてね。その気があったらメセタのギルドに連絡してくれればいつでも連絡つくようにしておくから」
 そんな話をしている間に、オレ達は王都の冒険者ギルドについた。
 ジェシカはここで知り合いがいないか併設されている酒場に顔を出すという。オレは冒険者登録して魔物素材を換金したいので受付に向かう。
「おいおい、ここは女子供が来る所じゃないぜ」
 お約束のガラの悪い冒険者が、初見の、そして若く弱そうに見えるジェシカとオレに絡んできた。
「丁度良いわ」
 ジェシカが小さく呟いて、獰猛に口角を上げた。
 何か嫌な予感しかしない。
「よう姉ちゃん、まさか冒険しに来たんじゃねえよな。強い男探しに来たのなら、オレ達が相手してやるぜ」
 男がジェシカの肩を抱こうと手を回してきた。
「そうね、本当に強い男なら、お相手してもらおうかしら」
 そう言ったかと思うと。ジェシカは肩に回された男の手首を掴むと、間髪入れずにそのままねじり上げ、その後捻って男を半回転させて、頭から床に投げ飛ばした。
「今は機嫌が悪いの、怪我したくなかったら引っ込んでな。私のストレス発散の相手になりたいならかかってきな」
 ガラの悪いジェシカが戻ってきた。昔の冒険者時代の、いつもオレを殴っていた頃のジェシカだ。
 でも機嫌が悪いって、もしかしてオレがジェシカのスカウトを断ったからか?
 オレのせい?
「野郎! ほえ面かかせて、ヒイヒイ言わせてやるぜ」
 投げ飛ばされた男の仲間なのだろう、六、七人の男が取り囲む。

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