あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十五話 王都初日 ~ギルドに行って冒険者登録しよう編~ その2

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 「野郎! ほえ面かかせて、ヒイヒイ言わせてやるぜ」
 投げ飛ばされた男の仲間なのだろう、六、七人の男が取り囲む。
 ジェシカと、なぜか横にいたオレも。
 これはオレも巻き込まれた感じか。
 いや、ジェシカが機嫌を悪くしたのはオレのせいだから、そのジェシカの八つ当たりに巻き込まれたのも自業自得か? 
 仕方ない、半分はオレが受け持とう。
「やだねえ、ここの冒険者は。こんないい女捕まえて“野郎”だなんて、躾がなってないわ」
 男達が一斉にジェシカに殴りかかる。
 ジェシカは体さばきで男達の拳をパリィで交わし、そのままカウンター気味に顔面に右ストレート。続いて殴りかかって来た男はその腕を取ってネジって投げ飛ばし、次の男は足をかけて転ばせて、その後の男には懐にもぐりこんでから下顎にジェットアッパー、顔が跳ね上がったところで、ネリチャギ気味の踵落としを見舞う。転ばされた男が立ち上がってきたので、再度足を引っ掛けて転ばせてから顔面目掛けてエルボードロップ。百も数えないうちに四人がノックアウトされた。
 オレものん気にしていられない。
 オレは殴りかかって来た男の腕をかいくぐり、男の膝に飛び乗りそこをステップにして逆の脚で男の下顎を蹴り上げる。そのままトンボを切って後方半回転捻りして着地すると、
襲ってきた男の足をすくって倒し、マウントを取ってたこ殴り。そしてもう一人襲ってきた男は懐に飛び込んで、鳩尾にカウンター気味に蹴りを入れて悶絶させる。
 三人片付けた所で振り向くと、ジェシカは平然としてパンパンと手を叩いてほこりを払っている。もう襲ってくるものはいないようだ。
「JJくんって格闘技も出来たんだね」
 ジェシカが拳を握ってオレに突き出してくる。
「ジーンのオジチャンに教わったんだよ。大したことじゃないって言ってたよ」
 オレも拳を突き出し、グータッチを交わす。
「おう、終わったのか。オレの出番が無かったな」
 マッスルが今頃ギルドに入って来て、床に転がるゴロツキどもを見て一言呟いた。
 ジェシカの手に余る時とか、死角から襲われそうになった時用に見えない所で見守っていたらしい。
 よくやってるのかな。
「私はの名前はジェシカ。ジェシカ・ダ・バルバレスコ。王都にはパーティメンバーを探しに来たの。我こそはと思うものは声をかけてくれ」
 そう言ってジェシカは颯爽と奥の酒場へ入っていく。
 後で聞くと、最近はやっていなかったが、オレと出会う前はこうやってワザと喧嘩騒ぎを起こして顔と名前を売って、弱いナンパ目的の男を排除した上で、強い男達から目を付けられるようにしていたらしい。その中で気があった者たちと臨時にパーティを組んでダンジョンに潜り、力量を確かめていくのだとか。ギルドに紹介してもらうと、後々断るのが面倒になるらしい。
 まあ、喧嘩から始めるのはガラの悪いジェシカらしいやり方だな。
 そんなジェシカを見送って、オレはギルドの受付へ並ぶ。
 ジェシカの喧嘩に巻き込まれたお陰か、オレを見る周囲の目が怯えている様に見える。まあ変な難癖を付ける者もなく、これはこれでいいか。
 だけど、
「よ、ようこそ王都冒険者ギルドへ。今日はどのようなご用件でしょうか」
 受付女性まで、顔が引きつって、声が震えている。
 まるでオーガか殺人鬼でも見るような目だ。
 まあ、初めて来たギルドで五秒でバトルを初めるバトルジャンキーが、その後自分の所へ一直線にやってきたのだ。何をされるか分かったもんじゃない、巻き込まれたくないと思うのも無理はないか。
「お姉ちゃん、ボク冒険者登録したいんだ。手続きお願い」
 オレはなるべく優しくカワイ子ぶって話し掛ける。我ながら気持ち話し方だが仕方ない。
「冒険者登録ですね」
 ようやく落ち着いた表情になって女性は手続きを始める。
 書類を何枚か書いて、ダンジョンに潜る際の注意事項を聞いて、後は本人確認証の名前入りの鉄のプレートをもらって手続き完了だ。
 冒険者のランクはこのプレートで判別できる。鉄、青銅、銅、銀、金、プラチナの六段階。オレは初登録だったので最低の鉄だ。
「あと、ボク魔物の素材持ってるんだ換金できるかな」
「いいですよ。じゃあこのカゴに入れてもらえるかしら」
 受付嬢が受付の机の上にカゴを載せる。
 多分オレの見た目から、ウサギの一、二匹程度と思っているんだろうな。だけど、
「ちょっとそれじゃ入らないかな……」
「そう? それじゃこっちへ来て」
 受付嬢が先に立って受付カウンターの側、ロビーの片隅にある素材受け渡し所へ場所を移す。その一郭だけ、きれいなフローリングの木の床ではなく、石畳の汚れてもすぐ洗い流せそうな床に変わっている。
「ここだったら、床に出してもらっても大丈夫よ」
 そこは奥側が大きな通路に繋がっていて、大物魔物を受け入れたら、そのまま奥の解体加工場へ運べるようになっているようだ。
 だったら遠慮なく。
「まず、最近狩った魔物から」
 王都への道中で襲ってきたウサギ、ネズミ、またよく分からない鳥の魔物。
「ウサギが一羽、二羽、三羽、ネズミが一匹、二匹、ウサギが四羽、五羽、ガチョウが一羽、ずいぶん多いのねネズミが三匹、四匹……確かにカゴには入りきらないみたい」
 一匹ずつ出してたらけっこう時間がかかる。もう面倒なので、小物はまとめて出すことにした。
 ドン、と床にネズミやウサギなどの魔物をまとめて取り出すが、大人の男の高さほどの山になった。
 魔物の数の多さにロビーにいた冒険者達が近寄ってくる。
「こ、これ全部換金、でいいのかな? 」
 受付嬢が顔を引きつらせて聞いてくる。
「いや、もっとあるよ」
「もう、早くしてください」
 その山の横に、グレイウルフを数十頭同じように山につむ。
「すげえ数だな」
「一人で狩ったのか」
「まさかだろ」
「どうせ、こいつはシェルパで荷物持ちさ、狩ったパーティは別にいるだろう」
「だよな」
 冒険者たちはオレが狩ったとは信じていない。まあ当り。
 確かにこの素材は、オレ以外の騎士が狩ったものも多い。でも持って帰って良いよって言われてるから遠慮なく換金させていただきます。
「こ、これで全部ね」
「えっと~、まだあるよ」
「えっ、まだあるの? 」
 受付嬢が驚くその眼前に、体高二マイトルのグリズリーを五頭、山と積む。
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