あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十二話  王都 JJ受難 その4

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「しかし執事と御者が捕まった以上、誰かがそれをフォローする必要があったのではなくって」
 クラリッサが反論する。雇われているんだから、主のために働けと。
 だけどその言い分もおかしい。
「だとしても、王都に着いた時に、立場は護衛に戻ってるはずですよ。王都に着いた時には迎えが来ていたから、これで一段落と思ったら、騎士から御者風情が護衛とは笑わせると言われて、やっぱりただの使用人扱い、シャーロット様はそのまま新しい馬車に乗り換えてさっさと行っちゃって、オレは馬車を工房に届けろとさ。辺境伯家が本気でオレを護衛に雇うつもりがあったのか疑わしい」
「それはもちろん本気でした」
 クラリッサは弱々しくもきっぱりと言い張る。
「だったら、きちんと騎士にも伝えといてもらわないと。誰もオレの事を知らないから、お陰でオレは警邏隊に捕まってドロボウ扱い。この屋敷に問い合わせたらJJなんて知らないといわれて、そのザマさ」
 オレは側のワゴンに乗っている、鞭打ちでズタボロに切り裂かれた血まみれのシャツを指差す。
「ザマスさんが――」
「サーマス・ザーパス、ザマス」
「そのサーマスさんが迎えに来てくれなかったら、今でも警邏隊の牢屋の中だ、明日には鞭打ちで死んだかもね」
 まあ、その前に力技で逃げ出したと思うけど。
 シャーロットと母親は、ズタボロに切り裂かれた血まみれのシャツを見て声もない様子だった。
「さてと、後はもらう物をもらったら出て行きますよ」
 言いたい事を言ったのでスッキリした。でも両者の亀裂もハッキリしただろう。
 ここまで貴族に対して反抗的に物を言った奴を、そのまま護衛で雇い続けるとは思えない。オレ自身もこの辺境伯家に対して忠誠度ゼロだしね。
「もらうものって……」
「お金! 」
 シャーロットが不思議そうに小首を傾げるので、はっきりと言う。
「今まで雇ったとか雇われたとか言ってたけど、オレはこの家から鉄貨一枚もらっていないから。全部持ち出し。四日目の街の宿代や夕食代、五日目のお昼用のサンドイッチ代も馬の世話を頼んだチップも三日目の夜、野宿した時の夕食の材料代も全部オレが出したの。だって侍女も御者もそんなお金持ってないし、執事は口を開かないし、シャーロットはお金って何ですかって顔してるし」
「知りませんでした。言ってくれればよかったのに」
「あれ、お金持ってたの? 」
「いえ、全部執事がやっていましたので」
「やっぱりね。……都市に入る入市税だけは、貴族が現金払いと言うわけにはいかなかったので、ガレア家の執事さんが、支払いの手続きを肩代わりしてやってくれたけど」
「分かりました」
 クラリッサ・ハミル辺境伯夫人はそう言ってザマスに頷くと、ザマスはそのまま 奥の部屋に向かった。
 護衛の話はここで終わりだな。オレはそう思った、
「JJくん、護衛辞めちゃうの」
 シャーロットがオレに潤んだ目で聞いてくる。オレははっきり頷く。
「JJ、学校一緒に行くよね? 」
 ディアがやはり潤んだ目でオレを見る。う、これが一番弱い。
 元々ディアはオレが王都の学校に行く、と聞いて(騙されて)学校に行くことを承諾したのだ。オレが行かないとなったらディアも行かないと言いかねない。
 だけどリベルタとしてはディアの将来のために学校に行かせたい。
 オレもディアが一人ぼっちで貴族の多い学校に通うのは心配だ。
 でも辺境伯家にここまで楯突いたのだ、辺境伯家の口利きで学校に行くってのは難しいだろうな。
 オレは 頷くともなんとも出来ずに固まった。


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