あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト

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第二章 王都編

第三十二話  王都 JJ受難 その3

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「JJ、貴方今まで護衛の仕事を放り出して、何をやってたのですか」
「そうよ私を放ったらかしにして、他の女と何をやってたのよ」
 オレの目の前には鬼が二人? いる。一人はシャーロット、もう一人はどうやらシャーロットの母親のようだ。確か名前はクラリッサ・ハミル辺境伯夫人だったかな
 つまり辺境伯本人がココにいない時点で、辺境伯家の最高権力者だ。
 頭に角が幻視出来るくらい、二人ともメッチャ怒ってる。
 いろいろと言い訳したいのだが、その隙がない。
「それになんで王都に来たとたん、服が血まみれでズタボロになるんですか」
「そうよ、なんで王都に来たとたん、人ん家の玄関で半裸になってんのよ」
 母親が指差したのは、近くのワゴンに載せられたオレの着ていた血まみれの服。
 服は着替えたが、古い服はマジックリングに仕舞い損ねてシャーロットに取り上げられていた。
 それについてはオレが聞きたい。もしかしてオレは呪われているのだろうか。
「あなた、シャーロットの護衛を何だと思っているのですか」
「JJくん、私の事どう思っているのよ」
 ん? とオレ。シャーロットは何を言ってるんだ。
「えっ? 」っと母親。何だか様子が変ね、という顔。
「あっ!? 」っとシャーロット、しまったという顔。
「シャーロット貴女ちょっと黙ってましょうか」
 母親はやれやれといった顔でシャーロットを諌めるが、シャーロットは開き直ったように話を続ける。
「ママこそ黙ってて。JJくんは、この女とどういう関係なのッ! 」
 シャーロットはそう言って、鬼の形相でディアを指差す。
 どんな関係って言われても……知らないのかな?
「それはさっき紹介したでしょ。この春から貴女と一緒に王立学園に通う同級生よ」
 辺境伯が言っていたとおり、ディアはシャーロットの同級生として王立魔法騎士学校に進学する予定になっていて、そのように二人は紹介されていたらしい。
 そこまでは理解できたが……。
「そんな事は分かってるわ。私が聞きたいのはこの女とJJくんの関係よ! 」
 ……?
 なんでそんな事聞きたいのかサッパリ分からん。関係も何もないけどな。
「えっと……それじゃあ、改めて紹介するけど」
 オレはディアの隣に立ってディアをシャーロットに紹介する。
 なんて紹介するかな、ジーンだったら、愛する女性の大切な娘だ、ぐらい言ってもいいけど、今はまだJJだからそんな事は言えないな。
「こちらは、オレの大切な友人のディアだ」
 まあ、今の段階ではこれが精一杯だな。
 と、思って軽く紹介したら、なぜかシャーロットは、ウサギみたいに飛び跳ね、なぜか分からないがディアは死んだ魚のように横倒しになった。
 ディアは小声で「ゆ、ゆ、友人、友人? 」と繰り返し呟いている。なぜだろう。
 不思議に思って、リベルタを見ると、彼女は処置なしのポーズで肩をすくめていた。
 なんだ、サッパリ分からない。
「ねえJJくん、こちらのお嬢さんにも私を紹介してくれない? 」
 嬉しそうな顔のシャーロットがオレに聞いてくる。
 ん? まだ紹介されてないのか? だったら。
「……こちらは只の、雇い主の娘のシャーロット・ハミル様だ。ハミル辺境伯の二女で……ん? 」
 シャーロットの隣に立って、きちんと紹介すると、ディアはメッチャ明るく飛び跳ねて、シャーロットはズンと落ち込んで、床にバタンと倒れた。なぜだろう。
 なぜか小声で「た、ただの、只の、タダノの雇い主……」と繰り返し呟いている。
 さっきと真逆だな。
 不思議に思って、シャーロットの母親を見ると、彼女は深いため息をついてがっくりと肩を落としていた。
 なぜだ。サッパリ分からない。

「シャーロット、あなたはもう黙っていないさいね」
「「「「「――ッ!? 」」」」」
 シャーロットの母親、辺境伯夫人がにこやかに笑いながらシャーロットに厳命する。
 だが、目は笑ってなく、声に威圧感がある。フィアーの魔法がかかっていたのかもしれない。シャーロットだけではなく、この場にいた者全てがすくみ上がった。
「……はい」
「よろしい。……それで」
 母親は改めて、その笑っていない目をオレに向ける。
「JJ、貴方はシャーロットの護衛をどう思っているのですか」
 かなり威圧感のこもった声だ。このオバサン、子供相手にビビラセにきている。大人気ないな。オレが三十三のオッサンでなけりゃオシッコ漏らすところだ。
 しかし、どう思っているか、だと? それはこっちが聞きたい。
 と思っていたら、口から出ていた。
「それはこっちのセリフですよハミル辺境伯夫人」
「JJ、貴方その口の聞き方は無礼ザマスよ」
 ザマスが横から言ってくるが、ここは引けない。
「こっちのセリフ……とはどういう意味です」
 辺境伯夫人は、目を細めてオレに聞き返す。もはや笑顔もない。
 だが、口の聞き方については何も言わない。だったらこの場はこれで大丈夫、本題の話を続ける。
「そのままの意味ですよ。シャーロット様の護衛と言いながら実際にはそういう扱いは一切なかった。シャーロットの護衛をどう思っているのかと、オレのほうが聞きたいですね」
 辺境伯夫人はまずはオレの話を聞くつもりなのだろう、黙って聞いている。
「それで……」
 ザマスが先を促す。
「オレはシャーロット様の護衛として雇われたはずです。だが実際にはイジワル執事に下賎の者扱いされて、馬車を追い出され、旅の途中は宿もなく馬小屋で寝泊りさせられた」
「「「馬小屋……? 」」」
「酷いわ、JJをそんな目にあわせて――モガッ!? 」
 オレはあわててディアの口を塞ぐ。
 オレが辺境伯夫人に逆らって睨まれるのは良いが、ディアまで睨まれると、今後学校に通うのも面倒になる。
「初めて聞いたわ。JJくん、宿は大丈夫だって言ってたじゃない」
 シャーロットが驚いて反論してきた。
「あの時はイジワル執事が、まだ側にいたしね」
「でも言ってくれないと分からないわ」
「シャーロットには悪いけど、あの時言っても結果は変わらなかっただろ、シャーロットには執事を諌める権限もその気もなかったんだから」
「そんな事」
「あったら多分、……一番最初にオレが馬車から追い出された時にやってるはずだ」
「あの時、私は言いました! 」
 シャーロットは強く反発する。だけど、
「言っただけだ。本気で言った訳じゃない。だから結果は変わらなかった。オレは馬車を追い出され、メセタの街を出たところから、王都まで走って行けと言われ、なんとか荷馬車に乗せてもらったんだ。だから馬小屋で寝た時だって言っても無駄だと思ったんだ」
「……」
「執事の話は聞きました」
 それまで黙って聞いていた辺境伯夫人が口を開いた。
「ですがそれは全て、執事と多分オレハ・アホネンが画策した事。執事がいなくなってそこは変わったはずですよ」
「いいや変わらなかったな。執事がいなくなった後も、いや、いなくなったからこそだけど、オレは料理人をして御者をして使用人をして、雑用をずっと続けていたんだ」
「……」
「シャーロット自身、オレを護衛と見ていなかった」
「そんな事はありません」
「いいや、都合のいい使用人としか見ていなかった。だから料理を作ってとか平気で言うし」
「だって作れそうな人は他にいなかったし」
「美味しいとは言っても、ありがとうの一言もないし」
「そ、そうだったかしら」
「執事の真似事をして給仕をしても、御者の変わりに馬を操っても、当たり前のようにそれを受け止めて、ありがとうとか、申し訳ないの一言もなかった」
「……」
 シャーロットは声もなく聞き入っている。
「お礼の言葉とか、謝罪の言葉が聴きたかったわけじゃないけど、当たり前のように使用人扱いされるのは納得がいかないよ、オレはそんなことのために雇われたんじゃないからね」

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