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第十三話 ペンギン、三人娘と接近遭遇
しおりを挟むぐるるぐぐぐうううぅぅぅ~~~~~。
再び、腹から盛大な音が聞こえてきた。
メッチャ腹減った。
コロポックルの笑顔は良かったが、それだけでは腹の足しにならないことに、今さらながらに気がついた。
久しぶりに肉が食えると思ったのに、それが消えてなくなって、その落差というか反動が大きい。
なんだかフラフラしてきた。
もう生でいい、魚でも何でもいいからたんぱく質が食いたい。
キョロキョロと辺りを見てみると、川がある。
オレが修行して命を落としたあの川の下流だ。
魚くらいいるかな。
オレは腹が減ってフラフラする身体に精一杯鞭打って、川に飛び込んだ。
川に入ったオレは、肉食獣の獰猛さで、川の魚に踊りかかった。
オレは本能の赴くままに何でも食った。
もう生だとか寄生虫だとか気にしない。
メダカ、タニシ、シジミ、金魚、デメキン、イワナ、アユ、鯉、ブラックバス、ピラニア、アロワナ、ピラルクー等々、目に付くものは何でも食った。
水中のオレ様は無敵だった。
ペンギンなだけに元々泳ぎは得意だったが、レベルが上がったせいか以前ウサギと戦った時よりも泳ぎが一.五倍は速くなっていた。(当社比)
駄女神’sの言うこともまんざら嘘じゃないのかもしれない。
『妾は嘘は言わないのじゃ』
『単純に間違えるけどね』
『ラートリーちゃん酷いのじゃ』
なんだかバカな会話が聞こえたような気がするが、気にしない。
ひとしきり食べ続けてオレは満腹になり、川原に上がって日向ぼっこをしながら食後のまどろみろ楽しんだ。
生前だと、飯を食うのもほんの少し、食べたらまた修行に戻ったものだが、オレも変わったもんだ。
暫くウトウトしていると、そこに聞き覚えの有る声が聞こえてきた。
「「あー、やっと見つけた、エマちゃん、何でこんなとこまで来るの? 」」
「あっ、アニーちゃん、エニーちゃん」
顔をもたげて見ると、朝方メグに怒られていたエマと、彼女に駆け寄る双子の姉妹アニーとエニーの姿があった。
三人は従姉妹同士で年も同じなので、顔立ちも背格好もよく似ている。
髪を右がわにまとめて垂らして、赤い髪留めをしているのがアニー、髪を左がわにまとめて垂らして、オレンジの髪留めをしているのがエニー。髪を真後ろにたらしてピンクの髪留めをしているのがエマだ。
もし髪形を同じにして髪留めをしなければオレには見分けはつかないだろう。
「なんで二人は付いて来るの? 」
「だってメグおばちゃ……じゃなくって、メグお姉ちゃんに見張っててってっててって? い、言われたもん」
メグお姉ちゃんって呼んでるけど、双子にとっては叔母さんでエマの母親だ。
メグはお姉ちゃん呼びを強制させているらしい。
「エニーも言われた、あたし達にはエマちゃんを見張るガム? ギム? があるんだよ」
双子はなんだか難しい言葉を使おうとして苦労している。
それにしてもなんか揉めてるな。この三人がケンカするなんて珍しい。
普段は三つ子かと思うくらいそっくりで、とても仲がいい印象なのだが、やはり知らないところではドロドロとした確執が有るんだな。
うん、女はたとえ子供でもオソロシイな。
「見張るなんて酷い」
「だけどメグお姉ちゃんが」
うん、やっぱり朝の一件だな。
どうやら昨日、村の外で遊んで服を汚したエマを叱ったメグが、双子に見張ってるように頼んだようだ。
メグにしてみれば、あまり仕事を増やして欲しくないんだろうけどね。
でもエマってそんなに親の言う事を聞かない、ワガママキャラだったのか。
まあ、二人もお目付け役がいるならエマもすぐ帰るだろ。
と、高をくくっていたがどうも様子が違ってきた。、
「お姉ちゃんに怒られないうちに帰ろう」
「どうしても行く」
「なんで? どこに行くの? 」
「……内緒」
「じゃあダメ」
「う~ん……じゃあ、内緒だよ」
「え、う、うん」
なんだか三人でこそこそと内緒話を始めた。
村から離れた森の入り口で誰も聞いていないのに(たまたまオレは聞いてたけど)、さらに声を潜めるなんて、何を企んでいるんだろうか。
と思っているうちに、三人が手を繋いで森の中へ入って行ってしまった。
「絶対内緒だからね」
「うん、アニーもやる。プレゼントダイサクセン」
「えっとエニーもやるよ、そのダイサクセン」
おいおい、アニーもエニーもエマに説得されちゃったぞ。大丈夫か? 後でメグに叱られても知らないぞ。
さてどうしたもんかな、と思ってみたがコミュ症で人間嫌いの元ダメ人間で、今はコミュ症どころか人の言葉も話せないペンギンには、多分何も出来ないだろう。
面倒なことは嫌いだしな。
うん、見なかったことにして帰るか。
今から帰ればお昼ゴハンには間に合うだろう。……って、いま魚をたっぷり食ったばかりなのに。
やはり、考え方がメシ中心になっている。心もケモノになってきてるのかな。
まあ、とにかく帰ろう。
と思っていると、
『コラ、ここで三つ子を見捨ててどうするのじゃ。森には小さな子供には危険な魔獣もいるじゃろ』
どこかで聞いた声が聞こえる。三つ子じゃねえし、双子と従姉妹だし。
でも、それは自業自得だろ。それにすごい面倒な匂いしかしないしな~。
『今追いかけねば後悔するぞよ』
『三人娘と友達になるいいチャンスじゃない、頑張ってね~』
三人娘ねえ。 駄女神’sは暇なのだろうか。どうも見張られている気がする。
まあ、大人にとっては大した事は無い森だが、五歳の子供にとっては少し危険かもしれない。二本角ウサギもいるしな。
それにペットの位置から友達になる良いきっかけになるかもなぁ。
コミュ症のオレとしてはすごく気が乗らないが、仕方ない。
ほんの少しの正義感と大いなる打算の末に、オレは三人の後をつけるべく森に向かって歩き出した。
でもこれ、ストーカーじゃ無いからね。
中身がオッサンで、小さな子供と友達になるため後をつける。って、ストーカーを通り越して完全に変態の行動かもしれないが絶対違うから。
オレは誰にするでもなく心の中で散々言い訳をした。
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