ペンギンなう❤ レベル100を目指して戦っていたが死んじゃったので、ペンギンに転生して友達作ってほのぼのする話

サカナタシト

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第十四話 ペンギン、ストーカー……じゃなくってボディガードする

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 三人娘は、明らかに何かを探していた。
 どこか目的地が決まっているわけではなく、何かを探して足元ばかり見てキョロキョロしている。
 落し物でも探しているのか。
 そんなに足元ばかり見ていると危ないぞ――、と思っていたら案の定、

「イタッ」

 と言う声が聞こえ、三人娘のうちの誰か、推定双子の妹エニーが顔を抑えている。
 横から伸びた枝が顔に当たったのだろう。
 泣きそうになっているのをアニーとエマが慰めている。
 離れて歩いているため声は良く聞こえないが、「……じゃあ帰る? 」とか「イヤになった? 」とか二人の声が聞こえるが、その問いかけにエニーは顔を振って答える。
 また三人は手を繋いで歩き出す。
 ふむ、意外と意志は固いなあ。ただの遊びってワケじゃないようだけど、何を探してるのかな。
 などと思っていたら、三人娘の後ろから忍び寄る白い物体があった。二本角ウサギだ。
 雑食性で小形動物を襲って食うことがある。オレも先日危うく朝メシにされそうになった。三人娘の誰かを襲うつもりだろうか。
 これはまずい。
 このまま放っとくワケにも行かないが、オレが相手をして三人を逃がすのもあまり良くない。
 今のオレではこいつを倒すのは至難の業だ。
 以前と比べると、ほんの少しレベルアップしたが、それでもウサギ相手に勝てる武器というか、有効な攻撃手段が思いつかない。
 戦いに時間がかかると、三人がどこに行くかわかったものではないからな。
 その時オレは閃いた。

「グー…略…(クー、来てくれ)」

 小さな声で呼びかけると、近くの草陰からフキの葉を傘のように持った小さな精霊が現われた。

『呼んだ? 』

 小さな身体で可愛らしく小首を傾げる、コロポックルのクーにオレは思わずほっこりする。
 って、そんな場合じゃない。

『クー、あそこにウサギがいるだろ、あれを仕留めたいんだ。手伝ってくれるか』
『うん手伝う』

 そう言うと、クーはどこからか、カワイイ弓矢を取り出し、前方で三人娘を見て舌なめずりをする二本角ウサギに狙いを定めた。
 クーの体が淡く光ったかと思うと、オレの身体から魔力が少し抜けていく。
 クーが魔法を使っているようだ。
 そして次の瞬間、弓から放たれた矢が二本角ウサギに命中した。
 そして低木の葉がかすかに音をさせただけで、ウサギはその場にトサッと倒れこんだ。
 え、マジで? 瞬殺? 
 ウサギは二三回ピクピクしたあと動かなくなった。
 オレがアレだけ手こずったのに。ちょっと凹む。 

『だめだった? 』

 ショックを受けているオレに気が付いて、クーが少し不安そうな顔で見つめてくる。
 いくら魔獣と言っても所詮はウサギだ。普通は簡単に倒せる。
 オレが単に弱いだけなんだ。

『いや、そんなこと無いさ。ありがとな。ついでに解体手伝ってくれると嬉しいかな』

 クーに解体を手伝ってもらうことにして、毛皮と肉と角は欲しいが後は要らないと伝えると、クーは、『うん』と言ってさっそくウサギに近づいた。
 クーが手をかざすと、ウサギの体が光ってオレの魔力が少し取られ、一瞬にして音も無くウサギが解体されてしまった。
 おお、クーってばメッチャ有能じゃん。ちょっと手伝って貰うどころか、全部やってくれた。
 解体の瞬間に魔力を取られるが、それはほんの僅かなようで、オレの身体にはあまり影響は無い。
 ありがたや~。
 オレはありがたくウサギの肉などを巾着袋に入れて、残った骨や内臓などは手裏剣でなんとか掘った穴に捨てた。
 少しは離れた所にいる三人娘は、ウサギとの戦いも、その後の解体もまったく気が付く様子はなく、相変わらず足元をキョロキョロと見ては森の奥へと進んで行く。

『あと、何する? 』

 そうだな、あの三人の後を付けるんだけど……。

『さっきのウサギ肉半分やるから、もう少しオレと一緒にいてくれるか』

 クーが頷いた。これでこの先三人娘が魔獣とかに襲われても、この辺りの弱い魔獣ならクーがやっつけてくれるだろう。

『これストーカーじゃないからね、ボディガードだからね』

 念のためクーに言い訳すると、何のことかわからないといった感じでクーは、コテンと小首をかしげた。
 それから三人娘は、時々魔獣に目を付けられることがあったが、そのたびにコロポックルのクーが瞬殺してくれて三人を助けてくれた。
 おかげでウサギを二羽、モグラを二匹狩ることができた。モグラはクーに丸ごとあげた。
 三人娘はそんな事を気付きもせず、森の中を奥へ奥へと進んでいった。
 ときどき、双子の娘が「足が痛い」とか、「暗くなってきた」とか不安なことをこぼす。
 そのたびにエマは「もうちょっとだから」とか「この先にあるよ」といって励ましている。
 気が付くと三人はけっこうな森の奥、というか山の麓まできていた。
 今は崖沿いの細い道をおっかなびっくり進んでいる。 
 おいおい、そんな細い道を手を繋いで歩いたら……と思った瞬間やっぱり。

「キャーッ! 」

 三人のうちの誰か分からないが、足を滑らせた。推定双子姉のアニー。
 道は獣道のようなもので、ただでさえ歩きにくいのに、確か夕べ雨が降ったはずだ。道は滑りやすくなっていた。手をつないだ三人が一蓮托生で横の崖を落ちていく。
 ニ、三マイトル程の、それほど高い崖じゃないし、角度も急じゃないけど三人は連れ立って崖をズルズルと滑り落ちていく。
 こりゃ後で上るのは大変だな。
 あーあ、服を汚さないというメグとの約束も守れなかったな。たぶん泥だらけだ。
 泣かなきゃいいけど……、と思っていたら案の定。

「「痛~い、もうやだ~、あーん」」

 三人のうち誰かが泣き出した、推定双子の両方。
 もう一人、エマも泣きそうな顔をしている。
 ズルズル滑り落ちる分にはたいした怪我もしないだろうけど、擦り傷ぐらいはしてるかな。
 どうしよう、オレが出て行ってもだめだよな。便利スキル【泣き叫ぶ子供をあやす】なんてたぶん持ってないし。

『なあ、クー。ウサギの肉一匹分やるから、あいつらあやしてくんない』
『……無理』

 クーは俯いてしまった。
 わかってて言いました。
 どうすっかな~。
 その時、いつものごとくというか、例の声が聞こえてきた。

『他人任せにするな、なのじゃ』
『あなた自身で行くのよ、それが友達だから』

 でもなあ、何すりゃいいんだ。

『友達だったらこんなとき、傍にいてくれるだけで嬉しいんじゃないの』
『ええい、隠しスキル【きっかけ作り】を発動するのじゃッ』

 そんな声が聞こえたと思ったら、オレの足がぬかるみに取られて、ズルッと滑った。 
 あっと思うまもなく、オレはズルズルと崖を滑り落ちて行った。
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