二人の妻に愛されていたはずだった

ぽんちゃん

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22 結果 ジェラルド

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 結論から言うと、今回の件を裏で仕組んだのは、キンバリー公爵家である。

 一年間、精神的にジェフリーを追い詰めることになったのは、アナスタシアの姉であるアンジェリーナの希望だった。

 つり目が印象的なアンジェリーナ・キンバリー。
 彼女は、フェルディナンド・アロス・ウィザース元第三王子の婚約者だった。
 いわれのない罪を着せられた被害者。
 だが、愚か者達の行動を事前に予測しており、完膚なきまでに叩きのめしたことで有名である。

 しかし、彼女はフェルディナンドを一撃で鉱山送りにしたことを後悔していたらしい。
 じわじわと心をいたぶりたい、という彼女の理解不能な発言から始まった報復計画だった。
 ……女とは恐ろしい生き物である。

 そしてもう一つ言えることは、今回の計画に関して、数多の人物達が協力していた。
 クララの被害に合った令息令嬢達の実家はもちろんのこと、アナスタシアに同情していた者たちだ。
 それに、私の両親も賛同している。
 キンバリー公爵家だけでなく、前クルーズ伯爵夫妻も計画に参加している為、ジェフリーとクララは四面楚歌だった。
 特に父の怒りは凄まじく、自分達の出番が来るまでかなり荒れていた。

 だが、一番の被害者であるアナスタシアは、今回の報復計画の詳細については、一切知らされてなかった。
 ただ、以前見た特上の笑みを思い出せば、家族が動くことは予想出来ていたと推察される。


 私の最初の役目は、部下にアナスタシアの身を守るよう指示を出すこと。
 ちなみにジェフリーの親友であるギデオンは、勝手に行動を起こしたまで。
 私が表立って動くより警戒されないだろうと判断して、利用させてもらった。
 そのせいで、彼はアナスタシアの親友であり、妻レベッカの怒りを買った。
 現在レベッカは、ギデオンが一生歯向かえないように調教しているのだとか。
 ……女とは、心底恐ろしい生き物である。

 そして、私の一番大切な役割。
 離縁後のアナスタシアの身を守り、半年後に婚約者になることだった。
 その間、アナスタシアと共に過ごすようになって、わかったことがある。
 彼女は過激なキンバリー公爵家の中でも、飛び抜けて気が強い。

 軍部では、色に狂う無能な狸爺を退職に追いやり、大将の座を奪い取った私もなかなか気が強い方だが、そんな私の舌を巻く程のである。

 家族が元夫にすることを傍観していたということは、彼女も無関係ではないのかもしれない。

 そして、その間に私がアナスタシアに好意を抱くことも、キンバリー公爵家の計画の一部だったことは言うまでもない。
 アナスタシアを愛していると告げた時の彼らのしたり顔は、今思い出しても腹が立つ。
 だが、絶対に敵に回したくない一家である。



 当初の予定では、ジェフリーは罪人に仕立て上げて処刑、もしくは鉱山送りにする予定だった。

 処刑一択だ、と譲らないカーティス。
 フェルディナンドのいる鉱山に送り込みたいと、意気揚々と語るアンジェリーナ。
 彼女には今後も何やら策があったようで、まだいたぶるつもりだったらしい。
 いくら弟が悪いとはいえ、やりすぎだろうと肝が冷えた。

 それに待ったをかけたのは、傷付けられた張本人であるアナスタシアだった。

 「彼は、振り返らなかった……」

 ぽつりと呟くアナスタシアに、家族は意味がわからずに首を傾げていた。
 だが、私だけには伝わった。

 教会でのことを話しているのだ。
 本音を言えば、私はジェフリーと彼女を会わせたくはなかった。
 彼女の本心を知らない為、万が一復縁したいと彼女から言われることを恐れていたのだ。
 だが、教会で二人が会話することは計画の中で決定されていた。
 そうでないと、極限まで追い詰められたジェフリーが、自殺する可能性があったからだ。
 それを阻止する為にも、二人が話す必要があったのだ。

 もちろん温情からではない。
 死んで逃げることは許さない、と笑顔で語るアナリーズ夫人の意向だ。

 渋々受け入れたが、同じ空間にいるだけで顔を合わせないで欲しいと彼女に頼んだ。
 ジェフリーが狂っていた場合、襲われるかもしれないから、と。
 愛しているのなら振り返るな、とジェフリーに話していたことを彼女にも伝えていた。

 離縁後の一年間、計画に口を出さなかった彼女は、きっとジェフリーのことを憎んでいたと思う。
 だが、教会での会話の中で、心境の変化があったのかもしれない。
 
 

 そして、あんなにアナスタシアを愛していると戯言を繰り返していたジェフリーは、第二夫人と離縁しなかった。
 周囲からは、やはりアナスタシアは愛されていなかったと判断されたが、なぜか彼女だけはどことなく嬉しそうだった。



 結局ジェフリーは、クララが実家で多額の借金を作ったことにより自滅した。
 二人が話し合いをした結果、クララが離縁を申し出て、別れることとなった。
 クララの借金は、彼女の夫だったジェフリーが、自分にも責任があるので共に返済すると話した。
 だが、クララはジェフリーの名で金を借りており、返済する気はないと突っぱねた。


 そのことによって、二人の運命は天と地に分かれた。


 ジェフリーは、返済義務がないと判断されたが、地道に返済する道を選択した。

 クララは、多額の金銭と引き換えに、七十歳手前の私の元上司の後妻になった。

 

 
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