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第3章 宿敵の家と宿敵でなくなってから
第156話 オーロラはシアに思いを打ち明ける
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ノヴァお兄様の屋敷を離れて自分に与えられた領地へと赴く前日、私はある人をお兄様の屋敷から離れた場所で待っていた。時間はすっかり夜で、周りには木々が林立しているだけで明かりはない。真っ暗な雑木林の中で、月の光だけを感じながら私はこれまでの日々を思い返していた。
「……楽しかったな」
お姉様に無理に頼み込んだノヴァお兄様の補佐。学べることがもちろん多かったって言うのもあるけど、それ以上に楽しい日々だった。ターニャさんを初めとして屋敷の人達は宿敵であるはずのアークゲート家の私に優しくしてくれたし、ソニアはソニアでずっと側に居てくれた。
別にアークゲート家が寂しく冷たい場所ってわけじゃない。むしろお姉様のお陰でアークゲート家も過ごしやすく、楽しい場所だ。けどそれとは明確に違う物があった。それはきっと。
「……ノヴァお兄様」
名前を呼ぶだけで、胸がチクリと痛む。心臓の鼓動が、速くなる。この短期間ノヴァお兄様と一緒に居て、再認識した。
やっぱり私は、ノヴァお兄様が好きだという事を。
ソニアの事は好きだけど、そのことを前面に出さないとノヴァお兄様を意識してしまうくらいには、私は惹かれていた。ついこの間だって、ノヴァお兄様に欲しいものを強請る際に、まだここに居たいと言いそうになったくらいだ。
そんなことを言ったら迷惑になるってことくらい分かっていたから、ギリギリでソニアの事に話題を変えられたけど。……いや、ソニアはソニアで私の屋敷で専属侍女として雇いたいって言うのは本当なんだけど……こっそり連れ出したりできないかしら?
そんなことを考えていると、草木を踏みしめる音が耳に聞こえた。音を出さずに来ることも出来る筈なのに、私に来たことを知らせてくれているんだろう。そう思って音の方を振り向けば、思った通りお姉様が月明かりの下に姿を現した。
月明かりに照らされる漆黒の黒髪に、私でも見惚れてしまうほどの美貌。私だって自分の可愛さには自信がある方だけど、お姉様を見ていると勝てないなと思ってしまう。
「オーラ、こんなところに呼び出してどうかしましたか?」
鈴を転がすような綺麗な声音が耳に届く。こんな暗い場所に急に呼び出されたら普通怖がるはずなのに、その声には少しの震えもない。当たり前だ、お姉様は世界で最も強い人なんだから。
「お姉様……今日は伝えたいことがあり、お呼びしました」
「伝えたいこと……ですか?」
そんなお姉様に、私は今から大きな事を伝える。私にとっても、そしてお姉様にとっても大きなことを。正直緊張はするけど、お姉様がここに来てくれた以上はもう後戻りはできない。
それに、いつかは伝えないといけないことだから。
「私は、ノヴァお兄様の事が好きです……義理の兄としてではなく、一人の男性として」
はっきりと、自分の気持ちを吐露した。
伝えたことで私の緊張がさらに強くなり、心臓の音が周りに聞こえないか心配する程になる。お姉様はいつもの穏やかな表情でじっと私を見ていたけど、その瞳は続きを促しているように思えた。
「いつか、ノヴァお兄様にこの気持ちを伝えるつもりです。でもその前にお姉様には伝えておかないとと、そう思ったから」
「……なるほど」
次の瞬間、私の体にお姉様の濃く、膨大な魔力が圧し掛かった。膝をつくほどではないけれど、立っていて膝が震えるほどの重圧。それを感じて、お姉様が怒っていると、そう思った。
「それで? 仮に私がノヴァさんに気持ちを伝えることを良しとしなかった場合、どうするのですか?」
「……っ」
それはリサとも以前から話していた事。お姉様はほとんどの事を許してくれるだろうけど、ノヴァお兄様に関することだけは別だ。だから最大の壁として立ちはだかる可能性があると、そう思っていた。
他の誰を思い浮かべても、お姉様以上の壁は居ないだろう。それが分かっているからこそ、そして今お姉様の怒りを身をもって受けているからこそ、それがよく分かる。
分かるけど。
「……今回は……お伝えしたかっただけです。お姉様がたとえ……たとえっ……許してくれなくても……」
私にだって譲れないことがある。生まれてから長い間、私は塔に閉じ込められて何一つ与えられなかった。何も欲したことなんてなかった。
だからこれだけは、諦めたくない。
「私はこの気持ちを……伝えます」
そう言った瞬間に、私に圧し掛かる魔力の暴力は嘘みたいに霧散した。急に軽くなり、震えが止まる体。お姉様が魔力をぶつけるのを止めたのを悟った。
「知っていましたよ」
ここに来た時と同じく穏やかな声で、お姉様は言葉を紡ぐ。
「外から見ていればオーラがノヴァさんに懸想しているのはよく分かることです。だからそれは、構わないことだと思います。オーラが思いを伝えるのは、他のでもないオーラの権利ですから」
「……あ、ありがとう……ございます……じゃあ、どうして?」
どうしてさっきはあそこまで怒った様子を見せたのか、それが分からなくて問いかければ、お姉様は溜息を吐いた。
「ごめんなさいオーラ、さっきは怖かったですよね? ただ……ノヴァさんに思いを伝えるなら、私の事なんて気にしないで欲しかったんです。私が許可を出さなければノヴァさんに思いを伝えられないんですか? そもそも私に許可を求めなければと思うほどの思いなのですか? それを問いたかっただけなんです。
ですがオーラはそのどちらでもなかった。改めて、あなたが心からノヴァさんを思っていることを知れて、良かった」
「……お姉様」
お姉様の言葉を聞いて、やっぱりお姉様はノヴァお兄様の事を第一に考えているんだと、そう思った。
お姉様は深く息を吐いて、私をじっと見る。いつもの凛々しい視線に、自然と背筋が伸びた。
「私はオーラを応援も拒絶もしません。全てを決めるのはノヴァさんですから。……ですが、オーラがノヴァさんに受け入れられたのなら、私もその決定を受け入れます」
「ありがとうございます」
「ですが、ノヴァさんにはいつ伝えるんですか?」
お姉様の言葉に、私はまっすぐに答えた。
「お姉様やノヴァお兄様のように、立派な領主になってから想いを伝えるつもりです。今はまだ早すぎますから」
いつのタイミングで想いを告げるのが正しいのかは分からない。けど今ではないと思った。このフォルスの屋敷に来てからというもの、ノヴァお兄様とはとても近い位置に居るけど、私の事を妹のようにしか見ていないことはなんとなく伝わったから。
だから一つの区切りとして、お姉様やノヴァお兄様と同じように立派な領主になってから、この思いを伝えよう。
「……なるほど、分かりました」
「…………」
「…………」
お姉様の言葉を最後に、私とお姉様の間に沈黙が流れる。伝えたいことは伝えたし、新しく何かを話す予定もない。どうすればいいのか少しだけ迷ったけど、ここは私の方から立ち去ろうと、そう思った。
「で、ではお姉様、伝えたいことは伝えたので、この辺で失礼しますね!」
踵を返して、その場を離れようとする。
「あ、待ってくださいオーラ」
「はい」
声をかけられて、慌てて足を止めた。お姉様は私の方をじっと見ていたけど、止まった私を見て声をかけてくれた。
「普段からは難しいと思いますが、ノヴァさんに思いを伝えるときくらいはお兄様呼びはやめた方が良いと思います」
「…………」
言われた言葉に少し唖然としたけど、私は笑顔を見せて返す。
「はいっ、ありがとうございますお姉様! それでは!」
言葉を胸に、私はフォルスの屋敷に向かう。お姉様の言う通りだ。自分の思いを伝えるときくらいは、ノヴァお兄様をお兄様ではなく、一人のノヴァさんとして呼ぶようにしよう。
お姉様からの優しさを感じて、私は雑木林をかけていく。
振り返らなかったから、別れ際のお姉様の浮かべている表情には気づかなかった。
お姉様が私の事をどこか悲しそうな、辛そうな表情で見ていることに、気づかなかった。
「……楽しかったな」
お姉様に無理に頼み込んだノヴァお兄様の補佐。学べることがもちろん多かったって言うのもあるけど、それ以上に楽しい日々だった。ターニャさんを初めとして屋敷の人達は宿敵であるはずのアークゲート家の私に優しくしてくれたし、ソニアはソニアでずっと側に居てくれた。
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「……ノヴァお兄様」
名前を呼ぶだけで、胸がチクリと痛む。心臓の鼓動が、速くなる。この短期間ノヴァお兄様と一緒に居て、再認識した。
やっぱり私は、ノヴァお兄様が好きだという事を。
ソニアの事は好きだけど、そのことを前面に出さないとノヴァお兄様を意識してしまうくらいには、私は惹かれていた。ついこの間だって、ノヴァお兄様に欲しいものを強請る際に、まだここに居たいと言いそうになったくらいだ。
そんなことを言ったら迷惑になるってことくらい分かっていたから、ギリギリでソニアの事に話題を変えられたけど。……いや、ソニアはソニアで私の屋敷で専属侍女として雇いたいって言うのは本当なんだけど……こっそり連れ出したりできないかしら?
そんなことを考えていると、草木を踏みしめる音が耳に聞こえた。音を出さずに来ることも出来る筈なのに、私に来たことを知らせてくれているんだろう。そう思って音の方を振り向けば、思った通りお姉様が月明かりの下に姿を現した。
月明かりに照らされる漆黒の黒髪に、私でも見惚れてしまうほどの美貌。私だって自分の可愛さには自信がある方だけど、お姉様を見ていると勝てないなと思ってしまう。
「オーラ、こんなところに呼び出してどうかしましたか?」
鈴を転がすような綺麗な声音が耳に届く。こんな暗い場所に急に呼び出されたら普通怖がるはずなのに、その声には少しの震えもない。当たり前だ、お姉様は世界で最も強い人なんだから。
「お姉様……今日は伝えたいことがあり、お呼びしました」
「伝えたいこと……ですか?」
そんなお姉様に、私は今から大きな事を伝える。私にとっても、そしてお姉様にとっても大きなことを。正直緊張はするけど、お姉様がここに来てくれた以上はもう後戻りはできない。
それに、いつかは伝えないといけないことだから。
「私は、ノヴァお兄様の事が好きです……義理の兄としてではなく、一人の男性として」
はっきりと、自分の気持ちを吐露した。
伝えたことで私の緊張がさらに強くなり、心臓の音が周りに聞こえないか心配する程になる。お姉様はいつもの穏やかな表情でじっと私を見ていたけど、その瞳は続きを促しているように思えた。
「いつか、ノヴァお兄様にこの気持ちを伝えるつもりです。でもその前にお姉様には伝えておかないとと、そう思ったから」
「……なるほど」
次の瞬間、私の体にお姉様の濃く、膨大な魔力が圧し掛かった。膝をつくほどではないけれど、立っていて膝が震えるほどの重圧。それを感じて、お姉様が怒っていると、そう思った。
「それで? 仮に私がノヴァさんに気持ちを伝えることを良しとしなかった場合、どうするのですか?」
「……っ」
それはリサとも以前から話していた事。お姉様はほとんどの事を許してくれるだろうけど、ノヴァお兄様に関することだけは別だ。だから最大の壁として立ちはだかる可能性があると、そう思っていた。
他の誰を思い浮かべても、お姉様以上の壁は居ないだろう。それが分かっているからこそ、そして今お姉様の怒りを身をもって受けているからこそ、それがよく分かる。
分かるけど。
「……今回は……お伝えしたかっただけです。お姉様がたとえ……たとえっ……許してくれなくても……」
私にだって譲れないことがある。生まれてから長い間、私は塔に閉じ込められて何一つ与えられなかった。何も欲したことなんてなかった。
だからこれだけは、諦めたくない。
「私はこの気持ちを……伝えます」
そう言った瞬間に、私に圧し掛かる魔力の暴力は嘘みたいに霧散した。急に軽くなり、震えが止まる体。お姉様が魔力をぶつけるのを止めたのを悟った。
「知っていましたよ」
ここに来た時と同じく穏やかな声で、お姉様は言葉を紡ぐ。
「外から見ていればオーラがノヴァさんに懸想しているのはよく分かることです。だからそれは、構わないことだと思います。オーラが思いを伝えるのは、他のでもないオーラの権利ですから」
「……あ、ありがとう……ございます……じゃあ、どうして?」
どうしてさっきはあそこまで怒った様子を見せたのか、それが分からなくて問いかければ、お姉様は溜息を吐いた。
「ごめんなさいオーラ、さっきは怖かったですよね? ただ……ノヴァさんに思いを伝えるなら、私の事なんて気にしないで欲しかったんです。私が許可を出さなければノヴァさんに思いを伝えられないんですか? そもそも私に許可を求めなければと思うほどの思いなのですか? それを問いたかっただけなんです。
ですがオーラはそのどちらでもなかった。改めて、あなたが心からノヴァさんを思っていることを知れて、良かった」
「……お姉様」
お姉様の言葉を聞いて、やっぱりお姉様はノヴァお兄様の事を第一に考えているんだと、そう思った。
お姉様は深く息を吐いて、私をじっと見る。いつもの凛々しい視線に、自然と背筋が伸びた。
「私はオーラを応援も拒絶もしません。全てを決めるのはノヴァさんですから。……ですが、オーラがノヴァさんに受け入れられたのなら、私もその決定を受け入れます」
「ありがとうございます」
「ですが、ノヴァさんにはいつ伝えるんですか?」
お姉様の言葉に、私はまっすぐに答えた。
「お姉様やノヴァお兄様のように、立派な領主になってから想いを伝えるつもりです。今はまだ早すぎますから」
いつのタイミングで想いを告げるのが正しいのかは分からない。けど今ではないと思った。このフォルスの屋敷に来てからというもの、ノヴァお兄様とはとても近い位置に居るけど、私の事を妹のようにしか見ていないことはなんとなく伝わったから。
だから一つの区切りとして、お姉様やノヴァお兄様と同じように立派な領主になってから、この思いを伝えよう。
「……なるほど、分かりました」
「…………」
「…………」
お姉様の言葉を最後に、私とお姉様の間に沈黙が流れる。伝えたいことは伝えたし、新しく何かを話す予定もない。どうすればいいのか少しだけ迷ったけど、ここは私の方から立ち去ろうと、そう思った。
「で、ではお姉様、伝えたいことは伝えたので、この辺で失礼しますね!」
踵を返して、その場を離れようとする。
「あ、待ってくださいオーラ」
「はい」
声をかけられて、慌てて足を止めた。お姉様は私の方をじっと見ていたけど、止まった私を見て声をかけてくれた。
「普段からは難しいと思いますが、ノヴァさんに思いを伝えるときくらいはお兄様呼びはやめた方が良いと思います」
「…………」
言われた言葉に少し唖然としたけど、私は笑顔を見せて返す。
「はいっ、ありがとうございますお姉様! それでは!」
言葉を胸に、私はフォルスの屋敷に向かう。お姉様の言う通りだ。自分の思いを伝えるときくらいは、ノヴァお兄様をお兄様ではなく、一人のノヴァさんとして呼ぶようにしよう。
お姉様からの優しさを感じて、私は雑木林をかけていく。
振り返らなかったから、別れ際のお姉様の浮かべている表情には気づかなかった。
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