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第3章 宿敵の家と宿敵でなくなってから
第173話 お調子者ハインズさんの一番苦手な人
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時は流れて親睦会当日、俺は別邸の控室に居た。準備はもう完了していて、あとは南側の貴族達が来るのを待つだけだ。
「予想よりも早く準備が終わりましたね」
「ターニャのお陰だよ。流石は最古参の侍女長様は仕事もお早いことで」
「なんか、褒められているのか揶揄われているのか困る反応ですね。ですが素直に褒めてくださっていると受け取っておきます」
ふふんっ、と胸を張るのは俺の専属侍女にして、屋敷の侍女長でもあるターニャだ。今回の親睦会における準備の統括的な役割を担ってくれた存在でもある。本番である今日は念のために裏で控えてもらう予定だ。
前に決めた通り、この親睦会にアークゲート家の人は呼んでいない。ユティさん、オーロラちゃんは勿論の事、妻であるシアもここには居ない。
ラプラスさん、ローエンさん、ジルさんは俺の屋敷に残ってもらったから、今この場で一番親しいのは隣に居るターニャだったりする。
ちなみに当のターニャは、俺とどこかに出かけるのがかなり久しぶりだから楽しんでいるようだった。
「別邸だけあって流石に規模は本邸より小さいですし、この一回限りですからね。準備に協力してくれた方達も優秀で、とても助かりました」
「特に大きな問題もなさそうで安心したよ。あとは確認した手順通りに進めて、成功で終わらせるだけだね」
親睦会は大きな行事ではあるけれど、俺はそこまで緊張していなかった。自分で開催するのは初とは言え親睦会自体は二回目。それにもっと大きな式典にも出席したこともある。
加えて参加者全員と面識がある、というのも大きな理由だった。
ノックの音が部屋に響き渡る。扉に返事をすると音を立てて開き、入ってきたのはアランさんだった。
「お久しぶりですノヴァさん。今日は招待いただき、ありがとうございます」
「アランさん、久しぶり。……セシリアさんは?」
彼以外の姿が見えないので聞いてみると、どうやら会場の方に先に向かわせたらしい。アランさんはアランさんで俺に挨拶がしたくて一人で来たんだとか。律義な人だなと思ったけど、アランさんらしいなとも思った。
「それにしても懐かしいですね。一年以上前になりますか……ここでノヴァさんを見たのは」
「ああ、そういえばそうだね。あの時はちょっと大変だったから……まあその後も大変で次の開催が遅れちゃったんだけどね」
「当主が交代したという事ならば仕方ない事かと。むしろこの期間で開催できるなら早い、と個人的には思います」
「アランさんにそう言ってもらえるとありがたいかな」
二人して微笑みあっていると、再びノックの音が響く。また別の貴族が挨拶をしに来たのかなと思って声をかけると、アランさんの時と同じように扉が開いて一人、部屋の中に入ってきた。
「やあノヴァ殿、本日は招待ありがとう」
「ハインズさん、お久しぶりです」
入ってきたのはナタさんとセシリアさんの父であるハインズさんだった。ワイルダー家も当然今回の招待客の中に入っている。
彼はアランさんが居ることは予想外だったらしく、少しだけ驚いた様子を見せた。
「おや、アラン殿も居たのか。邪魔したかな?」
「いえ、そんなことは」
「そもそも義理とはいえ親子関係なんですから、三人で話せばいいのでは?」
思ったことを口にしてみると、ハインズさんはポンッと握りこぶしで自分の手のひらを叩き、確かに、と呟いた。前から思っていたけれど、この人動作の一つ一つが軽いというか、気前が良いというか……父上と年齢はそんなに変わらない筈だけど、なんか若く見えるんだよなぁ。
「ところでアラン殿、セシリアとの関係は良好かい? 入籍してから結構経つけど、上手く行っているといいんだが」
「はい、自分は屋敷の管理などはあまり得意ではなかったのですが、彼女のお陰で少し屋敷が明るくなったように感じます。使用人たちとの仲も良好ですし、勿体ないくらいの人です」
ハインズさんとアランさんのやり取りを聞いて、あれ? と思った。少しアランさんの回答がズレているような……。そう思っていると、ハインズさんは笑いながら、いやいや、と言った。
「そうじゃなくてアラン殿とセシリアの関係の方さ。入籍報告の時も言ったけれど、あの子はこれまで婚約者からは愛してもらえず、その後は噂で心を傷つけられてきたからね。ちゃんと愛していると伝えているかい? 言葉でも態度でも行動でも、大切にしてやってくれよ?」
「……は、はい」
やっぱり思った通りズレていたようで、ハインズさんは訂正してきた。その時の彼の言葉には少し圧があって、あのアランさんが気圧されていたくらいだ。というか、アランさんがあんな風にタジタジになっているのは初めて見た気がする。
「もしセシリアを泣かせた場合は、ワイルダー家はサイモン家に宣戦布告するからね。フォルス家とアークゲート家にも手伝ってもらうよ」
「え、自分もですか?」
急に俺の所にも話が回ってきて、驚いて返す。というかワイルダー家にフォルス家にアークゲート家って、それ下手したらサイモン家塵一つ残らないんじゃ……。冗談に対してなんとなく戦力を考えていると、アランさんが不敵に笑った。
「そこはご心配なく。私はセシリアを心から愛していますし、彼女を絶対に幸せにします」
え、アランさんカッコいい。そう思うと同時、ハインズさんは満面の笑みで、そうかそうか、と少しだけ大きな声を出した。
「ふむふむ、この様子なら二人は安泰だ。孫の顔も近いうちに見られるかもしれないな」
「ま、孫ですか……」
「うんうん、なるべく早く頼むよアラン殿。私も老い先短いかもしれないからね」
うわぁ……という目でハインズさんを見る。あなたの老い先が短いわけないだろ、と心の中で叫んだ。むしろ孫どころかひ孫まで笑顔で見る気さえする。
もう三人の会話は完全にハインズさんのペースだった。翻弄するような話しの切り口に、特にアランさんはやられっぱなしだったのは言うまでもない。
「やっぱりハインズさんと話すときは保険としてセシリアさんかナタさんに同席してもらうのが良いのかもしれないね」
「いやいや、娘たちを出すのは止めてくれよノヴァ殿。特にナタに関しては無言で抓られてしまうさ」
以前の事を思い出しているのか、苦笑いで答えるハインズさん。彼にとってみれば、ナタさんが一番頭が上がらない相手なのかもしれない。
そんな事を思っていると、アランさんはポツリと呟いた。
「いや、むしろノヴァさんの場合は奥様に同席してもらえばいいのでは? 流石にアークゲートの長の前ではお義父様もこのような振る舞いは出来ないでしょう」
さっきまでハインズさんの言葉に翻弄されたことを根に持っているのか、アランさんは少しだけしたり顔でそう言う。そういえばシアとハインズさんの関係性はどうなんだろうか。面識はあると思うが、俺の知っている限り二人が話しているところは見たことがないな、と思ったとき。
「ノヴァ殿、奥方にナタがいつもお世話になっています、とお伝えください」
急に畏まった口調でハインズさんはそう言って貴族特有の礼をする。あまりの変わりように唖然としていると、礼を解いたハインズさんは今日一番困った顔をした。
「なのでレティシア様の同席だけはどうか。緊張と重圧で息が少し苦しくなってしまいます……」
「は、はは……分かりました。これまで通りで行きましょう」
「本当かい! いやぁ、助かるよ!」
急に調子が戻るハインズさん。前言撤回、どうやら彼の一番苦手な人はナタさんではなくシアだったらしい。確かにハインズさんのいつもの調子が通じなさそうな相手、というのは間違いなさそうだ。俺は向けられたことはないけれど、見たことはあるちょっと怖い笑みで冷や汗を流しているハインズさんの姿が思い浮かぶし。
その後、三人である程度話して満足したのか、ハインズさんはアランさんを連れて部屋を出ていった。
「予想よりも早く準備が終わりましたね」
「ターニャのお陰だよ。流石は最古参の侍女長様は仕事もお早いことで」
「なんか、褒められているのか揶揄われているのか困る反応ですね。ですが素直に褒めてくださっていると受け取っておきます」
ふふんっ、と胸を張るのは俺の専属侍女にして、屋敷の侍女長でもあるターニャだ。今回の親睦会における準備の統括的な役割を担ってくれた存在でもある。本番である今日は念のために裏で控えてもらう予定だ。
前に決めた通り、この親睦会にアークゲート家の人は呼んでいない。ユティさん、オーロラちゃんは勿論の事、妻であるシアもここには居ない。
ラプラスさん、ローエンさん、ジルさんは俺の屋敷に残ってもらったから、今この場で一番親しいのは隣に居るターニャだったりする。
ちなみに当のターニャは、俺とどこかに出かけるのがかなり久しぶりだから楽しんでいるようだった。
「別邸だけあって流石に規模は本邸より小さいですし、この一回限りですからね。準備に協力してくれた方達も優秀で、とても助かりました」
「特に大きな問題もなさそうで安心したよ。あとは確認した手順通りに進めて、成功で終わらせるだけだね」
親睦会は大きな行事ではあるけれど、俺はそこまで緊張していなかった。自分で開催するのは初とは言え親睦会自体は二回目。それにもっと大きな式典にも出席したこともある。
加えて参加者全員と面識がある、というのも大きな理由だった。
ノックの音が部屋に響き渡る。扉に返事をすると音を立てて開き、入ってきたのはアランさんだった。
「お久しぶりですノヴァさん。今日は招待いただき、ありがとうございます」
「アランさん、久しぶり。……セシリアさんは?」
彼以外の姿が見えないので聞いてみると、どうやら会場の方に先に向かわせたらしい。アランさんはアランさんで俺に挨拶がしたくて一人で来たんだとか。律義な人だなと思ったけど、アランさんらしいなとも思った。
「それにしても懐かしいですね。一年以上前になりますか……ここでノヴァさんを見たのは」
「ああ、そういえばそうだね。あの時はちょっと大変だったから……まあその後も大変で次の開催が遅れちゃったんだけどね」
「当主が交代したという事ならば仕方ない事かと。むしろこの期間で開催できるなら早い、と個人的には思います」
「アランさんにそう言ってもらえるとありがたいかな」
二人して微笑みあっていると、再びノックの音が響く。また別の貴族が挨拶をしに来たのかなと思って声をかけると、アランさんの時と同じように扉が開いて一人、部屋の中に入ってきた。
「やあノヴァ殿、本日は招待ありがとう」
「ハインズさん、お久しぶりです」
入ってきたのはナタさんとセシリアさんの父であるハインズさんだった。ワイルダー家も当然今回の招待客の中に入っている。
彼はアランさんが居ることは予想外だったらしく、少しだけ驚いた様子を見せた。
「おや、アラン殿も居たのか。邪魔したかな?」
「いえ、そんなことは」
「そもそも義理とはいえ親子関係なんですから、三人で話せばいいのでは?」
思ったことを口にしてみると、ハインズさんはポンッと握りこぶしで自分の手のひらを叩き、確かに、と呟いた。前から思っていたけれど、この人動作の一つ一つが軽いというか、気前が良いというか……父上と年齢はそんなに変わらない筈だけど、なんか若く見えるんだよなぁ。
「ところでアラン殿、セシリアとの関係は良好かい? 入籍してから結構経つけど、上手く行っているといいんだが」
「はい、自分は屋敷の管理などはあまり得意ではなかったのですが、彼女のお陰で少し屋敷が明るくなったように感じます。使用人たちとの仲も良好ですし、勿体ないくらいの人です」
ハインズさんとアランさんのやり取りを聞いて、あれ? と思った。少しアランさんの回答がズレているような……。そう思っていると、ハインズさんは笑いながら、いやいや、と言った。
「そうじゃなくてアラン殿とセシリアの関係の方さ。入籍報告の時も言ったけれど、あの子はこれまで婚約者からは愛してもらえず、その後は噂で心を傷つけられてきたからね。ちゃんと愛していると伝えているかい? 言葉でも態度でも行動でも、大切にしてやってくれよ?」
「……は、はい」
やっぱり思った通りズレていたようで、ハインズさんは訂正してきた。その時の彼の言葉には少し圧があって、あのアランさんが気圧されていたくらいだ。というか、アランさんがあんな風にタジタジになっているのは初めて見た気がする。
「もしセシリアを泣かせた場合は、ワイルダー家はサイモン家に宣戦布告するからね。フォルス家とアークゲート家にも手伝ってもらうよ」
「え、自分もですか?」
急に俺の所にも話が回ってきて、驚いて返す。というかワイルダー家にフォルス家にアークゲート家って、それ下手したらサイモン家塵一つ残らないんじゃ……。冗談に対してなんとなく戦力を考えていると、アランさんが不敵に笑った。
「そこはご心配なく。私はセシリアを心から愛していますし、彼女を絶対に幸せにします」
え、アランさんカッコいい。そう思うと同時、ハインズさんは満面の笑みで、そうかそうか、と少しだけ大きな声を出した。
「ふむふむ、この様子なら二人は安泰だ。孫の顔も近いうちに見られるかもしれないな」
「ま、孫ですか……」
「うんうん、なるべく早く頼むよアラン殿。私も老い先短いかもしれないからね」
うわぁ……という目でハインズさんを見る。あなたの老い先が短いわけないだろ、と心の中で叫んだ。むしろ孫どころかひ孫まで笑顔で見る気さえする。
もう三人の会話は完全にハインズさんのペースだった。翻弄するような話しの切り口に、特にアランさんはやられっぱなしだったのは言うまでもない。
「やっぱりハインズさんと話すときは保険としてセシリアさんかナタさんに同席してもらうのが良いのかもしれないね」
「いやいや、娘たちを出すのは止めてくれよノヴァ殿。特にナタに関しては無言で抓られてしまうさ」
以前の事を思い出しているのか、苦笑いで答えるハインズさん。彼にとってみれば、ナタさんが一番頭が上がらない相手なのかもしれない。
そんな事を思っていると、アランさんはポツリと呟いた。
「いや、むしろノヴァさんの場合は奥様に同席してもらえばいいのでは? 流石にアークゲートの長の前ではお義父様もこのような振る舞いは出来ないでしょう」
さっきまでハインズさんの言葉に翻弄されたことを根に持っているのか、アランさんは少しだけしたり顔でそう言う。そういえばシアとハインズさんの関係性はどうなんだろうか。面識はあると思うが、俺の知っている限り二人が話しているところは見たことがないな、と思ったとき。
「ノヴァ殿、奥方にナタがいつもお世話になっています、とお伝えください」
急に畏まった口調でハインズさんはそう言って貴族特有の礼をする。あまりの変わりように唖然としていると、礼を解いたハインズさんは今日一番困った顔をした。
「なのでレティシア様の同席だけはどうか。緊張と重圧で息が少し苦しくなってしまいます……」
「は、はは……分かりました。これまで通りで行きましょう」
「本当かい! いやぁ、助かるよ!」
急に調子が戻るハインズさん。前言撤回、どうやら彼の一番苦手な人はナタさんではなくシアだったらしい。確かにハインズさんのいつもの調子が通じなさそうな相手、というのは間違いなさそうだ。俺は向けられたことはないけれど、見たことはあるちょっと怖い笑みで冷や汗を流しているハインズさんの姿が思い浮かぶし。
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