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第133話 殿下に頂いた特別なリボン
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「おはようございます、ロザンヌ様」
「ふはぁい。おはよぉ」
ごろごろベッドの中で転ばされた後、私はむくりと起き上がった。
また今日から学校が始まるので、朝の準備をする。
頑張れ、私。
誰も応援してくれないから自分で自分を応援してみる。
制服に着終えて私は鏡台の前に座ると、ユリアが髪を結ってくれるために背後に立った。
「昨日は楽しかったね」
「はい」
髪を優しくとかしてくれながら頷くユリア。
「また許可が下りたら行こうね」
「はい」
ユリアはあくまでも端的に答えているが、楽しかったのは間違いないようだ。それに昔の知人に出会えたことも、もしかしたら彼女の心に何らかの影響を与えたのかもしれない。鏡越しのユリアの顔はこれまでと比べると、少しだけ穏やかな表情を浮かべている気がする。
「ロザンヌ様、リボンはどうなさいますか。殿下から頂いたリボンをなさいますか」
ユリアからの問いかけにはっと我に返る。
「うーん。そうね。せっかく頂いたけれど、学校用ではないわよね」
私は殿下から頂いたリボンを手に取ってあらためて見つめる。
とても繊細な刺繍が施され、見るからに質が高そうで、学校に付けていくのは気が引ける。目立ってもいけないし、何よりも汚したり、どこかに引っかけて傷つけたり、落とすのは絶対に嫌だから。
「それでも一度身に付けたところをお見せした方がいいかしら」
「そうですね」
「じゃあ、お部屋でご挨拶する時にお見せするから、今は付けておいてくれる?」
「かしこまりました」
ユリアは何でも器用にこなすけれど、髪結いだけはあまり得意としていないようで、いつも同じ髪型だ。
まあ、学校だし、別に特別な髪型にしてもらわなくていいのだけれど。
一つにまとめた先にリボンを付けてくれた。
「うん。可愛い。ありがとう」
「では、朝食のご用意をいたします」
「ありがとう。お願いね」
朝食を取り終えて、私は席を立つと鏡の前まで行く。
うん。髪型もちゃんとなっているし、リボンも綺麗に付いているね。
確認して殿下の部屋に繋がる扉へと向かい、ノックをすると殿下からの返事があった。
今朝もまだお部屋にいてくださって良かった。
私は首に掛けた鍵で解除すると、ノブを回して扉を開け、失礼いたしますと足を踏み入れた。
もう勝手知ったる他人の部屋である。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「昨日は本当にありがとうございました。とても楽しかったです。このおリボンもありがとうございます」
私はいつもより深く礼を取る。
「いや。付けてくれているんだな。とてもよく似合っている」
視線を上げると満足そうに笑って褒めてくれる殿下に、私は少しだけ恥ずかしくなった。
「あ、ありがとう存じます。でも実はこの後、すぐに外そうと思っております」
私は前もって殿下に伝えておく。
何かの拍子に別のリボンをしているところを見られて、自分が贈ったリボンを付けていないなと不快に思われるよりはいいだろう。
「え? 何故だ?」
「せっかく頂きましたのに汚したり、無くしたりしたら困りますので」
「リボンなのだから付けないと意味がないのでは?」
殿下は不愉快そうというよりは不思議そうな表情を見せる。
このリボン一つとっても私には高級品だ。普段使いや、まして学校に気軽に付けていけるものでもない。……何より殿下に頂いた特別なリボンなのだから。
「そうですが、やはり学校に付けて行くにはあまりにも高級品ですので。また社交界の場などで付けさせていただこうかと考えております」
「そうか」
「はい。でもまずは付けているところを殿下にお見せしたくて参りました」
「……ああ。ありがとう」
私は小首を傾げた。
お礼を言うのはこちらの方なのだけれど?
殿下はそんな私を見て小さく笑う。
「疲れはないか?」
「昨日は早くに寝てしまいましたので、大丈夫です。殿下はお元気でいらっしゃいますか」
顔色も悪くないし、影は憑いていないだろうけれど、お出かけしてお疲れなのではないだろうか。お忙しい身なのに申し訳なかったなと思う。
「大丈夫だ。問題無い」
「そうですか。良かったです。ではわたくし、これから学校に行って参ります」
「ああ。気をつけて」
「ありがとうございます。ではここで失礼いたします」
笑顔で礼を取ると私は殿下の部屋を出た。
「ふはぁい。おはよぉ」
ごろごろベッドの中で転ばされた後、私はむくりと起き上がった。
また今日から学校が始まるので、朝の準備をする。
頑張れ、私。
誰も応援してくれないから自分で自分を応援してみる。
制服に着終えて私は鏡台の前に座ると、ユリアが髪を結ってくれるために背後に立った。
「昨日は楽しかったね」
「はい」
髪を優しくとかしてくれながら頷くユリア。
「また許可が下りたら行こうね」
「はい」
ユリアはあくまでも端的に答えているが、楽しかったのは間違いないようだ。それに昔の知人に出会えたことも、もしかしたら彼女の心に何らかの影響を与えたのかもしれない。鏡越しのユリアの顔はこれまでと比べると、少しだけ穏やかな表情を浮かべている気がする。
「ロザンヌ様、リボンはどうなさいますか。殿下から頂いたリボンをなさいますか」
ユリアからの問いかけにはっと我に返る。
「うーん。そうね。せっかく頂いたけれど、学校用ではないわよね」
私は殿下から頂いたリボンを手に取ってあらためて見つめる。
とても繊細な刺繍が施され、見るからに質が高そうで、学校に付けていくのは気が引ける。目立ってもいけないし、何よりも汚したり、どこかに引っかけて傷つけたり、落とすのは絶対に嫌だから。
「それでも一度身に付けたところをお見せした方がいいかしら」
「そうですね」
「じゃあ、お部屋でご挨拶する時にお見せするから、今は付けておいてくれる?」
「かしこまりました」
ユリアは何でも器用にこなすけれど、髪結いだけはあまり得意としていないようで、いつも同じ髪型だ。
まあ、学校だし、別に特別な髪型にしてもらわなくていいのだけれど。
一つにまとめた先にリボンを付けてくれた。
「うん。可愛い。ありがとう」
「では、朝食のご用意をいたします」
「ありがとう。お願いね」
朝食を取り終えて、私は席を立つと鏡の前まで行く。
うん。髪型もちゃんとなっているし、リボンも綺麗に付いているね。
確認して殿下の部屋に繋がる扉へと向かい、ノックをすると殿下からの返事があった。
今朝もまだお部屋にいてくださって良かった。
私は首に掛けた鍵で解除すると、ノブを回して扉を開け、失礼いたしますと足を踏み入れた。
もう勝手知ったる他人の部屋である。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
「昨日は本当にありがとうございました。とても楽しかったです。このおリボンもありがとうございます」
私はいつもより深く礼を取る。
「いや。付けてくれているんだな。とてもよく似合っている」
視線を上げると満足そうに笑って褒めてくれる殿下に、私は少しだけ恥ずかしくなった。
「あ、ありがとう存じます。でも実はこの後、すぐに外そうと思っております」
私は前もって殿下に伝えておく。
何かの拍子に別のリボンをしているところを見られて、自分が贈ったリボンを付けていないなと不快に思われるよりはいいだろう。
「え? 何故だ?」
「せっかく頂きましたのに汚したり、無くしたりしたら困りますので」
「リボンなのだから付けないと意味がないのでは?」
殿下は不愉快そうというよりは不思議そうな表情を見せる。
このリボン一つとっても私には高級品だ。普段使いや、まして学校に気軽に付けていけるものでもない。……何より殿下に頂いた特別なリボンなのだから。
「そうですが、やはり学校に付けて行くにはあまりにも高級品ですので。また社交界の場などで付けさせていただこうかと考えております」
「そうか」
「はい。でもまずは付けているところを殿下にお見せしたくて参りました」
「……ああ。ありがとう」
私は小首を傾げた。
お礼を言うのはこちらの方なのだけれど?
殿下はそんな私を見て小さく笑う。
「疲れはないか?」
「昨日は早くに寝てしまいましたので、大丈夫です。殿下はお元気でいらっしゃいますか」
顔色も悪くないし、影は憑いていないだろうけれど、お出かけしてお疲れなのではないだろうか。お忙しい身なのに申し訳なかったなと思う。
「大丈夫だ。問題無い」
「そうですか。良かったです。ではわたくし、これから学校に行って参ります」
「ああ。気をつけて」
「ありがとうございます。ではここで失礼いたします」
笑顔で礼を取ると私は殿下の部屋を出た。
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