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幻の映画
《1》
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今日は私一人で横浜の望月先生の家に向かった。
昨日、久保田に謝罪をした後、ようやく望月先生の奥様と何があったか話してくれた。
久保田は奥様を独身だと思い、口説いたそうだ。奥様が怒ったのも納得できる話だった。
――一目惚れだったんです。
そう話す久保田は真剣な目をしていた。
――今日子さんは僕にとても優しくしてくれて。毎日、阿久津部長に圧力かけられるし、中島さんの仕事、全部、僕に回ってくるし、僕だって癒されたいんですよ。そんな時にすっぽりと心に今日子さんが心に入りまして……。
涙ぐみながら話す久保田からは奥様が言ったような、からかった様子は感じられなかった。真剣な気持ちに思える。
久保田の話を聞いていたら、半分は私の責任のような気がして来た。私も随分と久保田を追い込んだから。
望月先生が怒っているのは、久保田が奥様を口説こうとした事が原因のような気がした。だから、奥様が久保田を許してくれれば、解決する気がする。
とにかく、久保田に悪気はなかった事を奥様に話そう。久保田の先輩として、元上司として、この件は何とかしてやりたい。
朝8時に望月先生の家のインターンを押すと奥様が出た。
「朝早くから押しかけてしまい大変申し訳ございません。ウエストシネマズの中島です。本日は奥様とお話がしたくて参りました」
インターホンのカメラ越しに用件を話すが、「お帰り下さい」という声が返ってくる。
「インターホン越しでも良いので話を聞いていただけないでしょうか?」
「困ります」
「お時間を取らせませんので。お願いいたします」
「お帰り下さい」
「奥様は昨日、久保田にからかわれたとおっしゃっていましたが、それは違うのです」
「どう違うんですか?」
話に食いついてくれた。久保田の気持ちを伝えよう。
「久保田は優しく接して下さった奥様に一目惚れしたそうです。それで奥様の事を独身だと思ってしまい、言い寄ってしまったそうです。実は久保田は今、苦境に立たされておりまして。そんな時に出会った奥様が久保田にとっては女神のような存在だったと、涙ながらに久保田が話しておりました。軽薄そうに見えますが、久保田はチャラチャラした男ではございません。真剣な想いだったのです。それに女性には不器用で。奥様が初恋だったのです。どうか久保田を許してやってはくれないでしょうか? もう二度と奥様には近づけませんから」
沈黙が流れる。
どうか、久保田を許して欲しい。祈るような気持ちでいると、「わかりました。許します」という奥様の声がした。
昨日、久保田に謝罪をした後、ようやく望月先生の奥様と何があったか話してくれた。
久保田は奥様を独身だと思い、口説いたそうだ。奥様が怒ったのも納得できる話だった。
――一目惚れだったんです。
そう話す久保田は真剣な目をしていた。
――今日子さんは僕にとても優しくしてくれて。毎日、阿久津部長に圧力かけられるし、中島さんの仕事、全部、僕に回ってくるし、僕だって癒されたいんですよ。そんな時にすっぽりと心に今日子さんが心に入りまして……。
涙ぐみながら話す久保田からは奥様が言ったような、からかった様子は感じられなかった。真剣な気持ちに思える。
久保田の話を聞いていたら、半分は私の責任のような気がして来た。私も随分と久保田を追い込んだから。
望月先生が怒っているのは、久保田が奥様を口説こうとした事が原因のような気がした。だから、奥様が久保田を許してくれれば、解決する気がする。
とにかく、久保田に悪気はなかった事を奥様に話そう。久保田の先輩として、元上司として、この件は何とかしてやりたい。
朝8時に望月先生の家のインターンを押すと奥様が出た。
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「どう違うんですか?」
話に食いついてくれた。久保田の気持ちを伝えよう。
「久保田は優しく接して下さった奥様に一目惚れしたそうです。それで奥様の事を独身だと思ってしまい、言い寄ってしまったそうです。実は久保田は今、苦境に立たされておりまして。そんな時に出会った奥様が久保田にとっては女神のような存在だったと、涙ながらに久保田が話しておりました。軽薄そうに見えますが、久保田はチャラチャラした男ではございません。真剣な想いだったのです。それに女性には不器用で。奥様が初恋だったのです。どうか久保田を許してやってはくれないでしょうか? もう二度と奥様には近づけませんから」
沈黙が流れる。
どうか、久保田を許して欲しい。祈るような気持ちでいると、「わかりました。許します」という奥様の声がした。
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