俺のスキル、説明すると大体笑われるが、そんな他人からの評価なんてどうでもいいわ

ささみやき

文字の大きさ
5 / 6

第5話 ヒロインにも笑われました。  どうすればいいのでしょうか?

しおりを挟む
どうもどうも、初めまして皆さん。

股間が光るだけの怪しい男こと、俺です。



いや~……本日も実にいい天気ですね。

空は青いし、風は気持ちいいし……ええ、本当ね……とても……。



……で、俺は何してんの?



異世界に転生したからには「無双してハーレム! ざまぁ! 英雄ルート!」

そんな夢をほんのり期待してたわけですよ。

なのに現実はどうだ。



スキル:股間がちょっと光る(以上)



いや待て、ふざけてんのか。

これイジメだよな? 絶対俺に対するイジメだよな!?



スキル選択がランダムだったのは俺のせいだとしてもだ。

それでももうちょっとあるだろ、こう……

火を出すとか、剣がうまくなるとか、時空を操るとか……!



なんでよりにもよって“股間ピカッ”なんだよ!!



頼むから誰か説明してくれ。

俺はどこで人生間違えた?

なんやかんやで、詰所から解放されることになった俺は村の通りを歩いていた。監視付きで。

で、その俺を見る村人たちの視線がまあキツい。



「見ろよ……あれが例の……」

「本当に光るのかしら……」

「いやだぁ、子どもたち、あっち見ちゃいけません!」



おい待て。俺は何もしてないぞ。

と、そこへ。



「おい、お前。**“ピカ股さん”**だろ?」



……は?



「え、あ、いや、違——」

「間違いないって! さっき兵士さんが言ってたもん。“股間が光る変な奴が来た”って!」



やめろ、兵士。お前らマジか。



次の瞬間、別の村人が俺を指差して叫ぶ。



「うわっ、本物だ! **“股光またひかりの男”**だ!!」

「すげぇ……本当に存在したんだ……!」

「うちの村に伝説級の変態が生まれるとは……!」



いや誰が伝説だ。誰が変態だ。



「ちょ、お前ら落ち着け! 俺は別に——」

「しゃべったぞ! 股ピカ語を理解するぞ!」

「やっぱり妖精族の使いなのでは……?」



もうダメだ。この村、全員敵だ。てか、股ピカ語ってなんだよ!



俺は両手を空に上げて叫んだ。



「頼むから普通に見てくれぇぇぇぇぇぇ!!」



だが村人たちは口々に新しいあだ名を生み出し始めた。



「“光る下半身の新星”はどうだ?」

「それ長いよ。“下光げっこう”でいいだろ」

「いや、“股照またてる様”のほうが神秘的だって!」



どこが神秘なんだよ!

俺の尊厳が絶滅危惧種なんだが!?



こうして俺は、異世界に降り立って早々、

世界最速で妙なあだ名が量産される男になってしまった。

俺は、この場所からなんとか逃げたいと感じていたが、村人たちがそれを邪魔をする。

何なん。マジで、これ。何なん。何この状況!?

なんでこんなことになった。俺もう村の笑い者じゃん。

俺が村人たちに包囲され、抜け出せない状況が数秒続いた。もちろん、この間も俺の新しいあだ名は大量生産され続けていた。

そんなときだった。



不意に、腕をぐいっと誰かに引っ張られた。



「えっ、ちょっ――!?」



気づけば包囲の外。

俺はそのまま勢いよく細い路地へと連れ込まれた。



そして、俺を引っ張った“誰か”――

小柄な少女がくるりと振り返り、囁く。



「こっちだよ。早く」



その瞬間、俺は悟った。



……ああ、神様よ。

やっぱり俺を見捨てていなかったんですね。

この感じ。このパターン。間違いない。異世界ものにはなくてはならないもの。

そう、それは“ヒロイン”だ!

路地に飛び込んだ直後。

鼓動がバクバク鳴る俺をよそに、少女は壁に背をあずけながら小声で言った。



「ふぅ……なんとか逃げられたね」 



NICE!!と叫びたいのを我慢して、カッコつけた声で言う。第一印象が大事だ。



「ま、マジで助かった……! 本当にありがとう……!

 あのまま包囲されてたら俺、村の観光名所として展示されてたかもしれない……!」



少女はくすっと笑い、栗色の髪を揺らした。



「うん、可能性あるね。さっきの人たち、ちょっとテンション上がってたし」



いや、冗談じゃねぇよ。それにしても、ああ、神様ありがとうがざいます。

俺が肩で息をしていると、少女はじっとこちらを見た。



「ねぇ、あなた。さっきの……その、股間のライト……」

「言い方ぁ!!?」



少女は慌てて両手を振る。



「あ、違うの! 別に変態とか思ってないから! ただ……その……どういう仕組み?」



その言い方は、変態だと思ってる奴の言い方だ。第一印象終わったか?

それにどういう仕組みか説明できたら苦労してねぇ。

俺は深いため息をつきながら答える。



「……スキルなんだよ。俺の固有スキル」



少女はぴたりと固まった。



「……固有スキル……?」



「そう。名前は――《股間だけが少し光る》」



「名前そのままじゃん!!?」



路地裏に少女の突っ込みが響く。

俺は肩をすくめて見せる。



「俺だって嫌だよ……! これでどうやって生きていけと……!」

少女は「信じられない」という顔のまま固まっていたが――



次の瞬間。



「ぷっ……」



小さく吹き出した。



「え、ちょ……?」



「ふ、ふふっ……股間だけ!? 少し!? なんでそこだけピンポイントなの!? やば……っ、ちょ、無理……!」



少女は腹を抱えて笑い始めた。



「いや、そんな……笑うところ……?」

「だ、だって! 光るって……! 戦闘でどう使うの!? 威嚇!? 照明!? いや照明でも中途半端!! あはははは!!」



笑いすぎて膝まで折れてる。

俺のスキル、少女の腹筋を破壊してどうする。



「そ、そんな面白い!? 俺は死活問題なんだけど!?」

「だ、だって真剣な顔で《股間だけ光る》とか言うから……!

 ギャップでやられた……ひー……お腹痛い……!」



少女は涙を拭きながら、ようやく呼吸を整えた。



「……はぁ……でも……ごめんね。笑っちゃったけど……

 あなたが悪いわけじゃないし、スキルが変でも……私はちゃんと助けるから!」



その笑顔は、さっきの爆笑から一転して優しかった。



……いや、あれは笑っていいところじゃなかった気もするが。

まぁ救われたから良しとするか。



俺のスキルの存在価値はともかくとして。



「私はライラ。冒険者ギルドの見習い。

 あなたの……とりあえず味方でいてあげる!」



あぁ……まぶしい。

股間じゃなくて心が光ったわ。



「俺は山田悠斗。ほんと、助かったよライラ!」



「よし、じゃあギルド行こっか! ここにいたらまた捕まるよ?」



こうして俺は、異世界初日にして――

股間ライトのせいで追われ、見知らぬ少女に助けられるというヒロインイベント

を全力で踏み抜いたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ“使えないスキル”を大量に入手できる世界

小林一咲
ファンタジー
戦う気なし。出世欲なし。 あるのは「まぁいっか」とゴミスキルだけ。 過労死した社畜ゲーマー・晴日 條(はるひ しょう)は、異世界でとんでもないユニークスキルを授かる。 ――使えないスキルしか出ないガチャ。 誰も欲しがらない。 単体では意味不明。 説明文を読んだだけで溜め息が出る。 だが、條は集める。 強くなりたいからじゃない。 ゴミを眺めるのが、ちょっと楽しいから。 逃げ回るうちに勘違いされ、過剰に評価され、なぜか世界は救われていく。 これは―― 「役に立たなかった人生」を否定しない物語。 ゴミスキル万歳。 俺は今日も、何もしない。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います

リヒト
ファンタジー
 不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?   「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」  ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。    何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。  生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。  果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!? 「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」  そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?    自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...