騎士団長の秘密

さねうずる

文字の大きさ
2 / 41

衝撃の告白 その弐(第三者目線)

しおりを挟む


「「「「・・・・」」」


コンコンコンッ

「失礼致します。」
 
「「「ッ!?」」」

驚きのあまり誰も何も発しない空間に、突然ドアをノックする音が響く。
侍従らしき男がドアの隙間から半身を覗かせた。

男は、部屋の中に視線を這わせ、目的の男を見つけると簡潔に用件を述べた。

「シーナ様、言付けを預かっておりますので少しお時間宜しいでしょうか。」

いまだ静かな空間に椅子をひく音が響き、シーナが部屋を出た。

バタンと閉まる音が聞こえた時点でやっと部屋の中の時が動き出す。

「おいっ、さっきのなんだ!?」
「お前、シーナとどんな関係なの??」

「いやいやいやいや、まともに話したこともないすよっ!!」

「じゃあ、なんでお前のこと好きなわけ!?」

「知らないっすよ!!」

特に悪いことをしているわけでもないのに何かを弁解するかのごとく、必死に関係性を否定するポーラールのすぐ横で、その光景をニヤニヤ楽しそうに観察していた白豹獣人の北軍団長 レウ・リオーネが口を開いた。

「で??お前はどうすんの??」

「どうすんのってどうしようもないっすよ。」

「告白されてんだから返事しねーとだろ」

「いやあれ、告白なんすか!?
アロペークス殿に向かって言ってませんでした!?!?」

ねっ??っと同意を求めるがごとくポラールがこちらを見てくる。

「いやぁ、でも聞いちゃったからには....ねぇ?
何かしらのアクションが必要かも...とか考えちゃったり?あはは...」

アロペークスがそう言った瞬間、ポーラールのほうから舌打ちが聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。
彼は気のいい若者だったはずだ。

アロペークスにはシーナに告白まがいなことをさせてしまった責任がある。
好きな人に好きだと知られているのに、無視されるのはシーナが可哀想な気がした。

「お前、試しに付き合えよ。あの堅物無表情男が恋人相手だとどんな感じなのか興味ある。」

自分は今心底楽しんでます。という顔を隠しもせず、リオーネが言葉を発する。


「俺デカい男は対象外なんすけど。抱けないっすよ!!」

ポーラールは言葉を濁すことなくストレートに言い切った。

この国の恋愛に性別が問われることはない。
男同士でも女同士でも基本的に自由恋愛だ。
しかし、浮き名の多いポーラールは、妖艶な体つきのお姉さま好きと専らの噂である。


「お前、妹が超上級貴族に嫁ぐのに持参金用意しなきゃだろ?
1ヶ月付き合ったら特別にボーナスを出してやろう。」

「…………まじっすか?」

ポーラールはごくりと唾を飲み込む。
リオーネは相変わらずの悪人顔でニヤニヤ笑っていた。



ガチャリ



ちょうどその時、シーナが絶妙なタイミングで部屋へと戻ってきた。

部屋にいる一同がシーンと静まり返り、じっとシーナを見てる異常な状況だというのにシーナは気付いていない。
自席の資料をまとめると荷物を片付けていく。

「よぉ、アルクがお前に話があるってよ」

リオーネは言え言えと促すようにポラール殿の腕を肘でガンガンと小突いた。


「その前に俺からいいだろうか。」

意外にも、話し始めたのはシーナだ。


「ポーラール殿、1ヶ月間だけでいいので俺と交際してほしい。」


告白……なんだろうが、いつもと同じ温度の感じられない口調、無表情で告げられるそれは、あれっ?業務連絡かな?と勘違いしそうになるほどである。

「い、いいっすよ。
その代わり、俺、他にも恋人いるんで束縛はなしで。
あと、デカい男は抱けないんでセックスもなしで。
デート費用はそっち持ち。
この条件でもいいなら付き合ってもいいっす。」

「「「・・・・」」」

えー、こんな条件飲む奴いる??
ポーラール、なんて正直すぎる奴なんだ。
と思いつつ、みんなが固唾をのんで見守った。
そんな中、シーナはいつもの無表情でポラールを見つめていた。
というか、いつもよりも眼孔が鋭い気すらする。
星屑が散りばめられた藍色の瞳はポラールをジッと見据えて、何を考えているのか全く思考が読めない。


「...あぁ、それで問題ない。宜しく頼む。」


おぉ、と皆が小さくどよめくなかシーナは、
「さっそくだが、明日の夜空けといてくれ。」と言い、部屋を後にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われ将軍(おっさん)ですがなぜか年下の美形騎士が離してくれない

天岸 あおい
BL
第12回BL大賞・奨励賞を受賞しました(旧タイトル『嫌われ将軍、実は傾国の愛されおっさんでした』)。そして12月に新タイトルで書籍が発売されます。 「ガイ・デオタード将軍、そなたに邪竜討伐の任を与える。我が命を果たすまで、この国に戻ることは許さぬ」 ――新王から事実上の追放を受けたガイ。 副官を始め、部下たちも冷ややかな態度。 ずっと感じていたが、自分は嫌われていたのだと悟りながらガイは王命を受け、邪竜討伐の旅に出る。 その際、一人の若き青年エリクがガイのお供を申し出る。 兵を辞めてまで英雄を手伝いたいというエリクに野心があるように感じつつ、ガイはエリクを連れて旅立つ。 エリクの野心も、新王の冷遇も、部下たちの冷ややかさも、すべてはガイへの愛だと知らずに―― 筋肉おっさん受け好きに捧げる、実は愛されおっさん冒険譚。 ※12/1ごろから書籍化記念の番外編を連載予定。二人と一匹のハイテンションラブな後日談です。

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

完結·囚われた騎士隊長と訳あり部下の執愛と復讐の物語

BL
「月が綺麗ですね。あぁ、失礼。オレが目を潰したから見えませんね」  から始まる、国に利用され続ける隊長を自分のものだけにしようとした男の欲望と復讐の話  という不穏なあらすじですが最後はハッピーエンドの、隊長×部下の年下敬語攻めBL  ※完結まで予約投稿済・☆は濡れ場描写あり  ※Nolaノベル・ムーンライトノベルにも投稿中

処理中です...