騎士団長の秘密

さねうずる

文字の大きさ
12 / 41

交際20日目 雷雨に注意です

しおりを挟む

3日間の夜勤も終わり、次の日は日勤だった。
夕方に仕事を終わらせ、帰宅しようと席を立つ。

ここ最近は早く仕事が終わってもまっすぐ家に帰ることが多い。
前までだったら空いている恋人を捕まえて、ホテルや相手の家に直行していたというのに……
いつから自分はこんなに丸くなってしまったのか。

荷物をまとめ、部屋を出たところでシーナがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

「今帰りか?」

「そうっすよ。

あっ、弁当ありがとうございました。
一昨日のもめちゃくちゃ旨かったっす。
これ弁当箱。」

「あぁ。」

シーナは弁当箱を取りに来ただけのようで、受け取るとすぐ来た道を帰ろうとする。

「あのっ、シーナ団長ももう上がりっすか?」

「あぁ。」

「じゃあ、一緒に帰らないっすか。
シーナ団長の家どっちっすか?」

そう言うと、有無を言わさず出口まで向かった。
過去2回、紳士なシーナは自分よりデカいポーラールを律儀に家まで送っていった。

ならば今回は自分が。とポーラールはシーナの家まで着いていくつもりだ。

シーナは否定も肯定もせぬうちにポーラールに誘われ、帰宅の途につく。


雲が厚く、夕暮れにしては暗い空模様だった。
道中、ポーラールはポツポツととりとめのない質問をシーナに投げ掛けながら、二人でゆっくり道を歩く。

10分ほど歩くと、"ぽつり"と頬に何かがあたった。

頬を手で拭うと、どうやら水滴のようだ。

ポツ、ポツ、と雨が振り出したと思ったら、すぐにザーザーと音が変わり、瞬時に地面の色が様変わりするほど大量の雨が体に叩きつけてくる。

「あと少しで家に着く。走るぞ。」

シーナはポーラールの手首を掴み、視界の悪い雨のなか、細い道を右に左にと何度か曲がりながら走る。

3分ほど走っただろうか。
こじんまりした一軒家に着くと、胸ポケットから鍵を取り出し、扉を開けた。

二人ともびしょびしょの濡れ鼠状態である。

「タオルを取ってくる」

シーナは髪をかき上げ、適当に服の水気を玄関で絞ると、どこかの扉に消え、大判のタオルを二枚抱えて戻ってきた。

シーナに礼を言い、タオルを受け取るとガシガシ頭を拭いていく。

ポーラールが頭を拭いていると、シーナのいるほうから強い視線を感じた。
あんまり熱心に見つめられるとさすがに気まずい。

「どうしたんすか?」


「......いや」

声を掛けると、フイっと視線が逸らされた。
そして、シーナが再び先程の扉の奥に消えていくのを見て、ポーラールはほっと息を吐く。


「風呂を沸かしている。入ってくれ。」

「いやいやいや、シーナ団長先に入ってください。」

シーナの家は玄関で靴を脱ぐ方式らしく、ポーラールもそれに習って靴を脱いだ。
靴下もグショグショだったため、上がる前に、水滴が垂れない程度に軽く絞る。

その間も何度か、風呂にどちらが先に入るかで押し問答が続いた。

しかし、ポーラールが断固先に入る気がないと分かると、適当に寛ぐよう言い残しシーナは足早に風呂場に向かった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われ将軍(おっさん)ですがなぜか年下の美形騎士が離してくれない

天岸 あおい
BL
第12回BL大賞・奨励賞を受賞しました(旧タイトル『嫌われ将軍、実は傾国の愛されおっさんでした』)。そして12月に新タイトルで書籍が発売されます。 「ガイ・デオタード将軍、そなたに邪竜討伐の任を与える。我が命を果たすまで、この国に戻ることは許さぬ」 ――新王から事実上の追放を受けたガイ。 副官を始め、部下たちも冷ややかな態度。 ずっと感じていたが、自分は嫌われていたのだと悟りながらガイは王命を受け、邪竜討伐の旅に出る。 その際、一人の若き青年エリクがガイのお供を申し出る。 兵を辞めてまで英雄を手伝いたいというエリクに野心があるように感じつつ、ガイはエリクを連れて旅立つ。 エリクの野心も、新王の冷遇も、部下たちの冷ややかさも、すべてはガイへの愛だと知らずに―― 筋肉おっさん受け好きに捧げる、実は愛されおっさん冒険譚。 ※12/1ごろから書籍化記念の番外編を連載予定。二人と一匹のハイテンションラブな後日談です。

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

完結·囚われた騎士隊長と訳あり部下の執愛と復讐の物語

BL
「月が綺麗ですね。あぁ、失礼。オレが目を潰したから見えませんね」  から始まる、国に利用され続ける隊長を自分のものだけにしようとした男の欲望と復讐の話  という不穏なあらすじですが最後はハッピーエンドの、隊長×部下の年下敬語攻めBL  ※完結まで予約投稿済・☆は濡れ場描写あり  ※Nolaノベル・ムーンライトノベルにも投稿中

処理中です...