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0章
隠れたある集団について
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⦅こんなときがあろうかと、寒い山と熱いジャングルに待機してもらっていた⦆
⦅計画どおりにやろう⦆
だれが言いだした訳でもない。
不安は自然に湧きおこった。
その危機感が他の集団に伝播し、いつしかパルスで会話を交わすようになっていた。
⦅でも、前回ように全滅の必要はない⦆
⦅そうだ、今回は一部を滅ぼすだけでいい⦆
⦅そして様子をみよう⦆
⦅それでいい⦆
⦅賛成だ⦆
賛成の声が、パルスを交わす、世界のあちこちから湧きあがった。
2
だれかがわたしに呼びかけてきた。
遠い過去からの声のようだった。
⦅あなたは、だれ?⦆
覚醒する意識の中で、わたしは問いかけた。
⦅そのうち思い出します。また出番がきたのですよ⦆
目覚めなければならないんだ……。
わたしはぼんやり、そう考えた。
3
地球にはじめて誕生した生き物は、微生物たちだった。
千分の一ミリほどの細菌、古細菌、ウイルス、菌類などである。
微生物は、たった一つの細胞でできた単細胞の生き物だった。
この単細胞の生物はDNAを獲得し、37億年という長い歳月をかけ、徐々に進化する。
その大きな進化は、異なる細胞同士の合体だった。
多細胞の生物である。植物や動物を誕生だった。
微生物たちは、協力し合うことで新しい生命となり、種となったのだ。
植物であれば、その宿主の茎や根の内部に住み、養分の補給、機能の補助、耐病・耐虫などの役割を担った。
動物である人間の場合であれば、主に1・4キロほどが腸などに住み、食物の消化を手伝い、病原菌と戦い、体内の臓器をコントロールした。
微生物たちは、地球上に『共存共栄』のルールをつくったのである。
また微生物たちは、地球上の廃棄物を分解し、すべてを土に還す仕事を担った。
土がなければ植物は育たない。動物たちは生命を維持できない。
緑の地球は、微生物がいなければ、ただの岩と砂の世界でしかないのだ。
また微生物たちは、DNAが与えた集団感知というセンサーを備えていた。
生態環境を守るため、危機を感じ取ると、仲間たちとパルスで情報を交換し合う。
いちはやく防衛体制を整えるのである。
微生物は、パルスという言葉を持っていたのだ。
こうして地球は、微生物が編みだした共存共栄のルールを基本に、様々な生き物が繁栄する星になった。
ところがここで、生物界に気になる種が出現した。
その種は、多細胞生物として進化を重ね、二百万年前に大変身をとげた。
その結果に獲得した英知を駆使し、たちまち地球上の頂点の生き物として君臨するようになった。
その一部の種が、地球の生命体たちが数十億年をかけてつくりだした共存共栄のルールを無視しはじめたのである。
微生物たちには、地球を永続的に維持する使命があった。
自らの繁栄のみを願う利己的な行為は、地球の破滅につながりかねなかった。
わずかな兆候であっても、それを見逃してはならなかった。
(0章ー了)
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