21 / 55
じいちゃんばあちゃん達はみんな一斉にギックリ腰になったことになった。
しおりを挟むまたまた視点変更。
――――――――
よう……おれ、カイト。教会に保護されている孤児のうちの一人。多分、十歳くらい?
教会の中にある孤児院に住んでいるんだけど……一か月とちょっと前から、様子がおかしいんだ。なんか、空気も色々おかしいし。
いつも、孤児院にいるガキ共にお菓子を配っているシサイ様? のじいちゃんがいるんだけどさ。おれがここに来るずっと前から一週間に一度は必ずたくさんお菓子を持って来てくれて、ガキ共一人一人の顔を見て、名前を呼んで、お菓子をくれてるってとっても優しいじいちゃんなんだけど・・・
そのじいちゃんが、来なくなった。
それだけじゃねぇ。
教会のあちこちにいた、じいちゃんばあちゃん達の姿が見えない。
孤児院の管理をしてたばっちゃんも、朝早くから薪割りをして、その薪を分けてくれたゴツいじっちゃんも、きゅーごしつにいた居眠りばかりのじいちゃんも……みんなみんな、ここ一月の間、姿を見てねぇ。
他のガキ共や別の孤児院の連中にも聞いてみたけど、じいちゃんばあちゃん達のこと、見掛けた奴が誰もいない。
これっておかしいだろ? ぜったい変だ。
きゅーごしつにいた居眠りばっかのじいちゃんは、毎日すっげー朝早くに薬草園とか畑にいて、薬草の世話したり採取をしたりしてるって話だけど。つか、朝めっちゃ早いからきゅーごしつでずっと寝てんじゃね? って思うんだけどさ。
そのじいちゃんも、全然姿を見掛けなくて……別の、見たことないオッサンとかよく知らないシスターとかが、まごまごと薬草や畑の世話をしてるらしい。
一体どういうことなのか……それを考えるのが、なんだか怖い。
教会の上の指示で、シサイ様やシスター達は別の地域だったり、他の国に移動させられることもあって。前に、せーじょ見習いだったシスターのねーちゃんとか、いきなり別の国に行かされて、シスターのねーちゃんといきなり会えなくなったガキ共が泣き喚いてよーやく、えらいオッサンがシスターのねーちゃんが外国に行ったことを教えてくれたことがあった。
だから・・・ここ最近、ずっと見ないじいちゃんやばあちゃん達もきっと田舎とか外国に行ったんだ。元気でいてくれれば――――って、思うようにしていた。
けど、口の悪いガキが言い出した。
「ジジイもババアも、みんな死んだんだよ」
って、すっごく怒った顔して。じいちゃんばあちゃんの姿が見えなくなって、不安に思っていたガキ共はそれでギャン泣き。
「じいちゃん達もばあちゃん達も死んでないっ!? そんなウソつくなっ!?」
じいちゃんばあちゃんが好きな、それで元気のいい連中は口の悪いガキ共と大喧嘩。
「ならっ、どうしてジジイもババアもこっちに来ないんだよっ!? 死んだんじゃないなら……俺らのこと嫌いになったから来ないってことになるだろうがっ!?」
と、とうとう口の悪いガキ共も泣き出した。
じいちゃんばあちゃんが、死んだ……ってことにした方が、ソイツらにはよかった。
だって、おれら孤児は実の親に捨てられたり、親が死んでどうしようもなくて孤児院に来ている奴が多い。
親戚に引き取られたって、その親戚がいい奴だとは限らない。
親戚にすっげー意地悪されて、嫌われて、「お前なんか生まれなければよかったのに。このゴクツブシが!」とか酷いこと言われて、殴られたり、飯抜きにされて、死に掛けて、殺されるくらいならって家出して。道端でくたばりそうになったり、道でかっぱらいやスリをして捕まって孤児院に放り込まれたりした奴もいる。
そういう奴は口や態度が悪かったりして、あんまり他人を信じない。けどでも、自分の名前を呼んでくれて、お菓子を手渡しして、頭を撫でてくれるロマじいちゃんのことはきっと、大好きだったんだ。
ロマじいちゃんは、「触んなっ!?」って手を払われても、「クソジジイ」って言われても、「ほっほっほ、元気な子じゃのぅ」って、笑って許してくれた。
毎度毎度、変わらずににこにこと接してくれた。孤児だからって、犯罪をしてくらしてたガキだからって、他の大人みたいに最初から警戒して差別しなかったし。
じいちゃんの作ったお菓子は、おいしくて。なんかこう、胸があったかくなる感じがする。
だから、そんなロマじいちゃんに嫌われたって思うより、じいちゃんは死んだからおれらのところに来れないって、思いたかったんだと思う。その方が悲しくないし、寂しくない。自分の心が・・・痛くないから。
そんな風に大喧嘩して、取っ組み合いにまで発展して。みんなで大人に怒られて、孤児院の中のふんいきはかつてないほど最悪だ。
大人達にじいちゃんばあちゃんのことを聞いても、教えてくれない。
そんな中、誰かがじいちゃんばあちゃん達は病気になったんじゃないか? って言い出した。
そして、『じいちゃんばあちゃんが死んだ派』と、『じいちゃんばあちゃんには事情があって来れない派』が、ちょっぴり和解した。
まあ、じいちゃんばあちゃんがどんな病気になったのか? ってことでも、また喧嘩になったけど。でも、死んだって言い出したときの大喧嘩よりはマシだ。
それで、じいちゃんばあちゃん達はみんな一斉にギックリ腰になったことになった。あんまり酷い病気だと、本当に死ぬかもしれないって、チビ達がまたギャン泣きしたからだ。
なんか、ギックリ腰って腰がすっげー痛くて、動けなくなるらしい。大人の中でも、特に年寄りがギックリ腰になると歩けなくなったりして、ものすっげー大変なんだって。
だから、じいちゃんばあちゃん達は、動けなくなるくらいのギックリ腰。それで決定。口の悪いガキ共と、死んだって言うのは無しという取り決めをした。
そんな風に、不安だったりイライラしたり、心細く過ごして――――
ある日、ひょっこりとじいちゃんが孤児院にやって来たっ!!
――――――――
ロマ爺や他のじじばば達が顔を出せないでいる間の孤児院の子達の不安げな様子。(*´ー`*)
180
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
『これも「ざまぁ」というのかな?』完結 - どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他
こうやさい
ファンタジー
短い話を投稿するのが推奨されないということで、既存のものに足して投稿することにしました。
タイトルの固定部分は『どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他』となります。
タイトルやあらすじのみ更新されている場合がありますが、本文は近いうちに予約投稿されるはずです。
逆にタイトルの変更等が遅れる場合もあります。
こちらは現状
・追放要素っぽいものは一応あり
・当人は満喫している
類いのシロモノを主に足していくつもりの短編集ですが次があるかは謎です。
各話タイトル横の[]内は投稿時に共通でない本来はタグに入れるのものや簡単な補足となります。主観ですし、必ず付けるとは限りません。些細な事に付いているかと思えば大きなことを付け忘れたりもします。どちらかといえば注意するため要素です。期待していると肩透かしを食う可能性が高いです。
あらすじやもう少し細かい注意書き等は公開30分後から『ぐだぐだ。(他称)』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/878859379)で投稿されている可能性があります。よろしければどうぞ。
URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/750518948
醜悪令息レオンの婚約
オータム
ファンタジー
醜悪な外見ゆえに誰からも恐れられ、避けられてきたレオン。
ある日、彼は自分が前世で遊んでいたシミュレーションRPGの世界に転生しており、
しかも“破滅が確定している悪役令嬢の弟”として生きていることに気付く。
このままでは、姉が理不尽な運命に呑まれてしまう。
怪しまれ、言葉を信じてもらえなくとも、レオンはただ一人、未来を変えるために立ち上がる――。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも投稿しています。
「ざまぁしないで下さい」とヒロインが土下座してきた
こうやさい
ファンタジー
学園の特待生がいきなり土下座してきてそう叫んたとき、どう対処するのが貴族として正しいのでしょう?
さっさと婚約破棄されるべきなのかしら?
タグとタイトルである意味完結してる話(爆)。悪役令嬢は悪役にはなってませんが貴族として教育を受けているのであまり影響は見えないという設定。
うーん、ここはヒロインは利用されてるだけで、利用しているヤツが転生者がパターンかな? ……面白そう(おい)。
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた
七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。
真剣に考えたら負けです。
ノリと勢いで読んでください。
独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。
なろう様でもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる