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現在逃亡中っ☆
しおりを挟むノインを連れてそのまま組織を後にした。
さて、とりあえずの問題としては・・・ノインの自我があるか? なワケだ。そして、自我があったとして、彼女はわたしに付いて来てくれるか? と言ったところ。
まぁ、彼女がわたしと行動を共にしたくないというのなら、別れることも吝かではない。ただ、その場合は物語の強制力……的なモノが、どの程度仕事をするかが心配ではあるけど。
ひとまず、安全な場所までノインを運び――――
「ノイン。起きて」
気付け薬を嗅がせ、ノインを起こす。
「……ぅ、ぁ……」
ぼんやりとした瞳が、ゆっくりと焦点を結ぶ。
「? ……ぇー、ン?」
「ああ。わたしだ。身体に違和感は? どこか痛む?」
あのとき、受け身も取らないで倒れていたし。怪我とかしてないといいんだけど。とは思いつつ、回復魔術は掛けていない。あのヤバい薬がちゃんと解毒できているかわからないし。そして、彼女がわたしに敵対しないとも限らないから。
「? ・・・っ!? ツェーンこそ無事なのっ!? あの薬飲んだよねっ!?」
パッと身を起こし、ガっ! とわたしの顔を両手で掴むノイン。ああ、『わたし』のことを心配してくれるんだ。
「うん。わたしは大丈夫」
でも・・・ごめんね? ノインとずっと一緒に過ごして来た、元の『わたし』は、もういないんだ。
「よ、かったぁ……」
泣きそうに歪むノインの顔。
「って、ここどこ?」
「ぁ~……まぁ、なんというか……」
「なに? どうしたの? 言い難いこと?」
「ボスとナンバー2の人に毒盛って逃亡中、的な?」
「・・・え?」
ぽかんとした顔が、
「はああああぁぁっ!? なにしてんのアンタはっ!?」
驚愕に染まり、襟首を掴まれてガクガクと揺さぶられる。
「いや~? ほら? 変な薬盛られて……つか、自分で飲んだんだけど。それで心神喪失状態って言うの? になって。多分わたし、相当錯乱してたんだろうね~? 気付いたら、その場にいたボスとナンバー2に解毒不可能な毒を食らわせててさ。めっちゃヤバいから、正気に戻ったとき横で倒れてた君を連れて、思わず逃げようとして……その前に、ボスとナンバー2が仲間割れ起こしたように裏工作してから、現在逃亡中っ☆」
「なにしてくれてんのアンタは~~~っ!?」
「あはははははっ、一蓮托生ってやつ? ひとまず、協力して一緒に逃げようねー?」
なんてやり取りをして・・・
「ハァハァっ……」
息を切らせたノインが静かになり、スッと半眼でわたしを見詰め――――
「アンタ、なんかキャラ変わってない?」
少々ギクリとするような鋭い質問が飛んで来た。
「ま、アレじゃない? あの薬、精神をぶっ壊す系の薬だったみたいでさ。それでちょ~っと、後遺症的な感じで軽~くアタマ飛んじゃってるみたいな? というワケで、『わたし』だけじゃなくて、同じ薬を飲んだ君の方も、なんか後遺症あったりするかもね~? 一応、解毒剤は使ったけどさ。自覚ある?」
ノインを注意深く観察しながら、へらへらと答える。
「……解毒剤を、自分に使わないで……わたしに使ったってこと?」
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