【完結】裏切りの暗殺者(当て馬兼最難関隠しキャラ)は、死にたくないしヒロインに忠誠も誓いたくない

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
11 / 14

ほんの些細な……世界への抵抗というやつだ。

しおりを挟む


「……解毒剤を、自分に使わないで……わたしに使ったってこと?」

 またもや泣きそうな顔での質問。

「いやいや、一応自分でも使ったよ?」

 解毒魔術を、というのは黙っておく。

「ただ、毒に耐性を持つとどうしても薬は効き難くなっちゃうからね。そんな感じなんじゃない? 体質にもよるし。あ、ちなみにわたし・・・。性格的なアレだけじゃなくて記憶もところどころ欠損ありで、君に迷惑とか掛けちゃうかも。そのつもりでよろしく~」
「アンタはっ!? なんでそんな重要なことを先に言わないのよっ!? こんのっ、馬鹿ツェーンっ!?」
「あははははははっ……」
「全っ然笑い事じゃないでしょーがっ!!」
「ごめんごめん」

 と、謝ったのに、なぜか余計にブチ切れたノインに懇々こんこんとお説教を食らった。

 まぁ、彼女も以前よりは感情の起伏が激しくなっているような気がするけど・・・元気そうでなによりだねっ☆

 解毒の魔術がちゃんと効いて、間に合って……ノインが、ゲーム内の『暗殺者』のように感情を失くして、命令に忠実な傀儡状態なんかにならなくて、本当によかった。

「・・・それで、これからどうするつもり?」
「これから、か・・・」
「アンタ、まさかノープランとか言わないでしょうね?」
「いや~、ほら? 孤児の未成年で、真っ当に・・・・稼ぐ手段なんて限られて来るでしょ」
「・・・そう、ね」

 どんよりと顔を曇らせるノイン。なにを考えてるんだか? 全く……

「というワケで、ギルドに登録して冒険者にでもなろうかと」
「え?」
「折角、組織抜けて逃げてんだからさ。わざわざまた裏家業することもないでしょ。幸い……と言っていいのかはわからないけど、わたしと君はそこそこ身体能力が高い。なら、チャレンジしてみるのもいいんじゃない? って思ったけど、わたし・・・と組むのは嫌かな?」
「っ……そんなワケ、ないじゃない」
「それじゃ、名前。新しく決めない?」
「え?」
九番ノイン十番ツェーンって、番号なんかじゃない名前をさ。あ、元々の名前があるなら、君はそれ使ってもいいよ?」
「そ、それじゃあ・・・カナリア、なんかどうかな? 可愛いと、思わない?」
「・・・」

 ふむ、ここでそう来るとは思わなくて驚いた。

「えっと、カナリアって変な名前だったり……する?」

 わたしの沈黙に、彼女の眼差しが不安げに揺れる。

「ううん。『カナリア』、ね……悪くはないと思うよ? でも、そうだね。カナリヤ・・・・、にしてみない?」
「? なんで、ヤなの? 大して違わなくない?」
「ん~……ほら? 名前、『カナリア』の愛称呼びでリーアよりもカナリヤ・・・・のリーヤの方がわたし・・・が言い易いなぁって思って」

 まぁ、ノインが『カナリア』という名前を自分に付けたいというのであれば、それはもしかするとシナリオの強制力なのかもしれない。わたし・・・が『カナリヤ』の愛称の『リーヤ』を推すのは、ほんの些細な……世界への抵抗というやつだ。ゲーム内では、カナリア嬢が愛称で呼ばれることは無かったし。

「愛称……で、わたしのこと呼んでくれるの?」
「勿論」
「じゃ、じゃあカナリヤにする! アンタは?」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

みんなが蔑ろにしたせいでアレクシアは壊れてしまいました!!!「お前のせいです。あーあ( ・᷄д・᷅ )」

頭フェアリータイプ
ファンタジー
物語は大きくふたつに分けることが出来る。 正確に小説内の事実に基づいて描かれた例えば推理小説のような物語と、 信用出来ない語り手による物語に。 これは、信用出来ない一人の語り手による再生の物語 学生時代、貧乏くじを引き続けてきたアレクシア。とある出来事をきっかけに精神の均衡を壊し心がばらばらになってしまう。アレクシアは自分らしさを取り戻せるのか? 想定外の展開になってしまったため改題しました。 小説は生き物! (旧題: 婚約破棄されて勘当されました。父母を見限って、出生の秘密があったことにします。)

旅の道連れ、さようなら【短編】

キョウキョウ
ファンタジー
突然、パーティーからの除名処分を言い渡された。しかし俺には、その言葉がよく理解できなかった。 いつの間に、俺はパーティーの一員に加えられていたのか。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。

問い・その極悪令嬢は本当に有罪だったのか。

風和ふわ
ファンタジー
三日前、とある女子生徒が通称「極悪令嬢」のアース・クリスタに毒殺されようとした。 噂によると、極悪令嬢アースはその女生徒の美貌と才能を妬んで毒殺を企んだらしい。 そこで、極悪令嬢を退学させるか否か、生徒会で決定することになった。 生徒会のほぼ全員が極悪令嬢の有罪を疑わなかった。しかし── 「ちょっといいかな。これらの証拠にはどれも矛盾があるように見えるんだけど」 一人だけ。生徒会長のウラヌスだけが、そう主張した。 そこで生徒会は改めて証拠を見直し、今回の毒殺事件についてウラヌスを中心として話し合っていく──。

完結 幽閉された王女

音爽(ネソウ)
ファンタジー
愛らしく育った王女には秘密があった。

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

氷の薔薇は砕け散る

ファンタジー
『氷の薔薇』と呼ばれる公爵令嬢シルビア・メイソン。 彼女の人生は順風満帆といえた。 しかしルキシュ王立学園最終年最終学期に王宮に呼び出され……。 ※小説になろう、カクヨム、pixivにも同じものを投稿しております。

処理中です...