貴方の事を愛していました

ハルン

文字の大きさ
16 / 18

15

しおりを挟む
マダムクレアの店でデザインと採寸を終わらせたミレーナは、フラフラになりながら屋敷へと戻って来た。そして、部屋に入るなりベッドに勢い良く倒れ込む。

「つ、疲れた…」

丸裸にされて隅から隅までサイズを測られるのは、年頃の女性として精神的にダメージが大きい。しかし、このお陰でその人に合った素晴らしい服が出来上がるのだから耐えるしかない。

「このまま寝たいけど、招待状の返事を書かないと…」

なんとか睡魔に打ち勝ち、机の前に座る。
机の上には、幾つもの茶会への招待状が置いてあった。

「これとこれは、不参加で。あっ、この方のお茶会へは参加っと…」

相手の家の情勢や、我が家の繋がりなどを考慮しながら次々と手紙を捌く。そうして最後の一枚になった時、今まで淀みなく動いていたミレーナの手が止まった。

(どうしよう…)

送り主は、サンドラ・ディモルー。
ミレーナと同じ伯爵家の令嬢で、かつての学園での同級生だ。

「一体、何を考えているの?」

そうミレーナが思うのは無理も無い。
何故なら、サンドラはミレーナを嫌っていたからだ。元々、我儘で自分が一番出ないと気のすまないサンドラは、同じ伯爵家でありながら自分よりも成績の良いミレーナを毛嫌いしていた。そこに自身が持っていない容姿の整った年上の優しい婚約者。サンドラの嫉妬はますます燃え上がり、学園では何かと絡まれたものだ。卒業してからは、一度も顔を合わせていない。

そんなサンドラからの、突然のお茶会への招待状。

絶対に何かあると確信した。
本来なら断りたいが、同じ伯爵家の令嬢でも相手の方が家格は少し上だ。そんな格上の相手からのお茶会への招待を断る事は失礼にあたる。

「断れなくは無いけど、断ったら色々と面倒よね」

こういう時、貴族は面倒だと感じてしまう。
溜息を吐いて、嫌々ながらも参加の返事を書く。

(多分、カレン様も同じ伯爵家だから招待されている筈。お茶会では、またご一緒させてもらおう)

サンドラは、自身よりも格上のカレンの事も嫌っていた為、カレンと一緒だと絡んで来ないのだ。

「だからと言って、絶対に何かして来るわよね…」

無事にお茶会が終わる事を祈るが、それはサンドラの性格的に絶対にあり得ないだろう。

「憂鬱だわ…」

ミレーナの口から、今日一番の重い溜息が溢れるのだった。





しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~

志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。 政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。 社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。 ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。 ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。 一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。 リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。 ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。 そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。 王家までも巻き込んだその作戦とは……。 他サイトでも掲載中です。 コメントありがとうございます。 タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。 必ず完結させますので、よろしくお願いします。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました

Rohdea
恋愛
誰かが、自分を呼ぶ声で目が覚めた。 必死に“私”を呼んでいたのは見知らぬ男性だった。 ──目を覚まして気付く。 私は誰なの? ここはどこ。 あなたは誰? “私”は馬車に轢かれそうになり頭を打って気絶し、起きたら記憶喪失になっていた。 こうして私……リリアはこれまでの記憶を失くしてしまった。 だけど、なぜか目覚めた時に傍らで私を必死に呼んでいた男性──ロベルトが私の元に毎日のようにやって来る。 彼はただの幼馴染らしいのに、なんで!? そんな彼に私はどんどん惹かれていくのだけど……

【完結】記憶を失くした旦那さま

山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。 目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。 彼は愛しているのはリターナだと言った。 そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。

伯爵令嬢の婚約解消理由

七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。 婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。 そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。 しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。 一体何があったのかというと、それは…… これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。 *本編は8話+番外編を載せる予定です。 *小説家になろうに同時掲載しております。 *なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。

【完結】わたしの大事な従姉妹を泣かしたのですから、覚悟してくださいませ

彩華(あやはな)
恋愛
突然の婚約解消されたセイラ。それも本人の弁解なしで手紙だけという最悪なものだった。 傷心のセイラは伯母のいる帝国に留学することになる。そこで新しい出逢いをするものの・・・再び・・・。 従兄妹である私は彼らに・・・。 私の従姉妹を泣かしたからには覚悟は必要でしょう!? *セイラ視点から始まります。

わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない

鈴宮(すずみや)
恋愛
 孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。  しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。  その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?

私を忘れた貴方と、貴方を忘れた私の顛末

コツメカワウソ
恋愛
ローウェン王国西方騎士団で治癒師として働くソフィアには、魔導騎士の恋人アルフォンスがいる。 平民のソフィアと子爵家三男のアルフォンスは身分差があり、周囲には交際を気に入らない人間もいるが、それでも二人は幸せな生活をしていた。 そんな中、先見の家門魔法により今年が23年ぶりの厄災の年であると告げられる。 厄災に備えて準備を進めるが、そんな中アルフォンスは魔獣の呪いを受けてソフィアの事を忘れ、魔力を奪われてしまう。 アルフォンスの魔力を取り戻すために禁術である魔力回路の治癒を行うが、その代償としてソフィア自身も恋人であるアルフォンスの記憶を奪われてしまった。 お互いを忘れながらも対外的には恋人同士として過ごす事になるが…。 完結まで予約投稿済み 世界観は緩めです。 ご都合主義な所があります。 誤字脱字は随時修正していきます。

処理中です...