【完結】姉を追い出して当主になった悪女ですが、何か?

堀多 ボルダ

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第五章 悪女と結婚

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「今は出入り禁止とは言え、昔は仲良くさせてもらっていたし、突然両親が亡くなって大変だろうからと、うちの両親が手伝いを申し出たんだ。そしたらメアリに断られてね。自分が次期当主だから自分で全部やる、と、妹もいるから大丈夫だからと」
ダリアは目を見開いたが、自分は何もできなかったこと、ただ部屋の隅で膝を抱えていただけだったことを思い出して、黙って目を伏せた。

「あの一件でメアリは変わったよね。心を決めたというか、当主になる決意をしたというか。兄もそれを見てメアリを諦めようとしてたんだ。そしたら君からの提案だよ」
ダリアが顔をあげるとクライドと目があった。

「お姉様を追い出す……」
「そう、それ。結果として君の計画に乗っかって、うちの家族は目的を遂げることができたわけ」
「クライドが婿に来る、というのはそのお礼ということ?」
「違うよ」クライドが苦笑する。
「俺ががんばっていたのは兄のためだけじゃなかったということ」

クライドは真剣な顔でまっすぐにダリアを見た。
「俺が騎士団に入って数年後、運良く武勲をあげた頃にトレッド様に会いに行ったことがあるんだ」
「お父様に?」
「そう、王都のマクレディ伯爵家別邸に来ていたときだから、君は知らないと思うけど。
ノーバック家の人間になんて会いたくもないだろうけど、俺が武勲をあげてちょっと有名になった頃だったからね、今なら会ってくれるんじゃないかと思ってさ。断られることも覚悟していたんだけど会ってくれたよ」

ダリアにとって初耳だ。
「お父様とはどんな話を?」
少しの沈黙の後なんとか絞り出した声は少し震えていた。

「トレッド様は情報収集能力と情勢を読むのがうまいよね。ノーバック家の現状を正確に把握していたよ。兄が必死に仕事をこなしていることも知っていて、まだメアリを諦めていないのかと呆れられたよ。
百戦錬磨の伯爵家当主と腹のさぐりあいをして勝てるわけないんだ。だからはっきり訊いたよ。兄とメアリのことを認めてもらうにはどうしたらいいかって。そしたら、メアリの結婚相手の条件は俺が認める相手かどうかだ。ノーバック家でも関係ない。俺を認めさせてみろ、そしたら考えてやってもいい、と」
「お父様が……」
「いい機会だから、もう一つ聞いたんだ。それはダリアも同じですか、と」
「は?」
「ダリアの結婚相手も、ノーバック関係なくトレッド様が認める相手かどうかですか?と聞いたら、そうだ、と」
「それでは、私はダリア様の相手となるべくがんばりたいと思います、と言ったらトレッド様笑ってたよ」
クライドは愉快そうに笑った。
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