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教会の下宿人
ホテル完成
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あれこれ検討した結果、バイオマス原料のマットレスは今回作らず、延期する事にした。
全てではないけれど、情報を別の研究機関に丸投げして、多いに研究していただこうという話に落ち着く。
この世界、生活魔法で物品の修復が可能なので、コイルタイプのマットレスを作って使用しても、長持ちするだろうと判断したためだ。
あと面倒く・・・げほんごほん。
作りやすい方が良いよねという話になった。
清掃も洗浄魔法で終わるので、ホテルスタッフがこまめにメンテナンスすれば大丈夫だろうとの事。
掃除も洗濯も入浴も全部洗浄で終わらせる事ができるって便利過ぎて、もう戻れない。
マットレスの製造に関しては、颯が目星をつけていた地域で製造してもらう事になり、魔道具による機械化で生産する事が決定。
タオルケットはイヨに工場(こうば)を作って製作中。
試作品を安く購入させてもらったから、私の夏掛けは安泰だ。
突発的なのか予想の範囲内なのか、とにかく備品のための魔動機械を作製する作業は終わった。
出来上がった品を順次ホテルにセッティングするだけだ。
ホテルの隠避結界が解除され、通常の建物用結界として作り直した。
突如として現れた建物は、周辺で話題になっている。
一階に出来るショップは、ホテルで使用しているタオルやバスタオル、タオルケット、デジタル目覚まし時計、T字カミソリといったホテルグッズの販売と、魔動髭剃り、下着類、室内履きとしてのスリッポンやスリッパ、ジッパー付き財布など、今までお世話になったお店の人気商品も取り扱う、地元のアンテナショップっぽいものにもなる。
もちろん海外の品も取り扱うんですって。
企画から開業までの期間の短さに脱帽する。
従業員の皆さんは九月半ばから館内に入って実習していたの。
時々私と遭遇したスタッフは『何でここに子供が?』と疑問の顔をしていたけれど、颯か蓮の妹だと思われていたみたい。
十月になり、学院帰りは連日のようにジョーカイに転移して、換羽期のアヒルの羽毛を譲ってもらう。
もちろん対価の支払いをしています。
個人用の冷暖房魔道具を対価として希望する人がそれなりにいたので、交換しやすかった。
夏場は意識しなくても、風が冷たくなってくると冬の寒さに備えたいそうです。
室内はともかく、屋外での作業をする人にとっては、冷暖房魔道具があるとないとでは大違いだもの。
翌年の春、ジョーカイでは記録的な猛暑になり、その記録は長らく保持されるほどだった。
その際、個人用の冷暖房魔道具を所持していた人は『助かった』と言い合っていたという。
羽毛布団はある程度確保されたので、私たち三人も掛け布団をそれぞれ購入する事ができた。
マットレスはホテルへの納品を優先している為まだだけれど、私の快適な睡眠環境が整いつつある。
下着を含めた衣類、睡眠環境が整ったら、次は食かなぁ?
料理ってそれほど得意じゃないんだよね。
仕事をしているか、家で寝ているかという人だったから。
ちょっとは料理したけれど、叔母のように自分で作った野菜を調理するなんて事もなく、手間なく作る事ができる品に助けられて過ごしていたもの。
この世界ではちょっと真面目に料理しようかなぁ?
換羽期の羽毛を集め終わった後、私はまたキノコ採りのために山に入った。
今回も各所でトリュフを見つけ、インベントリにため込んでいる。
ホテルの調理場で使わないかな?
今回のキノコは一部を甘辛く煮て常備菜として瓶詰めし、颯や蓮に分けた。
ご飯に乗せて食べたら美味しいよね。
きのこの味噌汁とキノコご飯は三人で作って食べて、マサやキヨには去年よりも少ない量をおすそ分けする。
ほら、私が採ったと言えないから、蓮からのお裾分けと言える程度の量なんです。
それでも喜んでくれたらしいよ。
十一月、宿泊業開始に先駆けて飲食店部門が一週間早く開店し、その後、宿泊業が始まった。
ここからは颯の手を離れ、運営にお任せする形になるので報酬を受け取っていた。
宿泊客の評判は上々だという。
スポンサーもご機嫌だそうですよ。
各地の工場(こうば)にしろ、ホテルの従業員にしろ、雇用人数がとんでもない数になっている気がするけれど、携わってくれた人達がいてこそ成り立つし、颯の発案に賛同して経営に乗り出した人も凄いと思う。
ホテルが完成し、営業が始まって報酬も無事に受け取った。
私達魔道具作成組への清算も終わってすっきりしたところで、慰労会を開こうという話になる。
「かに!かにが食べたい。」
冬と言えば蟹だよねという事で、カンガ方面の海へ釣りに行く事になった。
人型結界をまとって海に潜り、カニを数匹確保し、インベントリに入れる。
その後は海上で魚群に向かって結界を張り、人目が無い場所で魚を締めてはインベントリに入れる作業を繰り返した。
前回と同じように身体の内側からむくっと力が沸くような、もぞもぞした感じがするから、今回も能力が上がっているのだろう。
三人で一心不乱に魚を締め、箱に詰めて各所に配った。
その後はアパートの私の部屋で慰労会です。
蓮に大鍋を作ってもらい、カニを茹でる。
別の鍋には蟹しゃぶを作る。
魔石の付与で使っている大きなテーブルにどどんと鍋と茹でた蟹を置いて、カニパーティーの始まりだ。
「お疲れさまでした!いただきます!」
颯の音頭で食べ始める。
みっちりと身が詰まった足を一口食べ、無言で頷く。
「うまっ!」
颯は一言の後に手と口の動きが速くなった。
「美味しいわねぇ。」
普段おっとりしている蓮も、今回は次々と蟹の足を切り離して食べている。
茹でがにを食べて、時々思い出したようにしゃぶしゃぶして、カニと格闘すること一時間。
「ふはぁ~!」
三人揃って満足の溜息を洩らした。
「向こうの世界にいた時に、こんなに食べたことが無かったぞ。」
しみじみと颯が言う。
「足を数本食べて終わる事が多かった。」
「そうよね。料亭に行ってもここまで大量には出て来ないものね。」
三人揃って若返っている事もあり、旺盛な食欲でも満足できた。
「颯君はホテルを作って、得たいものが得られたかしら?」
食後の緩い空気の中、ぽつりと蓮が颯に聞く。
「うん・・・そうだな。元の世界との違いをがっちり感じたし、ジレンマもあったし、妥協もあったが・・・今の状況を自分なりに認識できたというか、受け入れる事が出来たかな。」
「そう・・・。」
「色々巻き込んで悪かったな。」
「いいのよ。一気に色々あって、悩む暇が無かったのがかえって良かったんじゃないかしら?それに私は趣味の一つをしのちゃんから貰ったし。」
ふふっと笑いながら蓮が私を見る。
「え?何を貰ったんだ?」
蓮から本を渡され、中を確認した颯が目を見開く。
「えっ?ちょっ!これ! なぁ、しの、俺にもくれ!」
そこからどんな作品が好きだったのかという話で暫く盛り上がった。
「私達が個人的に楽しむなら、データを転写して、TVじゃなくてプロジェクターを作って、壁に映写したら動画も見られるんじゃないかと思うんだよね。」
二人がぐるりと首を回し、目を剥いて私を凝視する。怖い。
「しのちゃん、魔道具だったら任せて!」
「俺も、作成するものがあるなら何でも協力するぞ!」
二人の野望に火を点けてしまった気配がした。
元の世界では絶対にやってはいけない事だ。
ここが異世界だから出来た事でもある。
ホテル建築が成功し、今後何を作ろうかと思案した颯が『豪華客船を作ろう。』と言い出すのは数日後の事。
「客船内に娯楽を詰め込んだらいつでも遊びに行けるぞ。」
貴方は船に住むつもりですか?という発言まで飛び出した。
ついでに海外の行ける地域も広げたらいいと聞いて、私も興味が湧いた。
-------
いいねをありがとうございます。
とても励みになります。
全てではないけれど、情報を別の研究機関に丸投げして、多いに研究していただこうという話に落ち着く。
この世界、生活魔法で物品の修復が可能なので、コイルタイプのマットレスを作って使用しても、長持ちするだろうと判断したためだ。
あと面倒く・・・げほんごほん。
作りやすい方が良いよねという話になった。
清掃も洗浄魔法で終わるので、ホテルスタッフがこまめにメンテナンスすれば大丈夫だろうとの事。
掃除も洗濯も入浴も全部洗浄で終わらせる事ができるって便利過ぎて、もう戻れない。
マットレスの製造に関しては、颯が目星をつけていた地域で製造してもらう事になり、魔道具による機械化で生産する事が決定。
タオルケットはイヨに工場(こうば)を作って製作中。
試作品を安く購入させてもらったから、私の夏掛けは安泰だ。
突発的なのか予想の範囲内なのか、とにかく備品のための魔動機械を作製する作業は終わった。
出来上がった品を順次ホテルにセッティングするだけだ。
ホテルの隠避結界が解除され、通常の建物用結界として作り直した。
突如として現れた建物は、周辺で話題になっている。
一階に出来るショップは、ホテルで使用しているタオルやバスタオル、タオルケット、デジタル目覚まし時計、T字カミソリといったホテルグッズの販売と、魔動髭剃り、下着類、室内履きとしてのスリッポンやスリッパ、ジッパー付き財布など、今までお世話になったお店の人気商品も取り扱う、地元のアンテナショップっぽいものにもなる。
もちろん海外の品も取り扱うんですって。
企画から開業までの期間の短さに脱帽する。
従業員の皆さんは九月半ばから館内に入って実習していたの。
時々私と遭遇したスタッフは『何でここに子供が?』と疑問の顔をしていたけれど、颯か蓮の妹だと思われていたみたい。
十月になり、学院帰りは連日のようにジョーカイに転移して、換羽期のアヒルの羽毛を譲ってもらう。
もちろん対価の支払いをしています。
個人用の冷暖房魔道具を対価として希望する人がそれなりにいたので、交換しやすかった。
夏場は意識しなくても、風が冷たくなってくると冬の寒さに備えたいそうです。
室内はともかく、屋外での作業をする人にとっては、冷暖房魔道具があるとないとでは大違いだもの。
翌年の春、ジョーカイでは記録的な猛暑になり、その記録は長らく保持されるほどだった。
その際、個人用の冷暖房魔道具を所持していた人は『助かった』と言い合っていたという。
羽毛布団はある程度確保されたので、私たち三人も掛け布団をそれぞれ購入する事ができた。
マットレスはホテルへの納品を優先している為まだだけれど、私の快適な睡眠環境が整いつつある。
下着を含めた衣類、睡眠環境が整ったら、次は食かなぁ?
料理ってそれほど得意じゃないんだよね。
仕事をしているか、家で寝ているかという人だったから。
ちょっとは料理したけれど、叔母のように自分で作った野菜を調理するなんて事もなく、手間なく作る事ができる品に助けられて過ごしていたもの。
この世界ではちょっと真面目に料理しようかなぁ?
換羽期の羽毛を集め終わった後、私はまたキノコ採りのために山に入った。
今回も各所でトリュフを見つけ、インベントリにため込んでいる。
ホテルの調理場で使わないかな?
今回のキノコは一部を甘辛く煮て常備菜として瓶詰めし、颯や蓮に分けた。
ご飯に乗せて食べたら美味しいよね。
きのこの味噌汁とキノコご飯は三人で作って食べて、マサやキヨには去年よりも少ない量をおすそ分けする。
ほら、私が採ったと言えないから、蓮からのお裾分けと言える程度の量なんです。
それでも喜んでくれたらしいよ。
十一月、宿泊業開始に先駆けて飲食店部門が一週間早く開店し、その後、宿泊業が始まった。
ここからは颯の手を離れ、運営にお任せする形になるので報酬を受け取っていた。
宿泊客の評判は上々だという。
スポンサーもご機嫌だそうですよ。
各地の工場(こうば)にしろ、ホテルの従業員にしろ、雇用人数がとんでもない数になっている気がするけれど、携わってくれた人達がいてこそ成り立つし、颯の発案に賛同して経営に乗り出した人も凄いと思う。
ホテルが完成し、営業が始まって報酬も無事に受け取った。
私達魔道具作成組への清算も終わってすっきりしたところで、慰労会を開こうという話になる。
「かに!かにが食べたい。」
冬と言えば蟹だよねという事で、カンガ方面の海へ釣りに行く事になった。
人型結界をまとって海に潜り、カニを数匹確保し、インベントリに入れる。
その後は海上で魚群に向かって結界を張り、人目が無い場所で魚を締めてはインベントリに入れる作業を繰り返した。
前回と同じように身体の内側からむくっと力が沸くような、もぞもぞした感じがするから、今回も能力が上がっているのだろう。
三人で一心不乱に魚を締め、箱に詰めて各所に配った。
その後はアパートの私の部屋で慰労会です。
蓮に大鍋を作ってもらい、カニを茹でる。
別の鍋には蟹しゃぶを作る。
魔石の付与で使っている大きなテーブルにどどんと鍋と茹でた蟹を置いて、カニパーティーの始まりだ。
「お疲れさまでした!いただきます!」
颯の音頭で食べ始める。
みっちりと身が詰まった足を一口食べ、無言で頷く。
「うまっ!」
颯は一言の後に手と口の動きが速くなった。
「美味しいわねぇ。」
普段おっとりしている蓮も、今回は次々と蟹の足を切り離して食べている。
茹でがにを食べて、時々思い出したようにしゃぶしゃぶして、カニと格闘すること一時間。
「ふはぁ~!」
三人揃って満足の溜息を洩らした。
「向こうの世界にいた時に、こんなに食べたことが無かったぞ。」
しみじみと颯が言う。
「足を数本食べて終わる事が多かった。」
「そうよね。料亭に行ってもここまで大量には出て来ないものね。」
三人揃って若返っている事もあり、旺盛な食欲でも満足できた。
「颯君はホテルを作って、得たいものが得られたかしら?」
食後の緩い空気の中、ぽつりと蓮が颯に聞く。
「うん・・・そうだな。元の世界との違いをがっちり感じたし、ジレンマもあったし、妥協もあったが・・・今の状況を自分なりに認識できたというか、受け入れる事が出来たかな。」
「そう・・・。」
「色々巻き込んで悪かったな。」
「いいのよ。一気に色々あって、悩む暇が無かったのがかえって良かったんじゃないかしら?それに私は趣味の一つをしのちゃんから貰ったし。」
ふふっと笑いながら蓮が私を見る。
「え?何を貰ったんだ?」
蓮から本を渡され、中を確認した颯が目を見開く。
「えっ?ちょっ!これ! なぁ、しの、俺にもくれ!」
そこからどんな作品が好きだったのかという話で暫く盛り上がった。
「私達が個人的に楽しむなら、データを転写して、TVじゃなくてプロジェクターを作って、壁に映写したら動画も見られるんじゃないかと思うんだよね。」
二人がぐるりと首を回し、目を剥いて私を凝視する。怖い。
「しのちゃん、魔道具だったら任せて!」
「俺も、作成するものがあるなら何でも協力するぞ!」
二人の野望に火を点けてしまった気配がした。
元の世界では絶対にやってはいけない事だ。
ここが異世界だから出来た事でもある。
ホテル建築が成功し、今後何を作ろうかと思案した颯が『豪華客船を作ろう。』と言い出すのは数日後の事。
「客船内に娯楽を詰め込んだらいつでも遊びに行けるぞ。」
貴方は船に住むつもりですか?という発言まで飛び出した。
ついでに海外の行ける地域も広げたらいいと聞いて、私も興味が湧いた。
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