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教会の下宿人
夏休み明け
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夏休みが終わりました。
今日からまた女子学院に通う日々です。
いつものように魔石に付与をして、代金を受け取ってから転移できる地域を増やすための競歩(すでに徒歩じゃない)をして学院に転移した。
ちなみに魔石の数は十個に増やし、銀貨五枚いただいてます。
久しぶりに会う教室の皆さんはなんだか艶々していた。
休日を満喫してリフレッシュしました!って感じ。
皆さん何処へ出かけたとか、何をしたとか話して盛り上がっている。
私は隣の席の三つ編みのうめと、後ろの席のハーフアップのりん、左隣のこうにお土産の下着を小さな巾着に入れてプレゼントした。
『嫌だわ』なんて言われたら、それはそれでいいやと思っている。
キヨの時にすでに経験しているから、免疫はある。
そうそう、教会の人達にも渡したんだよ。
フェリクスにはガラスペンを、アンとジャンにはジッパー付きの財布をお土産にした。
子供からお土産を受け取るなんてと驚いていたけれど、フェリクスはガラスペンに感心していたし、アンやジャンは気に入ってくれたみたいで良かった。
この世界で食べ物のお土産だと、移動している間に悪くなったらいけないからね。
名物や銘菓はその土地で食べるんです。
そんな事もあってソーギやナガサチの名物(?)になりそうな実用品を配って布教する事にした。
休み明けの先生の話を聞いていたら、重大発表があった。
学院長が出身国に『子供達がよく学んでいてとても優秀だ。』と報告したらしく、援助している方から更なる予算をいただいたとかで、本格的な学校を建築する事が決定したんだとか。
学習時に使われている教材も学院長の出身国から取り寄せている物なの。
今の学院はそれほど大きくない建物で、異国の方が多くいる場所に建っているんだよね。
学院長曰くハマの高台の敷地に建築したいという事で、話が進み始めているんですって。
颯がホテル建築を言い出した時も驚いたけれど、今回の学院拡大の話も驚いたよ。
皆さん実行力があるし、大きな事を手掛けるんだなぁ。
何より驚くのは、海外の子供に勉学を教えるために援助する人や実行する人がいた事。
育った環境によっては自分の事だけで精いっぱい、他の人にとって不足している部分に気が付いたとしても見て見ぬふりをする。そんな人が多い事もあるだろう。
それなのに誰かに手を差し伸べ、導こうとする精神って凄く・・・なんて言えばいいのかな?
尊い?崇高?慈愛?尊敬?ノブレス・オブリージュ?
とにかく人が持つ良い面の好循環に繋がるんだなって感じる。
今、教室にいる十数人の生徒が数十人になって、学院単位になったら数百人が学ぶようになると、この世界の変化は加速していくんだろう。
新しい校舎が完成したら、楽器を置けるようになるそうで、音楽の授業が増える事も聞いた。
運動できる場所も確保するとかで、運動・・・現代風に言えば体育も加わるんだとか。
この教室にいる人達が在学中に完成するのか、卒業後なのかは分からないけれど、皆さん嬉しそうに話をしていた。
のちに新しい寄宿舎付きの学院が建築され、そこでは多くの女生徒が学ぶようになった。
建物の美しさと、居心地と、仕事のやりがいに高揚した関係者たちが『夏休みに学院を離れるのは嫌だ!』と夏休みを延期・短縮した逸話が残されることになる。
学院が終わるとハマのアパートに移動した。
今日から蓮も颯もこちらのアパートに在住している。
備品が揃うようになってきたので、ホテル建築に集中している所だ。
私も部屋のテーブルに山のように積み上げられている魔石に一つ一つ付与をしている。
木板に書かれた数量を確認し、規定数が仕上がったら魔石と木板を蓮に届け、蓮は付与済みの魔石と木板を確認して魔道具に埋め込んでいく。
既にロビーにはソーギの時計職人の手で作られた振り子の大時計が設置されている。
文字盤が大きくて遠くからでも時間がわかるはず。
ロビーの柱の傍にはちょっとした休憩が出来る椅子が置かれ、それもまた各所に見事な彫りがあって重厚さを際立たせている。
石造りの手すりでさえもするするとした手触りで、優美な曲線と格調高い仕上がりだ。
他にも二人掛けのソファなども据えられる予定で、絶賛製作中。
これも颯たちが納得のいく品に改造されているのだ。
そうそう、船旅中に鑑定させてもらったら颯と蓮には物質変化の魔法が沸いていて、ものによって仕入れにくい材料を変化させて仕上げる事が可能になったんだって。
丈夫なコンクリートやステンレスとか、使いたい場面が多そうだものね。
知識があっても手元に材料がない時のジレンマはよくわかる。
パンツでさえもあれだけ騒いだんだもの。
え?比べる次元じゃない?失礼しました。
ホテルは五階建てになった。
一階は飲食店やショップ、庭園があり、二階はロビーと大広間のような広い部屋、三階以上に客室がある。
もちろん一階から五階までの昇降機も付いているし、階段も急な角度ではないので上がりやすい。スロープも各所に設けられていた。
後から増築するよりも、ちょっと多めに作っておけば、初期費用以外の管理費が掛からないだろうと颯が言う。
水も照明も魔道具だから電気・ガス代というものが無いものね。
隣接する建物に立体駐車場を三階建てで設け、その屋上に私達のアパートが乗ってホテルと共に隠避されている。
ホテルだけがお披露目されるのはもう少し後だ。
ちなみに颯も蓮も転移の魔道具でソーギとジェドを往復する事ができるようになったし、エゾチに用がある時も単独で出かけられるようになったそう。
釣りによる能力アップと、日々の塀の魔道具への魔力入れで増えた魔力のお陰だ。
今後のためにまた釣りに行こうという話も出ていたりする。
客室のドレッサー兼机の片隅には、壁の中に水差しの魔道具が埋め込まれ、ビルトインコーヒーマシンのようになっている。
お茶用のお湯や水を提供するのと、魔道具の盗難防止を兼ねている。
浴室のお湯や水を出す魔道具も壁に埋め込まれているし、シャワーはミストも出るタイプで同じく壁に埋め込んだ。
浴室の排水は一旦溜めて洗浄魔法で綺麗さっぱりなくなる仕組みにしているらしい。
そのため建物内に排水管は張り巡らされていないけれど、各部屋の下に空間が設けられて、そこを利用するそうだ。
食堂などの調理場も同じ仕組みを採用されている。
ベッドにはデジタル時計が嵌め込まれ、初見のお客様は戸惑いそうだけれど、説明書を複数の言葉で書いて置いてある。
目覚まし機能を使ってもらえればモーニングコールの手間も省けるというもの。
客室内とロビーを繋ぐ通話魔道具が今回初めて設置されたので、モーニングコールを頼みたい人がそもそもいない・・・はず。
客室天井や廊下には自動消火器も設置した。
煙を感知して警報音と共に水が出るようになっている。
タオルやシーツなどの備品にも片隅にホテルのロゴが刺繍されている。
この刺繍に関しては、専用の小さな刺繍機を蓮が作り、タオルの製造をしている工場(こうば)で仕上げてもらっている。
そんな感じで各所に振っていた仕事がホテルに集まり、配置されつつある。
羽毛布団は掛布団のみ作成し、グレードの高い部屋に設置を進めている。
自分たちの分はまだ確保していないが、布団があるのでまだ大丈夫。
ただ、夏という事もあってタオルケットが欲しかった。
一気に出来上がっていく様子を楽しむ間もなく、怒涛の作業をしていたら、颯がぽつりと言い出した。
「やっぱりマットレスとタオルケットも欲しいよな。」
「上掛けの布団だけだと夏はねぇ。」
「うんうん。」
「よし、製造所ごと作るか。」
ホテル建築の終わりが見えてきたからって貴方、また大きな話が出ましたよ。
マットレスってポケットコイルタイプは大正時代になってから出来たと知る。
その金属コイルが現代では「適正処理困難物」とみなされ、自治体によっては粗大ごみとして受け付けてくれないところがあると問題になっていた。
そう考えるとコイル無しのマットレス?
え?材料はあるの?
環境を考えたら、バイオマス原料?
そこから作るとなると・・・ひぃぃぃ。
とりあえず、私も魔法で検索できる資料を全部転写して、颯に渡しました。
-------------------
いいねを押していただいてありがとうございます。
とても嬉しく、励みになっています。
今日からまた女子学院に通う日々です。
いつものように魔石に付与をして、代金を受け取ってから転移できる地域を増やすための競歩(すでに徒歩じゃない)をして学院に転移した。
ちなみに魔石の数は十個に増やし、銀貨五枚いただいてます。
久しぶりに会う教室の皆さんはなんだか艶々していた。
休日を満喫してリフレッシュしました!って感じ。
皆さん何処へ出かけたとか、何をしたとか話して盛り上がっている。
私は隣の席の三つ編みのうめと、後ろの席のハーフアップのりん、左隣のこうにお土産の下着を小さな巾着に入れてプレゼントした。
『嫌だわ』なんて言われたら、それはそれでいいやと思っている。
キヨの時にすでに経験しているから、免疫はある。
そうそう、教会の人達にも渡したんだよ。
フェリクスにはガラスペンを、アンとジャンにはジッパー付きの財布をお土産にした。
子供からお土産を受け取るなんてと驚いていたけれど、フェリクスはガラスペンに感心していたし、アンやジャンは気に入ってくれたみたいで良かった。
この世界で食べ物のお土産だと、移動している間に悪くなったらいけないからね。
名物や銘菓はその土地で食べるんです。
そんな事もあってソーギやナガサチの名物(?)になりそうな実用品を配って布教する事にした。
休み明けの先生の話を聞いていたら、重大発表があった。
学院長が出身国に『子供達がよく学んでいてとても優秀だ。』と報告したらしく、援助している方から更なる予算をいただいたとかで、本格的な学校を建築する事が決定したんだとか。
学習時に使われている教材も学院長の出身国から取り寄せている物なの。
今の学院はそれほど大きくない建物で、異国の方が多くいる場所に建っているんだよね。
学院長曰くハマの高台の敷地に建築したいという事で、話が進み始めているんですって。
颯がホテル建築を言い出した時も驚いたけれど、今回の学院拡大の話も驚いたよ。
皆さん実行力があるし、大きな事を手掛けるんだなぁ。
何より驚くのは、海外の子供に勉学を教えるために援助する人や実行する人がいた事。
育った環境によっては自分の事だけで精いっぱい、他の人にとって不足している部分に気が付いたとしても見て見ぬふりをする。そんな人が多い事もあるだろう。
それなのに誰かに手を差し伸べ、導こうとする精神って凄く・・・なんて言えばいいのかな?
尊い?崇高?慈愛?尊敬?ノブレス・オブリージュ?
とにかく人が持つ良い面の好循環に繋がるんだなって感じる。
今、教室にいる十数人の生徒が数十人になって、学院単位になったら数百人が学ぶようになると、この世界の変化は加速していくんだろう。
新しい校舎が完成したら、楽器を置けるようになるそうで、音楽の授業が増える事も聞いた。
運動できる場所も確保するとかで、運動・・・現代風に言えば体育も加わるんだとか。
この教室にいる人達が在学中に完成するのか、卒業後なのかは分からないけれど、皆さん嬉しそうに話をしていた。
のちに新しい寄宿舎付きの学院が建築され、そこでは多くの女生徒が学ぶようになった。
建物の美しさと、居心地と、仕事のやりがいに高揚した関係者たちが『夏休みに学院を離れるのは嫌だ!』と夏休みを延期・短縮した逸話が残されることになる。
学院が終わるとハマのアパートに移動した。
今日から蓮も颯もこちらのアパートに在住している。
備品が揃うようになってきたので、ホテル建築に集中している所だ。
私も部屋のテーブルに山のように積み上げられている魔石に一つ一つ付与をしている。
木板に書かれた数量を確認し、規定数が仕上がったら魔石と木板を蓮に届け、蓮は付与済みの魔石と木板を確認して魔道具に埋め込んでいく。
既にロビーにはソーギの時計職人の手で作られた振り子の大時計が設置されている。
文字盤が大きくて遠くからでも時間がわかるはず。
ロビーの柱の傍にはちょっとした休憩が出来る椅子が置かれ、それもまた各所に見事な彫りがあって重厚さを際立たせている。
石造りの手すりでさえもするするとした手触りで、優美な曲線と格調高い仕上がりだ。
他にも二人掛けのソファなども据えられる予定で、絶賛製作中。
これも颯たちが納得のいく品に改造されているのだ。
そうそう、船旅中に鑑定させてもらったら颯と蓮には物質変化の魔法が沸いていて、ものによって仕入れにくい材料を変化させて仕上げる事が可能になったんだって。
丈夫なコンクリートやステンレスとか、使いたい場面が多そうだものね。
知識があっても手元に材料がない時のジレンマはよくわかる。
パンツでさえもあれだけ騒いだんだもの。
え?比べる次元じゃない?失礼しました。
ホテルは五階建てになった。
一階は飲食店やショップ、庭園があり、二階はロビーと大広間のような広い部屋、三階以上に客室がある。
もちろん一階から五階までの昇降機も付いているし、階段も急な角度ではないので上がりやすい。スロープも各所に設けられていた。
後から増築するよりも、ちょっと多めに作っておけば、初期費用以外の管理費が掛からないだろうと颯が言う。
水も照明も魔道具だから電気・ガス代というものが無いものね。
隣接する建物に立体駐車場を三階建てで設け、その屋上に私達のアパートが乗ってホテルと共に隠避されている。
ホテルだけがお披露目されるのはもう少し後だ。
ちなみに颯も蓮も転移の魔道具でソーギとジェドを往復する事ができるようになったし、エゾチに用がある時も単独で出かけられるようになったそう。
釣りによる能力アップと、日々の塀の魔道具への魔力入れで増えた魔力のお陰だ。
今後のためにまた釣りに行こうという話も出ていたりする。
客室のドレッサー兼机の片隅には、壁の中に水差しの魔道具が埋め込まれ、ビルトインコーヒーマシンのようになっている。
お茶用のお湯や水を提供するのと、魔道具の盗難防止を兼ねている。
浴室のお湯や水を出す魔道具も壁に埋め込まれているし、シャワーはミストも出るタイプで同じく壁に埋め込んだ。
浴室の排水は一旦溜めて洗浄魔法で綺麗さっぱりなくなる仕組みにしているらしい。
そのため建物内に排水管は張り巡らされていないけれど、各部屋の下に空間が設けられて、そこを利用するそうだ。
食堂などの調理場も同じ仕組みを採用されている。
ベッドにはデジタル時計が嵌め込まれ、初見のお客様は戸惑いそうだけれど、説明書を複数の言葉で書いて置いてある。
目覚まし機能を使ってもらえればモーニングコールの手間も省けるというもの。
客室内とロビーを繋ぐ通話魔道具が今回初めて設置されたので、モーニングコールを頼みたい人がそもそもいない・・・はず。
客室天井や廊下には自動消火器も設置した。
煙を感知して警報音と共に水が出るようになっている。
タオルやシーツなどの備品にも片隅にホテルのロゴが刺繍されている。
この刺繍に関しては、専用の小さな刺繍機を蓮が作り、タオルの製造をしている工場(こうば)で仕上げてもらっている。
そんな感じで各所に振っていた仕事がホテルに集まり、配置されつつある。
羽毛布団は掛布団のみ作成し、グレードの高い部屋に設置を進めている。
自分たちの分はまだ確保していないが、布団があるのでまだ大丈夫。
ただ、夏という事もあってタオルケットが欲しかった。
一気に出来上がっていく様子を楽しむ間もなく、怒涛の作業をしていたら、颯がぽつりと言い出した。
「やっぱりマットレスとタオルケットも欲しいよな。」
「上掛けの布団だけだと夏はねぇ。」
「うんうん。」
「よし、製造所ごと作るか。」
ホテル建築の終わりが見えてきたからって貴方、また大きな話が出ましたよ。
マットレスってポケットコイルタイプは大正時代になってから出来たと知る。
その金属コイルが現代では「適正処理困難物」とみなされ、自治体によっては粗大ごみとして受け付けてくれないところがあると問題になっていた。
そう考えるとコイル無しのマットレス?
え?材料はあるの?
環境を考えたら、バイオマス原料?
そこから作るとなると・・・ひぃぃぃ。
とりあえず、私も魔法で検索できる資料を全部転写して、颯に渡しました。
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