好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜

ぐう

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ミラ編

ミラと噂

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 なんとなく気まずくエミール様と別れてから初めての出勤日。迎えの馬車に乗り商会にやってきた。今日も女子従業員の敬語の使い方と礼儀作法のチェックだ。二人まだ十代後半の女の子達がやってきた。基本の敬語の対照表を渡して、彼女達の困っている言葉使いを訂正していく。真面目な子達でちゃんと渡した対照表の欄外に書いていく。休憩を取ったら話しかけて来た。

「先生はご主人様の恋人なんですか?」

「違うわ。知り合いで仕事を斡旋していただいただけ」

「隠してない?だって女っけのないご主人様が優しい顔で話しかけるのって先生くらいだよ」

「だよねーご主人様が貴族だったら手が届かないけど、今は平民だからって取引先のお嬢さん達がしつこく来てるけど相手にしないもの」

「一人しつこいお嬢さんがいて、仕事中でも居座るんだよ。私達はあのお嬢さんの使用人じゃないのに、自分はもうすぐここの奥様だから自分の言いつけきけとか言っちゃってやりたい放題。なのにご主人様の前では猫被って嫌な女なの」

 聞いていて胸がチクリと痛んだが、エミール様の心の中には妃殿下がいる。あの方を超えるのは難しいだろうと思った。


 仕事を終えて送ってくれる馬車を商会横で待っていたら、華美な服を着た若い女性がいきなり話しかけて来た。

「最近出入りしてる年増ってあんた?エミール様に媚びているらしいけど彼にはあたしがいるから諦めて」

 言葉使いも悪いこの女の子にエミール様が靡くとも思えないが、すごい自信だなと思った。

「なんとか言いなさいよ。あたしがここの奥様になったらあんたなんか首よ」

 と言いながら私を突き飛ばそうと手を伸ばして来た。その時私と彼女の間に誰かが身を滑りこませて彼女の腕を捻り上げた。

「おいたがすぎますね。家に連絡します。ここに出入りは二度としないで下さい」

「エミール様!」

「痛いぃい。父さんに言いつけても良いの?取引できなくなるよ!」

「娘のしつけもろくにできない、娘の言い分だけで聞く取り引き先ならいりません」

 彼女は顔色変えて走り去った。

「すみません。あの娘は商会に出入りする女性にああやって絡むから苦情が来ていたので、父親に最後通告したばかりだったのです。お怪我はありませんか?ご迷惑おかけしました」

「いえ 私は何も。取引大丈夫ですか?」

「最近羽振りが良くなった商店の娘で勘違いしてますが、権利を持っているのはこちらです。大丈夫ですよ。エミリア達のことで、相談があるので馬車にご一緒しようと来たのですが間に合ってよかった」

 二人で馬車に乗るとエミール様が大きな包みを従業員から手渡されていた。

「実はあなた方の家に訪問しているのをさっきの娘みたいなのが、愛人宅だと噂をたてている。それでホーク伯爵と相談して決めた事をお伝えしようと思ってます」

 何を言われるのだろう。エミール様と会えなくなるのだけは嫌だ。
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