復讐と約束

アギト

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第4章 七魔将軍 レンカ編〜生徒か主か〜

二十二話 極の儀 開幕

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 ショウ達が闘場に着くと、それぞれの学園に分かれて待っていた。
「何だ…に…げた……のかと…思った…ぞ」
とビルラが言ったのを、ショウが近付き、
「僕は、てっきりお爺さんは、ぽっくり逝ったんじゃないかと心配してしまいましたよ。」
「クソガキが!よ…よ…く覚え…とけよ!」
「覚えといたら覚えときますよ。」
と言いながら戻って行った。周りの生徒と教育者(ヨナギを除く)達は寒気を感じていた。そして、
「ガキ…い…や…命…知ら…ず」
「僕のことですか?」
「貴さ…まは…ただ……では済…まさん!」
と観覧席の魔物が気を失うほどの圧をかけた。一方ザギル達も観覧席に居たが、あくびをするほど何とも無さそうだった。
「御託は要らないんで、早く始めましょうよ。」
とショウも真剣な表情で言った。すると、
「ご来場の皆様!!お待たせしました!これより、『極の儀』を開催いたします!」
と頭上で大声のアナウンスがかかった。
「「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」」
と観覧席の熱気に比べて、
「相っ変わらずうるせぇ野郎だな~」
「このくらいの熱気がーーーちょうどいい!」
「もう少しボリューム下げて欲しいです。耳障りです。」
「こ…こ…膜を…壊す気…か」
「ジジィはもうとっくに壊れてんだろ?なら良いじゃねぇか~」
「ヨナギ…あとで…覚悟……して…おれ!」
と1人を除き冷めた事を言われていた。生徒達は凄く緊張していた。
「はぁ…こ、こ、こんな中で闘うなんて、私死んじゃいそうだよ。」
「お、同じく、ボークンは緊張して無さそうだな。」
「俺は固有スキル『感情抑制』で、感情がいくら高ぶっても抑制されてしまうからな。そう言えば、ショウは緊張し無いのか?」
とボークンは、平然としていたショウを見て言った。ショウは、
「まぁ、これより多くの魔物が集まる大会に最近参加したんで、全く緊張はしないですね。」
「ショ、ショウ君、一体何者なの?」
「まぁ、ただの旅人だと思って下さい。」
と優しい声で言った。そして、
「えぇ~今から『極の儀』のルール説明をします。」
と先程の声とは別の声がした。
「『極の儀』は、純粋な魔法同士の対決になります。魔法の攻撃は勿論のこと、魔法で自身を強化したり、武器を生成したり等も可能です。但し、魔法とは全く無関係なスキル等を使用した場合は、その学園を『全員失格』とさせていただきます。」
と言った。少し間をあけて、
「また、対決方法は1対1の無制限となります。明らかな戦闘不能以外は、試合を続けていただきます。ご質問がある方は、個人的に審判員に聞いて下さい。以上で説明を終わらせていただきます。」
とアナウンスを切り、暫くすると、
「さぁーー!参加者の皆様は、それぞれアップを始めてください!」
と先程のうるさい方の声に変わっていた。
「さてと、それではショウ様達アップをしましょうか。」
「「「「はい!」」」」
と魔法陣を展開しては解除するを繰り返していた。他には、走ったり魔法を放ったりしていた。因みに、安全配慮のため観覧席には魔法無効化の魔石が置かれてある。
 ショウは、試合開始前に自身のスキルを全て使用可能かをしっかり審判員に聞いていた。
「ショウ様どうでしたか?」
「『影使い』と『魔眼の模倣』以外は、使用してもいいと言われました。」
「まぁ、『それは予想通りでしたね。』」
「そうですね。でも、それでも僕等は勝てますよ。」
とショウは自信に満ち溢れた表情で言った。
「それでは、第一回戦を始めますので、対戦学園以外は場外の席に速やかに移動して下さい。」
とアナウンスが流れた。その指示に従い、ベルヘェス率いるラブマナ学園とヨナギ先生率いるトルリット学園の試合が始まろうとしていた。
「まずは代表生徒の一体はフィールドに出て下さい。」
とそれぞれの学園の生徒が前に出た。トルリット学園は、全身黒尽くめのカラスの顔をした魔物が出てきた。一方ラブマナ学園は、魔道士の格好をしたゴブリンが出てきた。
「ラブマナ学園のイルだ。よろしくお願いします。」
「トルリット学園のブクだ。」
とだけ言い、互いに握手を交わし試合が始まった。

       5分後
「がぁ…が…」
「つ……強い……」
と4体の代表の魔物が横になり気絶していた。一方ブクは、全く疲れた様子もなく平然としていた。それを見たベルヘェスは立ち上がり、
「ヨナギ先生!!勝負です!!」
といきなりヨナギを指差し大声で言った。ヨナギは頭を掻き、ダルそうに立ち上がり、
「ブク、戻って休んでいいぞ~」
「しかし、俺はまだ戦えます。」
「これは、あっちのご指名だから~それにあの野郎は俺直々に指導しねぇと気が済まねぇから。」
とブクは一瞬だけ途轍もない圧を感じ、
「分かりました。負けたら許しませんよ。」
と席に戻る前に言った。
「負けるか、秒で終わらせてやるよ。」
「随分と余裕そうですな!ヨーーーナギ先ーーー生!」
「さっさと済ませましょうや。」
「言われなくても!そのつもりですよ!!ダブルマキシマム・エンチャント・神速」
と一刹那でヨナギに近づき、
「散りな!神の鉄槌!」
と拳を光魔法を使い、強い光を放ちヨナギを襲った。しかし、
「この程度か~」
と魔法を無効化する魔法陣を展開していた。
「なっ!光を越えた速度で動いたはずなのに!なぜ!反応できるのだ!」
「テメェが遅いだけだろ~レッグウェア:ファイヤー」
と飛び片足を上げて、思い切りベルヘェスの頭に踵落としをくらわせた。それをもろに食らったベルヘェスは、その場で気絶した。
「勝者トルリット学園!」
「「「「わぁぁぁぁ!!」」」」
「見下すわりには、弱っちぃな。」
と生徒たちの方に歩いて退場した。
 闘場を整えたり、気絶していたベルヘェスを下ろしたりしてから、
「それでは、2回戦を始めます。ドラマスター学園とジックフリー学園の代表生徒1体は、闘場に上がって下さい。」
とアナウンスが流れた。ドラマスター学園からは、フードを被っていて顔が隠れた魔物がでてきた。
「あれは一体何のマネでしょうか?」
「相手に自身の特性を探らせないようにしてるんです。」
「特性ですか?」
「はい、シナギさんとビルラ先生はもう判明してますし、バレていたとしても勝てる次元じゃないので問題がないんでしょう。でも、あとの3体はそうじゃないんでしょうね。」
と指さして言った。現にビルラとシナギ以外はフードを被っていた。
「なるほど、それでコチラは誰がでますか?」
とショウが聞いた。すると、
「出方がわからないのなら、俺が行こう。」
とボークンが名乗り出た。
「俺なら魔法耐性はこの中で一番あるし、相手がどんな魔法を使おうと対抗できる。1番手としては最適解だと思うがどうだ?」
「私はボークン君でもいいですよ。私は皆さんが戦闘不能にならない限り出られないので」
「僕もいいと思います。」
「私も」
「異議はありませんよ。」
と満場一致でボークンが出ることになった。
 ボークンが出ると、フードを被っていた魔物が脱ぎ捨て、
「僕はネルバ。ドラマスター学園2年だ。」
と黒い翼を生やした男が言った。それに続けて、
「俺はボークン。ジックフリー学園1年だ。」
とボークンは名乗った。
「それでは、始めてください。」
と言われるのと同時に、
「召喚陣:アンデッドナイト」
と骸骨の全身防具を着ており、右手には錆びていた剣を左手には古びた鉄の盾を持っていた。アンデッドナイトは、召喚されるやいなや剣でボークンに攻撃した。一方ボークンは、
「テレポーテーション」
と剣が振り下ろされる前に消えた。
「な、何!い、一体ど…」
「ここだ。サンダー!」
と超至近距離で放った。ネルバは、
「ぐぁぁぁぁ!!」
と叫び上げて、雷が止まるのと同時にその場で気絶した。
「勝者ジックフリー学園」
「まずは1勝か。」
と呟くと、
「くっふふふ、たかが1勝したくらいでいい気にならないで下さい。」
とボークンの後ろから不敵に笑いながら言った。ボークンは、焦りを一切見せずに、
「誰だ?」
「これは失礼。私の名前はメイフィル厶。ドラマスター学園3年です。以後お見知りおきを」
と丁寧な挨拶をした。そして、
「テリトリー開放」
と言うと、観覧席も含めて薄黒い結界が覆った。覆い終わるのと同時に、
「シャドウカーニバル」
と鳥型の影、魚型の影や人型の影がボークンに襲いかかってきた。
「火玉の流星群」
と影達に向かって、無数の火玉を当てた。しかし、影は増える一方であった。
『さすがに消えはしないか。どうするか…』
と考えているうちに、影の攻撃が当たった。そこから、影達の猛攻は続いた。多方向から蹴りや体当たり、くちばしから火を吹かれたりと受けていた。
「はぁ…はぁ…さすがにマズイな」
「あ~あ、もうダウンですか?呆気ないですね~」
と見下しながら言った。ボークンは、
「それはどうかな?」
とゆっくり立ち上がり、
「この程度の攻撃ではダメージになってないぞ。それで勝とうとは、見立てが甘いにもほどがある。」
と言った。メイフィル厶は、
「フンッ!強がりは、あの世でじっくりするがよい。行け!影達よ!」
と影達に一斉攻撃を仕掛けさせた。しかしボークンは、何の抵抗もせず影達の攻撃を受けた。
「アッハッハ~呆気ないですね~さぁてと、お次はどなたあい……」
と振り返るとボークンが後ろに立っており、
「腐食」
とメイフィル厶の方に触れた。するとメイフィル厶の体が茶色く溶けていった。
「う…うわぁぁぁ!!な、な、な、何だ!」
「『腐食』は、触れた相手を腐らせていく魔法だ。」
「ならその前に、貴様を倒す!!スラッシング・ストーム!」
と斬撃を含んだ竜巻をボークンに向かってはなった。ボークンは、
「それは読めている。魔法陣:インバリデート」
と予め用意していた魔法陣を展開し、魔法を消し去った。そして、
「お返しだ。プリズン+サンダー・エンチャント」
とメイフィルムを雷が流れている牢屋に入れた。
「うゎぁぁぁぁぁ!!」
とメイフィルムは黒焦げになり、倒れた。ボークンはメイフィルムに近付き、
「『腐食』は雷を受けると無力化される。命は助けてやる。さっさと舞台から降りろ。」
「な…んだ…と」
「こっちには、あとが控えているんだよ。」
と言うと、もう一体のフードを被った魔物がメイフィルムの後ろに立っていた。そして、
「ドラマスター学園の恥晒しが、とっとと消えろ。ヘルファイヤー」
とメイフィルムに容赦ない黒い火を放った。しかしボークンは、
「獄氷の防壁」
とメイフィルムを氷の壁で防いだ。
「何のつもりですか?」
「『命は助けてやる』と言ったはずだ。それに、俺の慈悲を無下にする奴が許せないだけだ。」
とフードを被った魔物に言った。フードを被った魔物は、
「はぁ…うっざ、これだからアマちゃんのジックフリー学園の連中は嫌いなんだよ。」
とフードを脱いだ。そこには、左眼を失ったガタイの良いオーガが立っていた。
「俺の名前はシラヌイ。最強の魔道士になる者だ。」
「そうか、それは不可能だ。何故なら、お前はそんな器ではないからだ。」
「あぁ~?!何だとテメェ!」
とキレ気味に言った。
「それは戦えばわかる。」
と魔法を展開した。
 シラヌイは、ボークンを遥かに超える魔法を展開し続けていた。
「ヘルファイヤー」
「火の食尽」
ボークンの放った黒い火をシラヌイの火が覆い尽くした。そして、その火がボークンを食らった。
「くぅ……」
「どうした!その程度か!ジックフリー学園の天才さんよ!」
「まだ…だ!獄氷の鎧」
と自身に氷の鎧を纏い、火から脱出した。
シラヌイは、その瞬間、
「暴風神の鉄槌!」
「ぐはぁ!」
と簡単に鎧を貫き、ボークンの体にヒビを入れた。倒れているボークンに近付きながら、
「どうした、どうした。こんなもんかよ、こんなんじゃ彼奴等も大した事ないんだろうな~」
と呆れながら言った。ボークンは、
「何だと?もう一度言ってみろ!」
と怒りを含めた声で言った。
「天才のお前と闘ってこの程度なら、後ろの奴等は大した事ないだろうなって言ったんだよ!」
「天才、天才言われる位ムカつくことが俺にはある。」
「あぁ?」
「それは俺と友になってくれた奴等を馬鹿にされることだ!」
と指輪を1つ外して投げ捨てた。すると、
先程より100倍の魔力が溢れ出てきた。
「何だこの馬鹿げた魔力量は!」
「今外した指輪は『貯えの指輪』だ。これを外すことで、今まで貯めた魔力を得ることができる。今回は、3年掛けて貯めた魔力だ。」
「さ、3年だと!有り得ん!そこまで貯めれる訳ないだろ!」
「少し工夫したら可能なことだ。効果延長と容量倍増を付与して装着した。すると、約10年は貯めることができ、貯めれる魔力量も増える。」
とつらつらと説明した。
「り、理解が追いつかん…」
「理解できなくていい『底辺』。この一撃で終わらせる。」
と会場を覆い尽くす程の魔法陣を展開した。そして、
「俺の慈悲を無下にした己を恨め。『神殺のオーケストラ』」
と唱えるとシラヌイに容赦なくありとあらゆる魔法が襲った。
「がぁぁぁぁ!」
とシラヌイは、叫びを上げるしか出来なかった。
 10分位経ってから魔法陣が消えた。シラヌイは、
「ぅ……ぅゎ……ぁ…」
と何とか息をしていた。それを見た審判員は、
「勝者ジックフリー学園」
と言った。ボークンは、
「俺を怒らせた時点でお前は負けていた。殺される恐怖は存分に味わったろ!」
と吐き捨てて、闘場を下りた。
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