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運命のつがいと初恋 第1章
④
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ただ、バッサリ振った奈々さんだが、感じるところがあったようだ。康平の告白から三年、離婚後隣県の実家に戻った奈々さんから連絡があり二人は付き合い始めた。
当時の康平は医学部に進学、働き始めるまで数年かかる状態で、大学を辞めて就職しようかと悩んだり、交際を公にしていち早く両親に紹介したがった康平と、慎重な奈々さんとのあいだで何度も話し合いというケンカがあり、そのたびに愚痴聞き役を抜擢され大変だったけど二人の付き合いはまあまあ順調だった。
しかし交際が始まって一年たった頃、奈々さんが康平の子を身ごもったことで両親に交際を打ち明け、佐伯家はしばらく荒れていた。
ただ康平の両親もαとΩなので、そういう衝動があることは分かるそうで、なんとか話し合いで丸く収まり、康平は学生ながら結婚し、奈々さんと最初の旦那さんとの子ども、舞ちゃんと近くの借り家で暮らし始めた。
せっかく医学部に進学し、父親の後を継ごうとしていたのだから学校を辞めずに済んでよかった。内輪の結婚パーティーでそう告げると康平はその分しっかり働かなきゃなと少し大人びた顔をしたのでちょっと笑ってしまった。
波乱の起きた佐伯家と連動する形で三田村家でもちょっとした混乱が起こっていた。
てっきり陽向と付き合っている、か、今後付き合って、適齢期が来たら結婚するだろうと思っていた康平が他人と結婚するとなり、陽向の両親、兄姉は驚いたあと、腫れ物に触るような感じで陽向に接するようになった。日常的に仲のよいことをからかわれ、だんだんと反論もしなくなり聞き流していたので、どうやら家族は陽向は康平が好きなんだと勘違いしていたらしい。
陽向は康平を恋愛的に好きではないと、しっかり否定したのだけど家族はなんとか結婚相手を見つけてあげなきゃと次から次へとお見合いを持ってきて、辟易した陽向は大学卒業後地元に就職するという選択肢を捨て都内に残ることに決めた。
実際、男のΩと番たい人間がいるとは思えない。男性のΩは中性的で容姿端麗な人間が多いと言われるが、一般男性と比べれば、だ。自分以外の男性Ωが身近にいないからなんとも言えないけれど、陽向自身はごく平凡な容姿だ。
可愛い女性はαβΩ問わずたくさんいる。広い世界の中、わざわざ男性のΩを選ぶ物好きはそういないと思う。
「どうしようかな」
ぼやいていてももう数日で職をなくしてしまう。スマホで求人情報を見ながら陽向はベッドに転がる。検索すると近くにはないけれど、乗り継げば行けるところは数件あった。一番近い場所で、通勤に一時間四十分、ただ職務上早朝出勤もあり、間に合うかどうか際どいところだ。
目がちらちらしてきてスマホを消し、陽向は目を閉じる。
実家に帰って、地元で転職先を探す手もある。
ここにいたい理由は特にない。でも田舎では感じ得ないこの埋没感は嫌いじゃない。
男なのに子供が産めるなんて、神様はどうして男のΩを作り出したのだろう。もう成人して数年経つのに、陽向は自分が良く分からない。綺麗、可愛い、かっこいい、自分の美意識に照らし好ましい人の外見や、性格の良さや、優しさなどちゃんと受け取れるけれど、それからがどうしたらいいのか分からない。誰かを好きになるまでに心が待ったをかけてしまうのだ。
この人を好きになっていいのか、Ωなんかに好かれて迷惑かもしれない、そんな事を考えていたら結局、疲れて考えることを辞めてしまう。陽向は恋をしたことがない。
立ち止まってしまっている陽向だから、都会が地元より居心地良く感じているのかもしれない。
当時の康平は医学部に進学、働き始めるまで数年かかる状態で、大学を辞めて就職しようかと悩んだり、交際を公にしていち早く両親に紹介したがった康平と、慎重な奈々さんとのあいだで何度も話し合いというケンカがあり、そのたびに愚痴聞き役を抜擢され大変だったけど二人の付き合いはまあまあ順調だった。
しかし交際が始まって一年たった頃、奈々さんが康平の子を身ごもったことで両親に交際を打ち明け、佐伯家はしばらく荒れていた。
ただ康平の両親もαとΩなので、そういう衝動があることは分かるそうで、なんとか話し合いで丸く収まり、康平は学生ながら結婚し、奈々さんと最初の旦那さんとの子ども、舞ちゃんと近くの借り家で暮らし始めた。
せっかく医学部に進学し、父親の後を継ごうとしていたのだから学校を辞めずに済んでよかった。内輪の結婚パーティーでそう告げると康平はその分しっかり働かなきゃなと少し大人びた顔をしたのでちょっと笑ってしまった。
波乱の起きた佐伯家と連動する形で三田村家でもちょっとした混乱が起こっていた。
てっきり陽向と付き合っている、か、今後付き合って、適齢期が来たら結婚するだろうと思っていた康平が他人と結婚するとなり、陽向の両親、兄姉は驚いたあと、腫れ物に触るような感じで陽向に接するようになった。日常的に仲のよいことをからかわれ、だんだんと反論もしなくなり聞き流していたので、どうやら家族は陽向は康平が好きなんだと勘違いしていたらしい。
陽向は康平を恋愛的に好きではないと、しっかり否定したのだけど家族はなんとか結婚相手を見つけてあげなきゃと次から次へとお見合いを持ってきて、辟易した陽向は大学卒業後地元に就職するという選択肢を捨て都内に残ることに決めた。
実際、男のΩと番たい人間がいるとは思えない。男性のΩは中性的で容姿端麗な人間が多いと言われるが、一般男性と比べれば、だ。自分以外の男性Ωが身近にいないからなんとも言えないけれど、陽向自身はごく平凡な容姿だ。
可愛い女性はαβΩ問わずたくさんいる。広い世界の中、わざわざ男性のΩを選ぶ物好きはそういないと思う。
「どうしようかな」
ぼやいていてももう数日で職をなくしてしまう。スマホで求人情報を見ながら陽向はベッドに転がる。検索すると近くにはないけれど、乗り継げば行けるところは数件あった。一番近い場所で、通勤に一時間四十分、ただ職務上早朝出勤もあり、間に合うかどうか際どいところだ。
目がちらちらしてきてスマホを消し、陽向は目を閉じる。
実家に帰って、地元で転職先を探す手もある。
ここにいたい理由は特にない。でも田舎では感じ得ないこの埋没感は嫌いじゃない。
男なのに子供が産めるなんて、神様はどうして男のΩを作り出したのだろう。もう成人して数年経つのに、陽向は自分が良く分からない。綺麗、可愛い、かっこいい、自分の美意識に照らし好ましい人の外見や、性格の良さや、優しさなどちゃんと受け取れるけれど、それからがどうしたらいいのか分からない。誰かを好きになるまでに心が待ったをかけてしまうのだ。
この人を好きになっていいのか、Ωなんかに好かれて迷惑かもしれない、そんな事を考えていたら結局、疲れて考えることを辞めてしまう。陽向は恋をしたことがない。
立ち止まってしまっている陽向だから、都会が地元より居心地良く感じているのかもしれない。
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