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第三部「継ぐ者の光、試される未来」
第21話:詩の交歓祭、はじまりの鐘
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「――詩を語るだけの祭りがあっても、いいと思うんです」
そう提案したのは、王政文化庁付きの若き文官だった。
『こえのまえ、こえのあと』の詩集が静かな注目を集めるなか、
王都では、**“ことばによる交歓祭”**の開催が検討され始めていた。
主催は王政文化庁。
協賛に詩学局と王宮図書館。
そして、実行委員として名前が挙がったのは――
「詩人・エリア・グランデと、ミル・リース嬢」
ミルは驚き、エリアはわずかに口元を引き結んだ。
「……実行委員って、つまり“顔”になるってことだよね?」
「うん。わたしたちの名前が、正式に“祭”に掲げられるってこと」
けれど、それは同時に、“こえの責任”を持つということでもあった。
* * *
祭の名は――「ことばの海、こたえの光」。
国内の若い詩人たちだけでなく、
リュミエール領や東方連邦からも、詩を愛する少年少女たちが推薦参加する予定となった。
「これって……国の中だけの話じゃなくなるってことだよね」
ミルがぽつりと言った。
エリアはうなずいた。
「でもね、ミル。わたし、嬉しい。
“あの頃のわたし”が、声を出せなかった時に、この祭があったら――って思うから」
* * *
準備は想像以上に大変だった。
詩の発表形式、朗読順、展示空間の構成。
誰の詩をどう“光のあたる場所”に置くか。
「ねえ、エリア。どうして“有名な子”の詩ばかり、前に置こうとするの?」
「それは……運営側の“話題性”を考えてって……」
「でも、“光がないと見えない詩”より、“光に触れたことのない詩”を先に見てほしい」
ミルの言葉に、エリアははっとした。
(わたし……“わかってるつもり”になってたんだ)
かつて“名を出せない側”だったミルの声は、
誰よりも“影にいる声”への誠実さを持っていた。
* * *
祭の開幕まで、あと十日。
王政広報庁からは、**「詩を持ってくるだけで参加できる一般投稿枠」**が設けられることとなった。
誰でも、どんな年齢でも。
“詩を書いた”という事実だけで、舞台のどこかにその声が展示される。
それは、この国で初めて行われる、**“答えのいらない声の祭典”**だった。
レイナはその報を聞き、静かに笑う。
「……ようやく、国が“こたえなき問い”を抱える余白を持てるようになったのね」
* * *
その夜。
ミルは部屋で一人、詩を綴っていた。
> 『さいしょのままの声で』
>
> わたしは まだうまく書けない
> きれいな言葉は ぜんぶ借り物みたいで
>
> でも それでも まちがってても
> さいしょのままの声で
>
> あなたに 「ここにいるよ」と言いたい
ミルは、その詩を一枚の紙に清書し、封筒に入れて、こう書いた。
「当日、展示のいちばん隅に置いてください」
そう提案したのは、王政文化庁付きの若き文官だった。
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王都では、**“ことばによる交歓祭”**の開催が検討され始めていた。
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そして、実行委員として名前が挙がったのは――
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「……実行委員って、つまり“顔”になるってことだよね?」
「うん。わたしたちの名前が、正式に“祭”に掲げられるってこと」
けれど、それは同時に、“こえの責任”を持つということでもあった。
* * *
祭の名は――「ことばの海、こたえの光」。
国内の若い詩人たちだけでなく、
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ミルがぽつりと言った。
エリアはうなずいた。
「でもね、ミル。わたし、嬉しい。
“あの頃のわたし”が、声を出せなかった時に、この祭があったら――って思うから」
* * *
準備は想像以上に大変だった。
詩の発表形式、朗読順、展示空間の構成。
誰の詩をどう“光のあたる場所”に置くか。
「ねえ、エリア。どうして“有名な子”の詩ばかり、前に置こうとするの?」
「それは……運営側の“話題性”を考えてって……」
「でも、“光がないと見えない詩”より、“光に触れたことのない詩”を先に見てほしい」
ミルの言葉に、エリアははっとした。
(わたし……“わかってるつもり”になってたんだ)
かつて“名を出せない側”だったミルの声は、
誰よりも“影にいる声”への誠実さを持っていた。
* * *
祭の開幕まで、あと十日。
王政広報庁からは、**「詩を持ってくるだけで参加できる一般投稿枠」**が設けられることとなった。
誰でも、どんな年齢でも。
“詩を書いた”という事実だけで、舞台のどこかにその声が展示される。
それは、この国で初めて行われる、**“答えのいらない声の祭典”**だった。
レイナはその報を聞き、静かに笑う。
「……ようやく、国が“こたえなき問い”を抱える余白を持てるようになったのね」
* * *
その夜。
ミルは部屋で一人、詩を綴っていた。
> 『さいしょのままの声で』
>
> わたしは まだうまく書けない
> きれいな言葉は ぜんぶ借り物みたいで
>
> でも それでも まちがってても
> さいしょのままの声で
>
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ミルは、その詩を一枚の紙に清書し、封筒に入れて、こう書いた。
「当日、展示のいちばん隅に置いてください」
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