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終章
117 幕はおりる。①
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「お言葉ですが」
ローズマリーの声が朗々と響く。
(ほらね)
かわいい顔を今日は凛々しく引き締めて、ローズマリーは言った。
「わたくしたちの婚約は、すでに春の国の国王の権限により、破棄されております。ですから、あなた様がリコリス様を妻に迎えようと、わたくしには関係のないことでございます」
「え」
とは、リコリスの口から漏れた声である。
言われた本人であるソレルは顔から色をなくして、青空のような色をしていた目を絶望色に染めた。
「それから……国王陛下よりご伝言ですわ。王位継承権を第一位から第二位へ移す、と。現時点で、次期国王は弟君になりました」
「は」
声も出ないソレルの代わりに、リコリスが再び短い声をもらす。
崩れ落ちるソレルを支えきれず、彼女はともに倒れた。
助けを求めて周囲も見回しても、手を貸してくれるような者はいない。
親友にしていたトゥルシーはどこへ、と視線を彷徨わせる。
しかし、目当ての彼女も見つからない。
そこでようやく、リコリスは気づいたようだ。
会場を満たす嗤笑は、ローズマリーではなく自分たちへ向けられているのだということに。
恥ずかしくて、惨めで、どうしようもなく腹が立って。リコリスは、真っ赤な顔をして叫んだ。
「どうして……どうしてこんなことになったの? ねぇ、スヴェート。あなた、わたしの妖精なんだからなんとかしなさいよぉっ!」
ヒステリックな声が大講堂に響き渡る。
ペリーウィンクルの隣で、ヴィアベルが呆れたようにため息を吐いた。
「あの女は、自分の契約した妖精がいなくなったことにも気づいていなかったのか」
名もなき生き物の真実は、伏せられている。
事実は妖精たちと一部の学校関係者だけに伝えられて極秘扱い、生徒たちには「妖精魔法の暴走」と通達されていた。
もともとそのための孤島なので、生徒たちが疑うこともない。
勘の良い者は事実に気がついていたかもしれないが、わざわざ言うほど馬鹿ではないようだ。
ただ完全に知らぬ存ぜぬを通せるほどではないらしく、この馬鹿げた茶番に付き合わされて失笑してしまうくらいには、呆れているようだった。
「なんで来ないの? あなたが言ったんじゃない! イケメンに好かれて囲まれる人生を送らせてあげるって。あれはうそだったっていうの? あなたが言うから、私、媚薬まで飲ませたのよ⁉︎」
「……なんだって?」
崩れ落ちていたソレルが、やおら顔を上げる。
美しい顔を怒りで醜く歪ませ、リコリスを睨んだ。
美人がすごむと、より一層恐ろしさを感じる。
リコリスも例に漏れず、ソレルの形相に「ヒッ」と小さく悲鳴を漏らして後退った。
ローズマリーの声が朗々と響く。
(ほらね)
かわいい顔を今日は凛々しく引き締めて、ローズマリーは言った。
「わたくしたちの婚約は、すでに春の国の国王の権限により、破棄されております。ですから、あなた様がリコリス様を妻に迎えようと、わたくしには関係のないことでございます」
「え」
とは、リコリスの口から漏れた声である。
言われた本人であるソレルは顔から色をなくして、青空のような色をしていた目を絶望色に染めた。
「それから……国王陛下よりご伝言ですわ。王位継承権を第一位から第二位へ移す、と。現時点で、次期国王は弟君になりました」
「は」
声も出ないソレルの代わりに、リコリスが再び短い声をもらす。
崩れ落ちるソレルを支えきれず、彼女はともに倒れた。
助けを求めて周囲も見回しても、手を貸してくれるような者はいない。
親友にしていたトゥルシーはどこへ、と視線を彷徨わせる。
しかし、目当ての彼女も見つからない。
そこでようやく、リコリスは気づいたようだ。
会場を満たす嗤笑は、ローズマリーではなく自分たちへ向けられているのだということに。
恥ずかしくて、惨めで、どうしようもなく腹が立って。リコリスは、真っ赤な顔をして叫んだ。
「どうして……どうしてこんなことになったの? ねぇ、スヴェート。あなた、わたしの妖精なんだからなんとかしなさいよぉっ!」
ヒステリックな声が大講堂に響き渡る。
ペリーウィンクルの隣で、ヴィアベルが呆れたようにため息を吐いた。
「あの女は、自分の契約した妖精がいなくなったことにも気づいていなかったのか」
名もなき生き物の真実は、伏せられている。
事実は妖精たちと一部の学校関係者だけに伝えられて極秘扱い、生徒たちには「妖精魔法の暴走」と通達されていた。
もともとそのための孤島なので、生徒たちが疑うこともない。
勘の良い者は事実に気がついていたかもしれないが、わざわざ言うほど馬鹿ではないようだ。
ただ完全に知らぬ存ぜぬを通せるほどではないらしく、この馬鹿げた茶番に付き合わされて失笑してしまうくらいには、呆れているようだった。
「なんで来ないの? あなたが言ったんじゃない! イケメンに好かれて囲まれる人生を送らせてあげるって。あれはうそだったっていうの? あなたが言うから、私、媚薬まで飲ませたのよ⁉︎」
「……なんだって?」
崩れ落ちていたソレルが、やおら顔を上げる。
美しい顔を怒りで醜く歪ませ、リコリスを睨んだ。
美人がすごむと、より一層恐ろしさを感じる。
リコリスも例に漏れず、ソレルの形相に「ヒッ」と小さく悲鳴を漏らして後退った。
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