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終章
118 幕はおりる。②
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「わ、わたしは悪くないもんっ。ぜんぶぜんぶ、スヴェートが言ったからやっただけで……! ほっ、本当はやりたくなかったんですよ⁉︎ 媚薬を飲ませるのも、ローズマリー様の箱庭から花を盗むのも……やりたくなんてなかった。だけど、スヴェートがやらないとダメだって言うから、だからわたしは……!」
ざわり。
リコリスの言葉に、妖精たちが反応する。
大講堂にいた全ての妖精たちの目が、爛々と光った。
植物を愛する妖精にとって、植物を盗むという行為は罪である。
ましてや、中央の国で人が育てた植物を盗むなど、大罪だ。
スルスの学生ならば校則により退学が決まっている。
だが、卒業式を終え、卒業パーティーへ移行した今、校則にのっとる必要はあるのだろうか。
(遠足はおうちに帰るまで、だっけ? じゃあまだセーフって可能性もなくはない……)
妖精たちが、動き出す。
答えはノーだったようだ。
妖精たちは各々近くにあったナイフやフォークといった武器らしきものを携え、大群となってリコリスを取り囲む。
かわいいのか怖いのか分からない光景だ。
もっとも、取り囲まれている本人は悲鳴を上げているので、恐怖を感じているようだが。
「いやぁっ! わたしは悪くない、悪くないんだってば! ソレル様、助けて。優しいあなたなら、わたしを助けてくれますよね⁈」
助けてと叫びながら、リコリスがソレルへ手を伸ばす。
その体はすでに無数の妖精が取り囲んでいて、今にも飲み込まれそうだ。
そんなリコリスに、ソレルは冷たい視線を向けるだけ。
手をはたき落とさないだけマシだと思え、と言わんばかりである。
「愚かな女だ。スヴェートが必死になって彼女の関与を黙したというのに……これでは水の泡ではないか」
ヴィアベルの言葉に、ペリーウィンクルは理解した。
一連の事件にリコリスが関与していたのは間違いないのに、どうして彼女は野放しになっているのか。
それは、スヴェートが全ての罪を一人で被ったからに他ならない。
(そこまでする何かが、ヒロインにあったのかしら……?)
ペリーウィンクルにはわからない。
スヴェートは懸命に黙っていたのに、いなくなったことにも気づかないで。
愚かにも自己弁護のために口を滑らせて墓穴を掘って。
自分勝手で、自分本位で、わがままで……良いところなんてちっとも見つからない。
そういえば毒草茶をプレゼントしてくれたっけと思い出して、ペリーウィンクルは鼻にシワを寄せた。
妖精魔法で黙らされ、縛られるリコリス。
イモムシみたいに床へ転がされた彼女を、妖精の大群が運んでいく。
その様は、エサを巣に持ち帰るアリのよう。
リコリスが連行され、場に静寂が訪れる。
誰もが、この場がどうおさまるのかと固唾を飲んで見守った。
「ローズマリー」
おまえは見放さないよな?
口にはしないが、その目は雄弁に語る。
だが、ローズマリーはソレルに応えない。
顔の感情を削ぎ落とし、口元だけは微笑みを浮かべて、彼女は優雅に礼をする。
そうして彼女は、大講堂を後にした。
茶番の幕が下りる。
ペリーウィンクルは、閉じていく扉の向こうで、ローズマリーが軽やかな足取りで駆け出していくのを見届けてから、ヴィアベルとともに席を立った。
ざわり。
リコリスの言葉に、妖精たちが反応する。
大講堂にいた全ての妖精たちの目が、爛々と光った。
植物を愛する妖精にとって、植物を盗むという行為は罪である。
ましてや、中央の国で人が育てた植物を盗むなど、大罪だ。
スルスの学生ならば校則により退学が決まっている。
だが、卒業式を終え、卒業パーティーへ移行した今、校則にのっとる必要はあるのだろうか。
(遠足はおうちに帰るまで、だっけ? じゃあまだセーフって可能性もなくはない……)
妖精たちが、動き出す。
答えはノーだったようだ。
妖精たちは各々近くにあったナイフやフォークといった武器らしきものを携え、大群となってリコリスを取り囲む。
かわいいのか怖いのか分からない光景だ。
もっとも、取り囲まれている本人は悲鳴を上げているので、恐怖を感じているようだが。
「いやぁっ! わたしは悪くない、悪くないんだってば! ソレル様、助けて。優しいあなたなら、わたしを助けてくれますよね⁈」
助けてと叫びながら、リコリスがソレルへ手を伸ばす。
その体はすでに無数の妖精が取り囲んでいて、今にも飲み込まれそうだ。
そんなリコリスに、ソレルは冷たい視線を向けるだけ。
手をはたき落とさないだけマシだと思え、と言わんばかりである。
「愚かな女だ。スヴェートが必死になって彼女の関与を黙したというのに……これでは水の泡ではないか」
ヴィアベルの言葉に、ペリーウィンクルは理解した。
一連の事件にリコリスが関与していたのは間違いないのに、どうして彼女は野放しになっているのか。
それは、スヴェートが全ての罪を一人で被ったからに他ならない。
(そこまでする何かが、ヒロインにあったのかしら……?)
ペリーウィンクルにはわからない。
スヴェートは懸命に黙っていたのに、いなくなったことにも気づかないで。
愚かにも自己弁護のために口を滑らせて墓穴を掘って。
自分勝手で、自分本位で、わがままで……良いところなんてちっとも見つからない。
そういえば毒草茶をプレゼントしてくれたっけと思い出して、ペリーウィンクルは鼻にシワを寄せた。
妖精魔法で黙らされ、縛られるリコリス。
イモムシみたいに床へ転がされた彼女を、妖精の大群が運んでいく。
その様は、エサを巣に持ち帰るアリのよう。
リコリスが連行され、場に静寂が訪れる。
誰もが、この場がどうおさまるのかと固唾を飲んで見守った。
「ローズマリー」
おまえは見放さないよな?
口にはしないが、その目は雄弁に語る。
だが、ローズマリーはソレルに応えない。
顔の感情を削ぎ落とし、口元だけは微笑みを浮かべて、彼女は優雅に礼をする。
そうして彼女は、大講堂を後にした。
茶番の幕が下りる。
ペリーウィンクルは、閉じていく扉の向こうで、ローズマリーが軽やかな足取りで駆け出していくのを見届けてから、ヴィアベルとともに席を立った。
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