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三章 一年目ふゆの月
24 ふゆの月13日、魔女の庵②
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魔女の庵は、女神が宿る泉の真ん中にある。泉に浮かぶ小さな島に建つ、今にも崩れそうなボロ小屋が、彼女の棲家なのだ。
苔むした屋根から突き出ている煙突からは、怪しげな緑色の煙が吐き出されている。
思わず回れ右をしたくなりながら、イーヴィンは「雪の中、ここまで来たんだし」となけなしの勇気を振り絞った。
魔女の庵へは、泉の畔から浮島まで続く飛び石を渡って行かなければならない。
うっすら積もった雪を足先で慎重に払いながら、イーヴィンはゆっくりと進んだ。
ようやく浮島に立ったところで、覚悟を決めるためにゆっくりと深呼吸を繰り返す。
そうしてようやく覚悟を決めると、朽ち落ちそうなドアノッカーに手を伸ばした。
ーーコンコン。
壊さないように、慎重に叩く。
けれど、返事はなかった。
だからイーヴィンは、念の為にもう一度叩いた。
ーーコンコン。
「私の庵はトイレではないっ!二回ノックはトイレのドア!用があるなら四回叩くのが礼儀ですわよ!」
ドアの向こうから、金切り声で怒鳴られた。
魔女は機嫌が悪いらしい。
(いや、悪くさせたのかも?)
ノックの回数でご立腹しているらしい魔女のために、イーヴィンは四回ノックした。
途端、ギィィと不気味な音を立てて扉がほんのちょっぴり開く。
開いたドアの隙間から、紫色のつり目がイーヴィンを睨みつけていた。
彼女の姿を見るなり、その目はますます吊り上がったように見える。
「あの……」
イーヴィンが声を発すると、魔女はスゥッと目を細めた。
まるで獲物を見つめる猫のような仕草に、思わずイーヴィンはビクリを体を震わせる。
それでもここまで来たのだからと自身を奮い立たせて、彼女は震える声で言った。
「あの……はじめまして。私、イーヴィンって言います。北の牧場を引き継いで牧場主をしています。今日は、その。風邪を引かないように栄養ドリンクを買いに、来たんです、けど……」
鋭い視線に怖気付きながらも、イーヴィンはなんとか目的を伝えることに成功した。とはいえ、目的が達成するかは別問題である。
彼女は、神託を待つ神官はこんな気持ちだろうかと大仰なことを思いながら、魔女の言葉を待った。
「あら……そうだったのね!それならどうぞ、お入りになって!」
それまでの態度はなんだったんだというくらい、魔女の態度が急変した。
睨みつけていた視線を外してほんの数秒思案したかと思えば、あっという間にうっすらと笑みを浮かべてイーヴィンを部屋に招いてくれる。
その豹変ぶりにイーヴィンはどういうことだと訝しんだが、呪いをかけられるよりだいぶマシである。
彼女は魔女に招かれるまま、ボロ小屋に足を踏み入れた。
苔むした屋根から突き出ている煙突からは、怪しげな緑色の煙が吐き出されている。
思わず回れ右をしたくなりながら、イーヴィンは「雪の中、ここまで来たんだし」となけなしの勇気を振り絞った。
魔女の庵へは、泉の畔から浮島まで続く飛び石を渡って行かなければならない。
うっすら積もった雪を足先で慎重に払いながら、イーヴィンはゆっくりと進んだ。
ようやく浮島に立ったところで、覚悟を決めるためにゆっくりと深呼吸を繰り返す。
そうしてようやく覚悟を決めると、朽ち落ちそうなドアノッカーに手を伸ばした。
ーーコンコン。
壊さないように、慎重に叩く。
けれど、返事はなかった。
だからイーヴィンは、念の為にもう一度叩いた。
ーーコンコン。
「私の庵はトイレではないっ!二回ノックはトイレのドア!用があるなら四回叩くのが礼儀ですわよ!」
ドアの向こうから、金切り声で怒鳴られた。
魔女は機嫌が悪いらしい。
(いや、悪くさせたのかも?)
ノックの回数でご立腹しているらしい魔女のために、イーヴィンは四回ノックした。
途端、ギィィと不気味な音を立てて扉がほんのちょっぴり開く。
開いたドアの隙間から、紫色のつり目がイーヴィンを睨みつけていた。
彼女の姿を見るなり、その目はますます吊り上がったように見える。
「あの……」
イーヴィンが声を発すると、魔女はスゥッと目を細めた。
まるで獲物を見つめる猫のような仕草に、思わずイーヴィンはビクリを体を震わせる。
それでもここまで来たのだからと自身を奮い立たせて、彼女は震える声で言った。
「あの……はじめまして。私、イーヴィンって言います。北の牧場を引き継いで牧場主をしています。今日は、その。風邪を引かないように栄養ドリンクを買いに、来たんです、けど……」
鋭い視線に怖気付きながらも、イーヴィンはなんとか目的を伝えることに成功した。とはいえ、目的が達成するかは別問題である。
彼女は、神託を待つ神官はこんな気持ちだろうかと大仰なことを思いながら、魔女の言葉を待った。
「あら……そうだったのね!それならどうぞ、お入りになって!」
それまでの態度はなんだったんだというくらい、魔女の態度が急変した。
睨みつけていた視線を外してほんの数秒思案したかと思えば、あっという間にうっすらと笑みを浮かべてイーヴィンを部屋に招いてくれる。
その豹変ぶりにイーヴィンはどういうことだと訝しんだが、呪いをかけられるよりだいぶマシである。
彼女は魔女に招かれるまま、ボロ小屋に足を踏み入れた。
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