勇者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者37歳……実はパーティメンバーにヤバいほど慕われていた

秋月静流

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おっさん、戦いを回想

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 こうして一騒動はあったものの――俺達は新しい装備を手にしただけでなく、新しい仲間であるミコンを迎える事となった。
 根が純情な癖に耳年増という、やや難解な(しかもかなり年上である)年下キャラがパーティに受け入れられるかは正直心配だったが……どうやら杞憂だったようだ。
 ものの数時間で彼女はパーティの妹分としての立場を確立した。
 そう――拍子抜けするくらいあっという間にミコンは打ち解けたのだ。
 楽しそうに皆と談笑する彼女に自らの死を望んだ悲壮な貌は視えない。
 まあ、それは別に誰かのお陰じゃない。
 頑張って自分の殻を打ち破ったミコンに対する正当な報酬だろう。
 誰だって前へ進むのは怖い。
 まして直接犯した罪ではないとはいえ過去の所業に罪悪を感じていれば尚更だ。
 差し伸べた手を掴みホンの僅かな一歩を踏み出す勇気……
 それは紛れもない彼女自身の決断なのだから。
 年頃の少女みたいな今のミコンを見ていると……初めて社交デビューした娘を見ている父親のような気分で、何だかほっこりしてくる。
 しかし俺が言うのも何だが……ちょっと馴染むのが早過ぎないだろうか。
 普通もっと葛藤というかギクシャクするものなのでは?
 だというのにあいつらはまるで十年来の仲間の様な親しさで接しているし。
 時折俺の方を指さし皆で頷き笑い合うという謎の行為に、特に孤独を感じる。
 参入しようとしたら何故か拒否られ咎められた。
 男の俺は立ち入り禁止のガールズトークらしい。
 解せないのはショーちゃんもこっち側じゃなくあっち側な事。
 なんでも男女どっちにもなれるショーちゃんは例外的な存在らしい。
 恨みがましい俺の視線に気付いたのかウインクで応じるショーちゃん。
 違う違う、そうじゃない……
 俺が言いたいのはそうじゃない。
 不条理だ……納得がいかぬ(ぐぬぬ)。
 落ち込む俺を憐れんだのか、足元にルゥが来て身体を擦り見上げてくる。
 極上の触感を持つその背を優しく撫でながら俺は独り涙する。
 俺の気持ちを分かってくれるのはお前だけだよ、ルゥ。

「わうん?」

 語り掛ける俺に対し不思議そうに首を傾げるルゥ。
 本当に可愛いな、こいつ。
 ほら、ジャーキーでも食べたまえ。
 スキルで出した保存食に齧り付くルゥを撫で回し、孤独に孤独を癒される。
 まあ――物は考えようである。
 ショゴスであったショーちゃんを仲間にしたという実績があるパーティだ。
 今更【世界を支えし龍】が一体、暗黒龍(ではなく光を得た今のミコンは夜明けを意味する暁龍とでも呼ぶべきか)の思念体が仲間になっても問題あるまい。
 賢王に無事【黒帝の竜骸】を受領できた報告を行った際、ミコンの存在を紹介してお披露目をしても何も言われなかったしな。
 何故か賢王が苦笑し、周りの重鎮らの顎が開きっぱなしだったが。
 ひょっとして俺――何かやってしまったのだろうか?(確信犯)。



 かくして装備を一新した俺達――
 のみならず勇者隊に所属することになった各自は戦いに繰り出された。

 火吹山に居を構えた魔族の討伐戦。
 強襲されたバルサミコス要塞の防衛戦。
 盗賊都市に紛れ込み暗躍する魔神との心理戦。
 死の罠に満ちた地下迷宮における遭遇戦。
 要所であるシャムタン平原における総力戦など。

 思い返すだけでも濃厚な、熱き戦いの日々。
 重傷を負って一時戦線離脱中の者はいるが勇者隊の仲間を喪う事なく戦い抜く事が出来たのは皆の努力の賜物――のみならず俺達を支えてくれた連合軍の力だ。
 どんな優れた力も十二分に発揮されなければ意味がない。
 万全で盤石なバックアップを得られたからこそ俺達は戦い抜く事が出来たのだ。
 ただ――戦線を支える重要な歯車である俺達にも、さすがに限界が近づいているのは間違いなかった。
 




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