処刑されたくない悪役宰相、破滅フラグ回避のため孤独なラスボス竜を懐柔したら番として溺愛される

水凪しおん

文字の大きさ
21 / 24

第20話「救出作戦、開始」

しおりを挟む
 俺が敵の内部で着々と準備を進めている頃、ダリウスとセドリックもまた行動を開始していた。
 セドリックの騎士団が持つ広域情報網と、ダリウスが放った使い魔たちがもたらした情報を統合した結果、ついに敵の本拠地である国境近くの「黒鷲城」を特定したのだ。
 作戦会議室にはダリウスとセドリック、そして騎士団の幹部たちが集まっていた。

「城の警備は見たところ五百名ほど。だが内部には魔術師や特殊部隊がいる可能性が高い」

 セドリックが城の見取り図を指しながら説明する。

「正面からの突入は被害が大きすぎる。奇襲をかけるしかない」

 そこでダリウスが口を開いた。

「俺が正面から陽動をかける」

「なんだと!? 無茶だ!」

 セドリックが反対するがダリウスは首を横に振った。

「いや、これが最善だ。奴らの注意を俺一人に引きつける。その隙に、お前たちが別ルートから潜入し、クリストフを救出しろ」

 ダリウスの圧倒的な破壊力があれば陽動どころか、敵の主力を一人で壊滅させることも可能だろう。
 それは最も効率的で確実な作戦だった。

「……分かった。だが死ぬなよ、魔竜公」

「お前こそ」

 二人の間にもはや対立はなく、互いの力を認め合う戦友としての信頼が生まれていた。
 そして作戦は決行された。
 月明かりもない漆黒の夜。
 黒鷲城の城門の前に、ダリウスはただ一人、静かに降り立った。

「――クリストフを、返してもらいに来た」

 その一言を合図に彼の体から凄まじい魔力が放たれる。
 城壁がまるで砂糖菓子のように崩れ落ち、警報が鳴り響く。
 城内の兵士たちが慌ててダリウスの元へと殺到した。
 まさに一人対軍隊。
 だがダリウスは少しも怯むことなく、次々と現れる敵を黒い雷と炎で薙ぎ払っていく。
 敵の戦力が完全にダリウスに引きつけられている、その隙に。
 セドリック率いる精鋭騎士団は、城の裏手にある秘密の通路から音もなく城内へと潜入していた。

「行くぞ! 宰相閣下をお救いするんだ!」

 セドリックの号令のもと、騎士たちは内部の残存兵力を的確に制圧していく。
 そしてセドリックは、俺が囚われているはずの塔の最上階へと駆け上がった。
 牢屋の扉を聖剣で切り裂くと、中には予想とは違い、悠然と椅子に座って本を読んでいる俺がいた。

「……思ったより早かったな、アークライト団長」

 俺がにやりと笑うとセドリックは呆気にとられたような顔をした後、安堵のため息をついた。

「ご無事で何よりです、閣下」

「ああ。君たちを信じていたからな。さて、感傷に浸っている暇はないぞ。黒幕を叩き、この城を完全に制圧する」

 俺は捕虜の兵士から聞き出した情報をセドリックに伝え、城の中枢である玉座の間へと二人で向かう。
 俺の内部情報とセドリックの騎士団の突破力。
 そして外ではダリウスが敵の主力を引きつけている。
 三つの力が合わさり、敵の牙城は内と外から確実に崩壊を始めていた。
 再会を果たした俺とセドリックは、この戦いに終止符を打つべく、共に戦場を駆けるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

もふもふ守護獣と運命の出会い—ある日、青年は異世界で大きな毛玉と恋に落ちた—

なの
BL
事故に巻き込まれ、雪深い森で倒れていた青年・ユナ。 命の危険に晒されていた彼を救ったのは、白銀の毛並みを持つ美しい人狼・ゼルだった。 ゼルは誰よりも優しくて、そして――独占欲がとにかく強い。 気がつけばユナは、もふもふの里へ連れていかれる。 そこでは人狼だけでなく、獣人や精霊、もふもふとした種族たちが仲良く暮らしており、ユナは珍しい「人間」として大歓迎される。 しかし、ゼルだけは露骨にユナを奪われまいとし、 「触るな」「見るな」「近づくな」と嫉妬を隠そうとしない。 もふもふに抱きしめられる日々。 嫉妬と優しさに包まれながら、ユナは少しずつ居場所を取り戻していく――。

勇者として召喚されたのに、敵である魔王様に捕らえられました。でもなぜか「俺の花嫁になれ」と世界一甘い溺愛が始まって困惑しています

水凪しおん
BL
勇者として異世界に召喚された高校生、橘明(たちばな あき)。彼に与えられた使命は、世界を闇に染める魔王を討伐すること。しかし、幾多の困難の末にたどり着いた魔王城で彼を待っていたのは、想像を絶するほど美しく、そして孤独な魔王カイリだった。 圧倒的な力の前に膝をついたアキに、魔王が告げたのは意外な言葉。 「お前を俺の所有物にする。これは決定だ」 これは、敵同士だったはずの二人が、やがて世界を救うための「最強の主従」となり、誰よりも深い愛で結ばれる物語。 冷徹な仮面の下に隠された魔王の激しい独占欲と、戸惑いながらもその愛に心解かされていく転生勇者。 甘くて少しだけ切ない、至高の異世界ファンタジーBL、ここに開幕!

冤罪で追放された悪役令息、北の辺境で幸せを掴む~恐ろしいと噂の銀狼将軍に嫁いだら、極上の溺愛とモフモフなスローライフが始まりました~

水凪しおん
BL
「君は、俺の宝だ」 無実の罪を着せられ、婚約破棄の末に極寒の辺境へ追放された公爵令息ジュリアン。 彼を待ち受けていたのは、「北の食人狼」と恐れられる将軍グリーグとの政略結婚だった。 死を覚悟したジュリアンだったが、出会った将軍は、噂とは真逆の不器用で心優しいアルファで……? 前世の記憶を持つジュリアンは、現代知識と魔法でボロボロの要塞を快適リフォーム! 手作りスープで将軍の胃袋を掴み、特産品開発で街を救い、気づけば冷徹将軍から規格外の溺愛を受けることに。 一方、ジュリアンを捨てた王都では、破滅の足音が近づいていて――。 冤罪追放から始まる、銀狼将軍との幸せいっぱいな溺愛スローライフ、ここに開幕! 【オメガバース/ハッピーエンド/ざまぁあり/子育て/スパダリ】

過労死で異世界転生したら、勇者の魂を持つ僕が魔王の城で目覚めた。なぜか「魂の半身」と呼ばれ異常なまでに溺愛されてる件

水凪しおん
BL
ブラック企業で過労死した俺、雪斗(ユキト)が次に目覚めたのは、なんと異世界の魔王の城だった。 赤ん坊の姿で転生した俺は、自分がこの世界を滅ぼす魔王を討つための「勇者の魂」を持つと知る。 目の前にいるのは、冷酷非情と噂の魔王ゼノン。 「ああ、終わった……食べられるんだ」 絶望する俺を前に、しかし魔王はうっとりと目を細め、こう囁いた。 「ようやく会えた、我が魂の半身よ」 それから始まったのは、地獄のような日々――ではなく、至れり尽くせりの甘やかし生活!? 最高級の食事、ふわふわの寝具、傅役(もりやく)までつけられ、魔王自らが甲斐甲斐しくお菓子を食べさせてくる始末。 この溺愛は、俺を油断させて力を奪うための罠に違いない! そう信じて疑わない俺の勘違いをよそに、魔王の独占欲と愛情はどんどんエスカレートしていき……。 永い孤独を生きてきた最強魔王と、自己肯定感ゼロの元社畜勇者。 敵対するはずの運命が交わる時、世界を揺るがす壮大な愛の物語が始まる。

動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする

葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。 前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち… でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ… 優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。

オメガだと隠して地味なベータとして生きてきた俺が、なぜか学園最強で傲慢な次期公爵様と『運命の番』になって、強制的にペアを組まされる羽目に

水凪しおん
BL
この世界では、性は三つに分かたれる。支配者たるアルファ、それに庇護されるオメガ、そして大多数を占めるベータ。 誇り高き魔法使いユキは、オメガという性を隠し、ベータとして魔法学園の門をくぐった。誰にも見下されず、己の力だけで認められるために。 しかし彼の平穏は、一人の男との最悪の出会いによって打ち砕かれる。 学園の頂点に君臨する、傲慢不遜なアルファ――カイ・フォン・エーレンベルク。 反発しあう二人が模擬戦で激突したその瞬間、伝説の証『運命の印』が彼らの首筋に発現する。 それは、決して抗うことのできない魂の繋がり、『運命の番』の証だった。 「お前は俺の所有物だ」 傲慢に告げるカイと、それに激しく反発するユキ。 強制的にペアを組まされた学園対抗トーナメント『双星杯』を舞台に、二人の歯車は軋みを上げながらも回り出す。 孤独を隠す最強のアルファと、運命に抗う気高きオメガ。 これは、反発しあう二つの魂がやがて唯一無二のパートナーとなり、世界の理をも変える絆を結ぶまでの、愛と戦いの物語。

【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。

明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。 新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。 しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…? 冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。

処理中です...