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第19話「宰相の頭脳戦」
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一方、敵の本拠地である古城に再び囚われた俺は、決して絶望してはいなかった。
むしろその頭脳は宰相としての冷静さを取り戻し、フル回転していた。
(悲観しても始まらない。今、俺にできることをやるだけだ)
俺は投獄された部屋の中で、脱出と反撃の機会を窺っていた。
幸い敵は俺を「触媒」として利用価値があると考えているためか、手荒な扱いはしてこない。
俺は持ち前の冷静さと人心掌握術を駆使して、情報を集め始めた。
食事を運んでくる見張りの兵士に、俺は努めて穏やかに話しかけた。
「大変だな、君も。こんな辺鄙な城で、見張り役とは」
「……宰相閣下こそ。こんなことになって、お気の毒に」
意外にも兵士は同情的な口調だった。
彼はもともとガルニア帝国の正規軍ではなく、金で雇われた傭兵らしい。
「君のような腕の立つ男が、なぜこんな仕事をしているんだ? 故郷に家族はいないのか?」
俺は彼の身の上話に、巧みに話を誘導していく。
彼の故郷が貧しいこと、病気の妹がいること。
彼の警戒心を解き、少しずつ心の内に入り込んでいく。
そして数日かけて彼との間にささやかな信頼関係を築いた後、俺は本題を切り出した。
「君の妹さんの病気だが、もしかしたら俺の知識で治せる薬草を知っているかもしれない。もし俺がここから出られたら、必ずその情報を君に渡そう」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だがそのためには君の協力が必要だ」
俺は彼にこの組織の内部情報――兵士の数、警備の交代時間、建物の構造、そして黒幕であるリーダーがどこにいるのか――を尋ねた。
彼は最初こそ躊躇していたが、妹を救いたい一心と俺への信頼から、ついに知っている情報を全て話してくれた。
俺は彼の情報をもとに、頭の中で城の地図と敵の戦力を組み立てていく。
さらに俺は別の手も打っていた。
敵のリーダーが俺の様子を見に部屋を訪れた時、俺は挑発するように言った。
「君たちの計画はもうすぐ破綻する。なぜなら君たちは魔竜公ダリウスの本当の恐ろしさを知らないからだ」
「何を言うか。奴は我らの術中にハマり、ただ暴れることしかできなかったではないか」
「それは俺がいなかったからだ。俺という『枷』がなければ彼の力は暴走する。だが俺がいれば彼の力は完璧に制御され、その全てが君たちへの怒りとなって向けられることになる。そうなった時、君たちに逃げ場はない」
俺はわざとダリウスの力を誇張し、奴らの心に恐怖を植え付けた。
同時に俺という存在がダリウスを制御する鍵であると、改めて認識させたのだ。
これにより奴らは俺を殺すことも、手酷く扱うこともできなくなる。
外ではダリウスとセドリックが動いているはずだ。
俺は彼らが助けに来てくれることを信じている。
だから俺は内側から、この組織を崩壊させる準備を着々と進める。
宰相クリストフの静かなる頭脳戦が、始まっていた。
むしろその頭脳は宰相としての冷静さを取り戻し、フル回転していた。
(悲観しても始まらない。今、俺にできることをやるだけだ)
俺は投獄された部屋の中で、脱出と反撃の機会を窺っていた。
幸い敵は俺を「触媒」として利用価値があると考えているためか、手荒な扱いはしてこない。
俺は持ち前の冷静さと人心掌握術を駆使して、情報を集め始めた。
食事を運んでくる見張りの兵士に、俺は努めて穏やかに話しかけた。
「大変だな、君も。こんな辺鄙な城で、見張り役とは」
「……宰相閣下こそ。こんなことになって、お気の毒に」
意外にも兵士は同情的な口調だった。
彼はもともとガルニア帝国の正規軍ではなく、金で雇われた傭兵らしい。
「君のような腕の立つ男が、なぜこんな仕事をしているんだ? 故郷に家族はいないのか?」
俺は彼の身の上話に、巧みに話を誘導していく。
彼の故郷が貧しいこと、病気の妹がいること。
彼の警戒心を解き、少しずつ心の内に入り込んでいく。
そして数日かけて彼との間にささやかな信頼関係を築いた後、俺は本題を切り出した。
「君の妹さんの病気だが、もしかしたら俺の知識で治せる薬草を知っているかもしれない。もし俺がここから出られたら、必ずその情報を君に渡そう」
「ほ、本当ですか!?」
「ああ。だがそのためには君の協力が必要だ」
俺は彼にこの組織の内部情報――兵士の数、警備の交代時間、建物の構造、そして黒幕であるリーダーがどこにいるのか――を尋ねた。
彼は最初こそ躊躇していたが、妹を救いたい一心と俺への信頼から、ついに知っている情報を全て話してくれた。
俺は彼の情報をもとに、頭の中で城の地図と敵の戦力を組み立てていく。
さらに俺は別の手も打っていた。
敵のリーダーが俺の様子を見に部屋を訪れた時、俺は挑発するように言った。
「君たちの計画はもうすぐ破綻する。なぜなら君たちは魔竜公ダリウスの本当の恐ろしさを知らないからだ」
「何を言うか。奴は我らの術中にハマり、ただ暴れることしかできなかったではないか」
「それは俺がいなかったからだ。俺という『枷』がなければ彼の力は暴走する。だが俺がいれば彼の力は完璧に制御され、その全てが君たちへの怒りとなって向けられることになる。そうなった時、君たちに逃げ場はない」
俺はわざとダリウスの力を誇張し、奴らの心に恐怖を植え付けた。
同時に俺という存在がダリウスを制御する鍵であると、改めて認識させたのだ。
これにより奴らは俺を殺すことも、手酷く扱うこともできなくなる。
外ではダリウスとセドリックが動いているはずだ。
俺は彼らが助けに来てくれることを信じている。
だから俺は内側から、この組織を崩壊させる準備を着々と進める。
宰相クリストフの静かなる頭脳戦が、始まっていた。
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