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第11話「追手と圧倒的な力」
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レイルの呪いが和らいだことで、城の中の空気は以前よりもずっと穏やかになった。カイルは次の目的地である「忘却の遺跡」についての情報を書庫で調べ、二人はしばしの平穏な時間を過ごしていた。
だが、その平穏は、突如として破られた。
城の外から、複数の人間の気配が近づいてくるのを、レイルが鋭敏に察知したのだ。
「カイル、隠れていろ」
レイルの声が、今までになく低く、冷たい。彼の赤い瞳が、殺意にも似た強い光を放っていた。
カイルが物陰に隠れるのとほぼ同時に、武装した騎士たちが数人、玉座の間に踏み込んできた。彼らの鎧には、カイルがよく知る王国の紋章が刻まれている。
「見つけたぞ! 追放者カイル・フォン・アルフレッド!」
騎士の一人が叫び、カイルの隠れている方向を指さす。どうやら、彼らはカイルの居場所を特定する魔法具か何かを持っているらしかった。
「おとなしく投降しろ! 聖女リリアンナ様への反逆者として、ここで処刑する!」
騎士たちが剣を抜き、カイルに迫る。カイルは恐怖で身がすくんだ。レイルの守護があるとはいえ、王国最強と謳われる騎士団だ。
その時、カイルを庇うように、玉座に座っていたレイルがゆっくりと立ち上がった。呪いが和らいだことで、以前よりずっと自由に動けるようになっていた。
「……下郎どもが。誰の許しを得て、我の城に土足で踏み入れている?」
地響きのような声に、騎士たちがぎょっとしてレイルを見る。
「な、何者だ貴様は!」
「我は、この森の主。そして……」
レイルはカイルを一瞥し、ぞっとするほど静かな声で続けた。
「――その男の、主だ」
次の瞬間、レイルの体から凄まじい魔力がほとばしった。
それは、呪いで抑えられていた力のほんの一端に過ぎなかったが、人間である騎士たちにとっては、天変地異に等しい脅威だった。
「ひっ……!?」
騎士たちは魔力の奔流に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。剣はあらぬ方向に弾き飛ばされ、鎧は無残にへこんでいた。
「カイルに触れようなど、万死に値する」
レイルは一歩、また一歩と倒れた騎士たちに近づいていく。その姿は、まさに絶対的な捕食者。赤い瞳は怒りに燃え、その手には暗黒の魔力が渦巻いていた。
「や、やめてください、レイルさん!」
カイルは思わず叫んでいた。彼らを殺してしまえば、レイルが王国の敵として認識されてしまう。
カイルの声に、レイルはピタリと動きを止めた。そして、ゆっくりと振り返る。その顔には、まだ激しい怒りの色が残っていた。
「……なぜ止める。こやつらは、お前を傷つけようとしたのだぞ」
「それでも、ダメです! あなたの手を汚させたくない」
カイルの必死の訴えに、レイルはチッと舌打ちをすると、渦巻いていた魔力を霧散させた。
そして、虫けらを見るような目で、腰を抜かしている騎士たちを睨みつけた。
「――消えろ。そして二度と我の前に姿を現すな。次にカイルに手を出そうとすれば、王国ごと焼き尽くすと思え」
騎士たちは這うようにして立ち上がると、武器も構わずに一目散に城から逃げ出していった。
圧倒的な力の差を見せつけられ、恐怖に染まった彼らの顔が、魔王の脅威を何よりも雄弁に物語っていた。
だが、その平穏は、突如として破られた。
城の外から、複数の人間の気配が近づいてくるのを、レイルが鋭敏に察知したのだ。
「カイル、隠れていろ」
レイルの声が、今までになく低く、冷たい。彼の赤い瞳が、殺意にも似た強い光を放っていた。
カイルが物陰に隠れるのとほぼ同時に、武装した騎士たちが数人、玉座の間に踏み込んできた。彼らの鎧には、カイルがよく知る王国の紋章が刻まれている。
「見つけたぞ! 追放者カイル・フォン・アルフレッド!」
騎士の一人が叫び、カイルの隠れている方向を指さす。どうやら、彼らはカイルの居場所を特定する魔法具か何かを持っているらしかった。
「おとなしく投降しろ! 聖女リリアンナ様への反逆者として、ここで処刑する!」
騎士たちが剣を抜き、カイルに迫る。カイルは恐怖で身がすくんだ。レイルの守護があるとはいえ、王国最強と謳われる騎士団だ。
その時、カイルを庇うように、玉座に座っていたレイルがゆっくりと立ち上がった。呪いが和らいだことで、以前よりずっと自由に動けるようになっていた。
「……下郎どもが。誰の許しを得て、我の城に土足で踏み入れている?」
地響きのような声に、騎士たちがぎょっとしてレイルを見る。
「な、何者だ貴様は!」
「我は、この森の主。そして……」
レイルはカイルを一瞥し、ぞっとするほど静かな声で続けた。
「――その男の、主だ」
次の瞬間、レイルの体から凄まじい魔力がほとばしった。
それは、呪いで抑えられていた力のほんの一端に過ぎなかったが、人間である騎士たちにとっては、天変地異に等しい脅威だった。
「ひっ……!?」
騎士たちは魔力の奔流に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。剣はあらぬ方向に弾き飛ばされ、鎧は無残にへこんでいた。
「カイルに触れようなど、万死に値する」
レイルは一歩、また一歩と倒れた騎士たちに近づいていく。その姿は、まさに絶対的な捕食者。赤い瞳は怒りに燃え、その手には暗黒の魔力が渦巻いていた。
「や、やめてください、レイルさん!」
カイルは思わず叫んでいた。彼らを殺してしまえば、レイルが王国の敵として認識されてしまう。
カイルの声に、レイルはピタリと動きを止めた。そして、ゆっくりと振り返る。その顔には、まだ激しい怒りの色が残っていた。
「……なぜ止める。こやつらは、お前を傷つけようとしたのだぞ」
「それでも、ダメです! あなたの手を汚させたくない」
カイルの必死の訴えに、レイルはチッと舌打ちをすると、渦巻いていた魔力を霧散させた。
そして、虫けらを見るような目で、腰を抜かしている騎士たちを睨みつけた。
「――消えろ。そして二度と我の前に姿を現すな。次にカイルに手を出そうとすれば、王国ごと焼き尽くすと思え」
騎士たちは這うようにして立ち上がると、武器も構わずに一目散に城から逃げ出していった。
圧倒的な力の差を見せつけられ、恐怖に染まった彼らの顔が、魔王の脅威を何よりも雄弁に物語っていた。
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